桃太郎が確定申告?『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』

2021/1/20 11:00吉村智樹吉村智樹




こんにちは。
ライター・放送作家の吉村智樹です。


おススメの新刊を紹介する、この連載。
第35冊目確定申告のシーズンが始まるいまこそ読んでほしい話題の一冊『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』です。





■頭が痛い「確定申告」。笑える「税金本」で頭を休めよう


わたくしごとです。
ご多分に漏れず、新型コロナウイルスの影響を受け、仕事が減ってしまった2020年。
「このままでは家計に火がつく。かちかち山だ!」
慌てて「在宅でできる仕事はないか」と探しまくり、なんとか戦禍をくぐり抜けました。


その結果……持続化給付金の支給対象者として認められませんでした(涙)。
よかれと思って対処しただけ。稼いだわけでも、なんでもないのですが(号泣)。
三年寝太郎のように、もっと慌てずじっくり時間をかけて考えるべきだったのかな。


こうなったら、あとは確定申告後の還付金だけを楽しみに生きてゆくとしましょう
そう、いよいよ確定申告のシーズン
あなたは準備は始めていますか?


「確定申告……アタマ痛い」「めんどくせー!」
わかりますとも、その気持ち。


そんな確定申告など忘れたいあなたにおススメなのが、話題の新刊『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか? 日本の昔話で身につく税の基本』(ダイヤモンド社)


この新刊は「もしも日本の昔話の登場人物たちに納税の義務があったら、どうなる?」をシミュレーションした本。


さらに、たとえば「桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?」を考えることで「そもそも経費とは、なんなのか」を解き明かす、笑えてタメになる一冊なのです。





■確定申告からの現実逃避で生まれた「日本の昔話の税金問題」の本


新刊『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』の著者は人気ライターの井上マサキさんと、税理士の高橋創(はじめ)さん
もともと井上さんが確定申告に頭を痛めているさなか「桃太郎が持ち帰った金銀財宝、いまなら税務署が黙っちゃいないよな」と現実逃避しているうちにそっちの方がおもしろくなり、高橋さんに監修をお願いして誕生した新刊なのだそう。


確かに日本の昔話って冷静に考えてみると「相手が子どもだと思って、お金の件、うやむやにしてるよな」ってエピソードが多いんです。


●「桃太郎」が鬼ヶ島から奪い返した宝の山には「所得」になる? 課税対象になる?
●「桃太郎」が家来のサル、犬、キジに与えたきびだんごは「給与」になる?
●「鶴の恩返し」で鶴が織った反物は、どこからどこまでが経費?
●「わらしべ長者」が物々交換で得た豪邸は固定資産税を払わなきゃいけない?
●「舌切り雀」でおばあさんが持ち帰った大きなつづらには「贈与税」がかかる?
●「こぶとりじいさん」に医療費控除はある?
●「浦島太郎」が竜宮城へ行っているあいだ、延滞しているさまざまな納税はどうなる?
●「三年寝太郎」や「金太郎」は「扶養控除」の対象になる?
●「かぐや姫」って言わば結婚詐欺じゃないの? 貢物も課税の対象になる?


などなど「言われてみればそうだよな~」と、大笑いしながら膝を打つ視点が続々と登場。
「昔話」と言っても『日本書紀』にはすでに税制について書かれた項目があります。さらに実際に年貢が登場する昔話もあるのですから、井上さんと高橋さんが無理やりイジっているわけではない。すべては「ありえた」考え方。決してこじつけた考察ではないところが、リアルで面白いんです。
「おぬしたち、まるでいい話みたいなふうに語り継がれているけれど、実は脱税しておるな!」と、昔話の見方が変わります。





■わかるわかる! 現代と通じる部分が多い昔話


新刊『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』の素晴らしいところは「税金という視点を用い、昔話が語ろうとしていた真意に迫っている」部分にもあります。


たとえば「鶴の恩返し」
美しい女性となって再び現れた鶴。彼女は男に「決してふすまを開けないでください」とお願いし、部屋にこもって機を織った。しかし男は、つい好奇心からふすまを開けてしまう


この本は「ふすまを開けない」約束を破ったことで、税という観点から「男はいかに損失したか」を解明します。それにより約束をたやすく反故にしたり、信頼関係を損ねたりする行いが、いかに悲しいか、どれほど愚かだったかを読者に伝えるのです。「鶴の恩返し」には、こんなにも現代に通じるメッセージがあるのだと改めて痛感しました。


さらに「うばすて山に捨てた母親の遺産は相続できるか」というパートは、笑いに包まれた一冊のなかでも極めて異色。税金のみならずシチュエーション丸ごと高齢化問題にあえぐ令和に置き換えられる物語ゆえ、このシビアな章を敢えて入れた井上さんと高橋さんの志の高さに感動しました。


このように、日本の昔話へのリスペクトが伝わってきます。再評価しようという気概を感じるのです。単なる茶化しやパロディでは、この深い読後感は味わえません。





■桃からではなくWeb記事から単行本が生まれた!


新刊『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』のもうひとつの魅力、それは、この本がもともとはWebメディア『デイリーポータルZ』のひとつの記事だった点。


井上マサキさんがお書きになった「桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?」という記事が好評を得て、どんぶらこ、どんぶらこと、単行本化へと話が進んでいったのだそう


ネットの記事から書籍が生まれるなんて、こんなに夢のある話はありません。ブロガーやnoteに書いてる人(ノーター?)に「自分が書いた記事が単行本化されるかもしれない」という希望を与えてくれました。モチベーションがあがりますよ。あ、モチじゃなく、きびダンゴベーションとでも言いましょうか。


今後、新刊『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』が節税を考えなきゃならないほど鬼ヒットし、「めでたし、めでたし」とあいなりますように祈っております。



桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?
日本の昔話で身につく税の基本
高橋創
井上マサキ 著
1,400円+
ダイヤモンド社

知らないと損する、でもわかりにくい税のことを、楽しみながら学べる!!

「鶴の恩返し」「桃太郎」「わらしべ長者」「分福茶釜」「うばすて山」「舌切り雀&笠地蔵」「かぐや姫」「かちかち山」「三年寝太郎&金太郎」

新宿の片隅の片隅に、桃太郎や浦島太郎など昔話の主人公たちが駆け込む税理事務所がありました。
https://www.diamond.co.jp/book/9784478110362.html



吉村智樹