これが三度目の正直?『鎌倉殿の13人』で北条義時(小栗旬)の三番目の妻「のえ」を演じる菊地凛子は時代劇の大役で過去2度失敗していた?

2022/9/8 22:00 龍女 龍女

菊地凛子は1996年にラフォーレ原宿でスカウトされて芸能界入りしている。
キャリアの最初はモデルで、今もそちらの活動も継続中だ。


(2009年特別招待作品『サイドウェイズ』で出席した東京国際映画祭にて イラストby龍女)

筆者が最近観た出演CMは、30代40代女性向けのルミネ関連のショッピングモールNEWoMANのイメージキャラクターだ。

映画デビュー作は『生きたい』(1999年)である。
監督は新藤兼人(1912~2012)で、約370本も書いた名脚本家でもある。
中でも脚本を担当した『ハチ公物語』(1987年)はハリウッドでもリメイク(『HACHI 約束の犬』2009年)されている
日本を代表する独立系映画の先駆者だ。
脚本料を、自分の会社の近代映画協会の資金にまわして最晩年まで監督作品を作り続けてきた。
この経験は菊地凛子のキャリアに大きな影響を与えているかもしれない。
インタビューでは、尊敬する映画人としてアメリカの独立系の先駆者ジョン・カサベテス(1929~1989)とジーナ・ローランズ(1930年6月19日生れ)夫妻を挙げている。
おそらくその頃に彼らの存在を教わった可能性もあると、筆者は観ている。
メジャーから独立系問わず、好きな脚本の作品なら積極的に自分からオーディションを受ける態度は凄い。

名前が一般的に有名になったのは、2006年の『バベル』での聾唖の女子高生・綿谷千恵子を演じたら、第79回アカデミー助演女優賞をはじめとする各映画賞にノミネートされたからだろう。
それまでも日本国内でも活動していたが、芸能マスコミ的には無名の存在だったので驚きを持って迎えられたのは言うまでもあるまい。


(『バベル』の綿矢千恵子 イラストby龍女)

筆者が菊地凛子の出演作で初めて認識したのは川原泉の漫画の実写化『笑う大天使』(2006)だ。
主人公の司城史緒(上野樹里)の兄一臣(伊勢谷友介)のお見合い相手である桜井敦子を演じた。

日本映画で主役級の役で出たのが、三木聡監督の『図鑑に載っていない虫』(2007年6月23日)だ。
再び伊勢谷友介(1976年5月29日生れ)と共演した作品で、彼が主役である。
ブラックユーモア満載の作品で、菊地凛子の役柄はリストカット経験者のSM嬢サヨコというヤバさである。


(三木聡監督 イラストby龍女)

同じ2007年の8月18日に公開された新垣結衣主演の『恋するマドリ』では、主人公が憧れる一級建築士の順田温子を演じている。

2007年は飛躍の年で、モデルとしても11月にシャネルのクルーズ・コレクション広告に選ばれ、順風満帆に見えたところで好事魔多し。
12月18日、松山ケンイチ主演『カムイ外伝』(公開は2009年10月31日)の撮影中に両足の大腿筋に肉離れを起こし、全治2か月の怪我を負った。
撮影が延期されたが、トレーニングが出来なくなったので、やむなく降板した。
代役として『ラストサムライ』や『嗤う伊右衛門』で時代劇の経験があった小雪が出演した。
菊地凛子の降板によって、松山ケンイチと小雪のビッグカップルの誕生を生んだ。
松山ケンイチとの共演は公式では村上春樹原作のベストセラーの映画化『ノルウェイの森』(2010年12月11日公開)まで延びることになった。

『カムイ伝』での失敗とは、菊地凛子には運動神経に自信があったということだろう。
運動できる人ほど怪我をしやすいリスクがある。
このトラブルの影響だけとは限らないが、映画『カムイ伝』は興行的にも評価も失敗作とされている。

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