地球に飽きたアナタに贈る! 「るるぶ」初のガイドブック「るるぶ宇宙」

2021/4/14 12:30 吉村智樹 吉村智樹




こんにちは。
ライター・放送作家の吉村智樹です。


新型コロナウイルスが、いっこうに収束の気配を見せません。緊急事態宣言との違いがよくわからない蔓延防止等重点措置、通称「まん防」は東京、京都、沖縄でスタート。対象となる都道府県は今後さらに増加すると予想されています。


「こんなんじゃ旅行なんて夢のまた夢」「ゴールデンウイークもステイホームかあ」と、レジャーあきらめムードが日本を包んでいます。口には出せないながら本音では「あー、もーいい加減、どっか旅がしてぇー!」と外出自粛に飽き飽きしている人もきっと多いでしょう。こんな状況から、おさらばしたい。マンボー怒りの脱出を試みたいと。


そこで! 本のなかだけでも、一気にどーんと遠くへ旅してみませんか?


おススメの新刊を紹介する、この連載。
第46冊目は、発売早々に売り切れ店が続出した話題の一冊。
旅行ガイドブック「るるぶ」が創刊以来、初めてお届けする『るるぶ宇宙』です。





■あの「るるぶ」が史上初の“宇宙旅行ガイド”を発売


いま、すい星のごとく登場し、発売早々に書店から姿を消した超話題の「旅の本」があります。それが『るるぶ宇宙』(JTBパブリッシング)。


ガイドブック「るるぶ」を読みながら旅行の計画をたてた人は、きっと多いでしょう。「るるぶ」は日本の津々浦々、世界各国、さまざまな地域を採りあげ40年を超える歴史を誇ります。


しかし……地球規模で新型コロナウイルスの感染が広がってしまったため、残念ながら旅路は分断されてしまいました。これまで当たり前だった「旅行」は、もう気軽にはできません。キラ星のごとく輝く憧れの観光地へはそう簡単には行けない。月灯かりに照らされる異国の回廊を歩くことも、いまは我慢のとき。


いまのままでは旅行ガイドブックを刊行できない。はぁ。
「るるぶ」編集部は、ため息まじりに空を見上げました。
そうして、気がついたのです。
「そうだ! 地球がだめなら、宇宙があるじゃないか!」と(このあたりは僕の勝手な想像です)。


そこで「るるぶ」は遂に掲載エリアを「宇宙」へと拡大。るるぶ史上初となる「宇宙旅行のガイドブック」をビッグバン(発刊)したのです。世界中を駆け巡ったるるぶであっても、これは未知との遭遇。校了前の編集部は、さながらスター・ウオーズというべき戦々恐々とした状態だったでしょう。


■宇宙旅行ツアーに宇宙ホテル、数年後には当たり前に


目次も、ご覧の通り。「るるぶ」流の宇宙旅行プランが満載。



(C)JTBパブリッシング 「るるぶ宇宙」


ページをめくると「宇宙への旅は、もうこんなに具体化されているのか」と驚かされます。一般人のための飛行用ロケット、宇宙旅行ツアーに宇宙ホテルなど、すでに製造や建築の段階に入っているのです。


確かに国際宇宙ステーション(ISS)は、すでに存在するわけですしね。小惑星探査機「はやぶさ2」も先ごろ帰還して話題となりました。宇宙はとても身近な場所となったのです。宇宙の観光化は不思議ではない。ISS初の日本人船長だった若田光一さんは来年、ISSへ向け、なんと5度目の宇宙飛行をする予定なのだそう。こうなるともう「転勤先が宇宙」ですよ。



(C)JTBパブリッシング 「るるぶ宇宙」



(C)JTBパブリッシング 「るるぶ宇宙」



(C)JTBパブリッシング 「るるぶ宇宙」


2024年にはアメリカが商業用の宿泊所(平たく言うと宇宙ホテル)をISSにドッキングさせ、トム・クルーズがそこで映画撮影をするなんてウワサもあるのだそう。SF映画を実際に宇宙で撮影する時代が、ユニバーサルスタジオがユニバースに開かれる日が、もう目の前なんです。


日本人だって、早々に宇宙旅行宣言をしている民間人がいます。Twitterでなぜかフォロワーに100万円を配りまくっている、まるで宇宙のように心が広い前澤友作さんです。前澤さんは2023年に予定されている、スターシップによる月の周回旅行すでに予約しています。およそ6日間かけて月のまわりをランデブーするなんて、ロマンチックじゃないですか。


ちなみに月の周回旅行のご予算は、ひとり700億円から1000億円。いや~、リーズナブルですよね。500円玉で貯金をしたり、ZOZOで買った服をメルカリで売るなどしたりして、旅行の資金に充ててみてはいかがでしょう。こんなふうに、民間人の宇宙旅行は決して遠い未来の話ではない。海外より宇宙の方が旅しやすい時代が訪れるかも。


■宇宙食はB級ならぬS(スペース)級グルメ


そして、さすが「るるぶ」。グルメページも充実しています。チューブで飲みくだせるラーメン、ひとくちサイズに固められた焼きそば、味を感じにくい無重力状態でもおいしく食べられるスパイス強めなカレーなどなど、宇宙食の紹介もふんだんに。おいしそうという気持ちと「うわ、宇宙の食事、たいへんそう」という気持ちに揺れ、想いは銀河を駆け巡ります。


太陽系惑星への旅行プランを紹介したページも楽しい。実際、日本は無人ではありますが火星までは着陸に成功しています。太陽系ツアーを計画する代理店があってもおかしくはない。「新婚旅行は金星にしようか。それとも木星にする?」「えー、せっかく一生に一度の旅なんだから、天王星や海王星まで、行ってみたいな~」と、カップルでいちゃいちゃ相談してみてください。ちなみに海王星はマイナス200度なので、厚着をしていったほうがいいかも。



(C)JTBパブリッシング 「るるぶ宇宙」



(C)JTBパブリッシング 「るるぶ宇宙」


読めば読むほど、宇宙を旅してみたい気持ちが膨れ上がる一冊です。密にならない行楽といえば、お寺めぐりなどが楽しめる気候。それプラス「お宇宙(テラ)めぐり」も視野に入れてみてください。



JTBのMOOK『るるぶ宇宙』
1,100円(10%税込)
JTBパブリッシング

1.ニュースでも話題の国際宇宙ステーション(ISS)を大特集!

野口宇宙飛行士が滞在中で、星出宇宙飛行士の出発も予定されているISS。
将来的に民間旅行にも利用予定のISSの行き方・過ごし方を、ビジュアルメインの楽しい誌面で紹介。
宇宙飛行士たちの生活を元に、将来の宇宙旅行での過ごし方をワクワクしながら想像できます!

2.宇宙開発と宇宙旅行の最前線を分かりやすく解説

民間のプロジェクトとして話題の月周回旅行をはじめ、実現が近いとされる宇宙旅行の情報が盛りだくさん。
月面基地の建設など、より先の未来を目指した動向も紹介しています。
また、旅行の話題だけではなく、サンプルリターンの大成功が話題を呼んだ「はやぶさ2」をはじめ、宇宙にまつわる最新事情も徹底調査! 

3.太陽系惑星の見どころや、全国の宇宙にまつわる体験施設も紹介

月や火星のみならず、将来的には太陽系全体を旅することも!?
観光の際には必ず立ち寄りたい数々の「名所」を先取りしてご案内。
見学可能な宇宙センターや、全国の科学館・技術館など、すぐに役立つ宇宙スポットもたっぷり掲載しています。

監修者:林公代(はやしきみよ)
日本宇宙少年団情報誌編集長を経て2000年からフリーライターに。宇宙・天文分野を中心に取材・執筆。20年以上にわたって宇宙飛行士や宇宙関係者へのインタビュー、NASA、ロシア、日本でのロケット打ち上げ、 すばる望遠鏡(ハワイ)、アルマ望遠鏡(南米チリ)など宇宙関連施設への取材を続ける。近著は『宇宙に行くことは地球を知ること 「宇宙新時代」を生きる』(野口聡一宇宙飛行士、矢野顕子と共著)。2005年に『宇宙の歩き方』を上梓した宇宙旅行ガイドブックのパイオニア。
https://jtbpublishing.co.jp/topics/CL000332



吉村智樹