あのお寺にもいた!「大地のハンター」たち

2021/3/16 22:15 Tak(タケ) Tak(タケ)

上野にある国立科学博物館で特別展 「大地のハンター展 ~陸の上にも4億年~」が開催されています。



白亜紀の巨大ワニ・デイノスクスやネコ科哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類、節足動物トンボやハチなど、300点以上もの様々なハンター(捕食者)たちが待ち構えています。

ところで、獰猛なハンターたちが日本各地のお寺にもたくさんいることご存知でしょうか。

殺生は仏教の戒律の中でも最も強く禁じられてきた罪です。それを容認するかのようにハンターたちをお寺で大事に扱っているなんてことがあるのでしょうか。



ハンターという切り口でみると確かに仏教寺院とは相いれないものがあります。

しかし、「釈迦涅槃図」に描かれた数多の動物たちや、ブッダに喩えられている獅子(ライオン)など仏像などにも動物たちはたくさん登場します。

そんなお寺にいて気軽に観られるハンターたちを今日は紹介したいと思います。もしかしたら、皆さんがお住いの地域のお寺にも秘蔵されたハンターたちがいるかもしれません。



東京神楽坂にある善國寺の狛犬ならぬ 狛虎(こまとら, 狛寅, 石虎)です。

善國寺は日蓮宗の寺院で「神楽坂の毘沙門さま」として古くから信仰を集めています。この狛虎(石虎 )は新宿区指定有形民俗文化財にも指定されている貴重な阿吽一対の狛虎像。

虎は毘沙門天の使いとして考えられており、ここだけでなく天現寺(東京)、多聞院(埼玉)にもトラ像が祀られています。



徳島県にある鶴林寺に三門に2羽の番いの鶴がいます。四国八十八箇所霊場第20番札所で多くの人が訪れる鶴林寺。

本堂を守るかのように大きなこれまた2羽の鶴の像が設置されています。このお寺の縁起と2羽の鶴が深~い関係にあることから全国でも珍しい鶴の像やレリーフが残されています。



北海道の金龍寺には全国でもここだけの鮫(サメ)を崇拝する信仰から奉納された「鮫様(龍神・妙亀菩薩・鮫神像)」があります。

北海道指定有形民俗文化財に指定されており「文化遺産オンライン」でも詳しく観ることができます。それによると「鮫は、石狩地方のアイヌの人たちの伝承に見えるチョウザメと結び付くものと考えられ、アイヌの伝承と和人の信仰が混淆した北海道の特色ある様相を呈しています。」とのこと。

そういえば品川に鮫洲という地名がありますが、その地名の由来を調べてみると鮫洲観音なるものが出てきます。



こちらは何の説明も要らないでしょう。日光東照宮の回廊の建築装飾彫刻作品「眠り猫」です。

ネコは人間の生活のパートナーとして古くから飼われていました。ネズミハンターとして南蛮船にも乗っていたそうです。

身近な存在なだけあり、多くのお寺に猫がいます。京都の檀王法林寺に祀られている主夜神尊のお使いは黒猫です。「黒招き猫」として販売も行っています。そういえば増上寺にも「黒い招き猫」がありました。



最後に紹介するるこの動物(ハンター)は一体なんでしょう??

実はこれ夢ハンターの獏(バク)なのです。島根県にある長江寺に伝わる「獏頭の玉枕」です。何でもこの獏枕で眠ると「悪夢を喰らい、吉夢を見せる」と伝えられているそうです。ちょっと欲しいかも。最近寝つきが悪いので。

そんなのただの言い伝えでしょう…と侮ることなかれ。この「獏頭の玉枕」には本物の獏の骨が入っているそうです!んん?獏って伝説上の生き物ではなかったでしたっけ。。。あれれ~

見学したい方は事前にお寺に連絡して下さいね。



「ハンター」という括りで紹介してきましたが、お寺にはもっともっと沢山の動物たちが住んでいます。イヌ、ウサギ、ゾウ、サル、クジャク、フクロウ、ニワトリ、カメ、カエルそしてカニまで!

築地本願寺など伊東忠太の妖怪趣味で設置された様々な動物たちがいます。「お寺や神社にいる動物」というテーマで捉え直してみると、寺社仏閣巡りもより一層楽しくなるはずです。


お寺のどうぶつ図鑑
今井浄圓(監) 二見書房