【何千年もの時を超えてやってきた!】古代エジプトからのメッセージを聞いてみませんか。

2021/6/11 21:45 yamasan yamasan

こんにちは、いまトピアート部のyamasanです。

今年(2021年)は古代エジプト展の当たり年。

今回紹介する「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展-美しき(ひつぎ)のメッセージ-」は来年8月にかけて巡回する予定で、以前のコラムで紹介した「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」は今年12月まで巡回。二つの古代エジプト展が国内各地で開催されるという、なんとも恵まれた年なのです。



世界的に広まっている新型コロナウイルス感染症の影響で、ライデン国立古代博物館があるオランダをはじめ、海外の美術館・博物館をめぐったり、エジプトに観光に行ったりすることが気軽にできる状況にない中、国内で古代エジプトの悠久の歴史をめぐる旅ができるのは本当に貴重な機会です。ぜひこの機会に古代エジプトの世界をお楽しみください。


「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展-美しき(ひつぎ)のメッセージ-」展覧会概要

会 場 Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷区道玄坂2-24-1 B1F)
会 期 2021年4月16日(金)~6月27日(日) ※終了しました。巡回展情報は記事の最後に掲載しています。
開館時間 連日 10:00~20:00(入館は19:30まで)
休館日  なし
入館料  一般 1,800円ほか
※全日程「日時予約制」になります。オンラインによる入場日時予約が必要です。
※展覧会の詳細、オンライン予約、新型コロナウイルス感染防止対策等については、展覧会公式サイトでご確認ください⇒ライデン国立古代博物館 古代エジプト展


展示構成
第1章 エジプトを探検する
第2章 エジプトを発見する
第3章 エジプトを解読する
第4章 エジプトをスキャンする

※展示室内は撮影禁止です。掲載した写真は内覧会で主催者より特別の許可をいただいて撮影したものです。
※展示作品はすべてライデン国立古代博物館の所蔵です。


今回の見どころは、何といっても12体のミイラの棺の立体展示。さらにはヒエログリフを通じて古代エジプトの人たちのメッセージが聞けたり、CTスキャンを使ってミイラの謎に迫ったりと、盛りだくさんの楽しい内容の展示になっています。

それでは、順番は前後しますが、さっそくミイラの立体展示からご紹介したいと思います。

圧巻!年代別に並ぶミイラの立体展示


今回の展示のクライマックス、ずらりと並んだらミイラの棺の立体展示の空間です。


第3章 ミイラの立体展示展示風景①

ミイラやミイラの棺は、たいてい横になって展示されていて、上からかがんで眺めることになりますが、ここでは描かれている神々やヒエログリフを正面からじっくり見ることができるので、新たな発見もありました。
近くで見ると色合いが鮮やかに残っている様子もよくわかりますし、絵の具は厚く塗られていて、盛り上がっているのにも気が付いたのです。


第3章 ミイラの立体展示展示風景②

そして、12点の棺は、年代ごとにそれぞれ流行した色の違いも分かるように展示されているのです。
ミイラの立体展示展示風景①~③の右から順に、太陽を象徴する黄金色、次に肥沃な土の黒色、パピルスを表す黄土色、そして最後がミイラを巻いている包帯の白が主体になっているので、ぜひ見比べてみてください。


第3章 ミイラの立体展示展示風景③

裏まで注目、古代エジプト人とヒエログリフで対話ができる!


およそ5000年の歴史がある古代エジプト王朝の中で一番有名な王様は、黄金のマスクで知られたツタンカーメン王ではないでしょうか。
今回の展覧会ではツタンカーメン王の倚像が展示されています。

第1章 「ツタンカーメン王の倚像」展示風景

首がないのに何でこれがツタンカーメン王だとどうしてわかるのでしょうか?
そう思われたらぜひ裏側に回って解説をご覧ください。裏側に刻まれた銘文でこの像がツタンカーメン王だとわかるのです。

第1章 「ツタンカーメン王の倚像」展示風景

続いて、メンフィスの王家のハーレムの長ホルミンの供養像(下の写真右)。メンフィスの最も重要な神、オリシス神が収められた祠堂を大切そうに抱えています。

第1章展示風景(左は「アメンヘテプ・フイのピラミディオン」)

「ホルミンの供養像」の裏面にもヒエログリフが刻まれています。


第1章展示風景

解説パネルによると、「ホルミンの供養像」の裏面には、「この墓を見るであろうすべての人、貴族、書記が「この墓の主人に 千のパンとビールを」と唱えますように」といった内容が記されているとのこと。

ホルミンさんは、晩酌にビールを飲むのが楽しみだったのでしょうか。
こちらもおうちでビールが飲みたくなってきました。

「ホルミンさんに乾杯!」

ヒエログリフのメッセージがわかると、古代エジプトの人たちと対話しているような楽しい気分になってきます。

音声ガイドもおすすめです。
主な展示作品の紹介はもちろんのこと、ヒエログリフの発音も聞くことができるのです。
音声ガイドのオフィシャルナビゲーターは俳優の西島英俊さん、ヒエログリフの朗読に挑戦しているのは声優・ナレーターの森川智之さん。
ぜひお試しあれ!。(音声ガイド貸出料金は税込600円)


第2章展示風景(森川智之さんが読んでいるのは、上の写真中央の「クウと家族の供養碑」のヒエログリフ。)

最新技術で古代エジプトの謎に迫る!


第4章のタイトルがすごいです。なんと「ミイラをスキャンする」。

古代エジプトの展覧会というと、出土品やパピルスに描かれたヒエログリフ、そしてミイラや黄金のマスクというのが定番ですが、今回の展覧会の大きな特徴は、最後の第4章で古代エジプト研究の将来の可能性を示していること。

CTスキャンは、もともと病気の精密検査などのために行うコンピュータ断層撮影のことですが、それでミイラを調査してみると、中に30㎝ほどの人形が入っていたことなど、新たな発見があったとのことです。
ぜひ、ミイラの上にあるモニター画面でご確認ください。


第4章展示風景

下の展示ケースの右に展示されている菜箸のような長い棒は何に使われていたのでしょうか。

第4章展示風景

これは書記が使っていたヒエログリフや神々を描くためのペン、そして右の硯のようなものはパレットなのです。

ここにも古代エジプト研究の新たな試みが見えてきました。

書記は、誰が書いたか記名はしないので、墓碑のように個人名まではわからないのですが、現在、ライデン国立古代博物館では。文字の癖などで、どの工房で書かれたものなのか、特定作業が行われているとのことです。

それにしても、当時の書記さんたちは、何千年もたって自分たちが書いたヒエログリフが鑑定されるとは思わなかったことでしょう。研究成果の発表が楽しみです。


展覧会の思い出には古代エジプト展の出品作品すべてをカラーで収録している公式図録がおススメです。
詳しい作品解説はもちろん、古代エジプト年表、それに古代エジプトの神々のイラスト解説もあって、古代エジプトがより身近に感じられること間違いなし!
黄金色に燦然と輝くEGYPTの文字が印象的です。


展覧会公式図録(税込2,400円)

展覧会オリジナルグッズも充実しています。
ミュージアムショップでは、黄金色に輝くピラミッドを発見!
中はクランチチョコ(税込550円)。食べた後は部屋の飾りにもなりますね。


さらにうれしいお知らせがあります。

新型コロナウィルス感染症の影響で、昨年開催が中止になった福岡展と札幌展が開催されることになったのです。
今後の開催予定は次のとおりです。古代エジプト展はまだまだ続きます。近くの街に来たらぜひご覧ください!

仙台展 会場 仙台市博物館  2021年7月9日(金)~9月5日(日)※終了しました。
山口展 会場 山口県立美術館 2021年9月18日(土)9月27日(月)~11月7日(日)※終了しました。
兵庫展 会場 兵庫県立美術館 2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)※終了しました。

福岡展 会場 福岡市博物館  2022年3月12日(土)~2020年6月19日(日)※終了しました。

札幌展 会場 北海道立近代美術館 2022年7月10日(日)~8月21日(日)※終了しました。


もう一つの古代エジプト展、特別展「国立ベルリン・エジプト博物館所蔵 古代エジプト展 天地創造の神話」の様子は、昨年(2020年)11月に「いまトピ」のコラムで紹介しています。こちらもまだまだ続いていますので、あわせてご覧ください。※終了しました。

【スフィンクス奇跡の来日!】古代エジプト神話の世界を見てきた。