アカデミー賞の大本命!?ミシェル・ヨー主演、『グーニーズ』のアノ元人気子役も出演する『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』をネタバレ紹介
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(ミシェル・ヨー演じるエヴリン・ワン・クワン。戦いの最中に鼻血を出している イラストby龍女)
物語はエヴリン(ミシェル・ヨー)の疲れ果てた日常から始まる。
経営するコインランドリーに監査が入り、国税局からイチャモンをつけられた。税金の申告をやり直さなければならなくなったのだ。
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(ステファニー・シュー演じるジョイ・ワン イラストby龍女)
故郷の中国からエヴリンの住むアメリカへやって来た父親は、頑固で介護も大変。
娘のジョイ(ステファニー・シュー)は元々反抗的で、恋人のベッキーの存在を理解しない母親に不満を抱いている。
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(キー・ホイ・クァン演じるウェイモンド・ワン イラストby龍女)
夫のウェイモンドは優しいが、優柔不断で頼りにならない。
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(ジェイミー・リー・カーティス演じるディアドラ・ボーベアドラ イラストby龍女)
そんな中、国税庁で役人(ジェイミー・リー・カーティス)に絞られていると、突然夫が豹変。
別の宇宙のウェイモンドだと名乗る彼はエヴリンに、「全宇宙にカオスをもたらす強大な悪を倒せるのは君だけだ」と告げてくる。
まさかと驚くエヴリンだが、悪の手先に襲われマルチバース(別宇宙)にジャンプする。
カンフーの達人である別の宇宙の〈私〉の力を得たエヴリンの全宇宙を舞台にした闘いが幕を開ける。
強大の悪の正体は、なんと娘のジョイで、マルチバースというSF設定で壮大な母と娘の戦いが繰り広げられる。
複雑な構造の脚本ながら、なんとか分かるようになっているのは、主な登場人物が家族のみだからだ。
母と娘の葛藤をSF的な設定で描いているが、筆者は娘の立場として身につまされるような気がした。
娘のジョイは、母に認められず、大きな虚無を抱えていて、ベーグル型の大きなブラックホールで宇宙を滅ぼそうとしているのだ。
別世界のエヴリンをウォン・カーウァイ監督の『花陽年華』(2000)やアニメ映画の『レミーのおいしいレストラン』(2007)や『2001年宇宙の旅』(1968)のパロディーでみせていく。
マルチバースの中のエヴリンは、カンフーの修行をして映画スターになった人生がある。
これは演じているミシェル・ヨーの実人生そのものだ。
しかしその世界では、エヴリンはウェイモンドとは結婚せず娘のジョイもいない。
つまり一見成功しているかに見えている人生も、他の何かを犠牲にして成り立っている。
この世の中では、殆どの人がエヴリンのような冴えない人生を送っている。
そういう人生でも、肯定されたような気がして、凄く心が癒される。
決して万人受けする作品では無いだろうが、筆者には笑って泣けた作品だった。
一度映画館へ足を運んで観に行って欲しい。
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