おサルさんもマスクを装着!?…コロナ禍に振り返る観光地みやげ【ファンシー絵みやげ】

2020/6/19 12:00山下メロ山下メロ


■ マスクを手放せない時代

新型コロナウイルスの感染を予防するため、マスクの着用が推奨されています。マスクを着用していないと入れない店や施設などもありますので、マスクが手放せません。品薄で入手困難だったマスクも、だんだんと出回ってきました。

これまでにないほど皆がマスクを装着し、マスクが話題にのぼる中、筆者が集めている「80年代から90年代に日本中の観光地で売られていた子ども向けの観光地みやげ」=「ファンシー絵みやげ」の中に存在するマスクを探してみたいと思います。


↑ これが噂のファンシー絵みやげだっ!

しかし、マスクをしているファンシー絵みやげを浮かべてみましたが、なかなか思いつきません。マスクがトレードマークの歴史上の人物……特に浮かびませんでした。そもそも現代で使われているマスクが日本で使われはじめたのは大正時代。しかも工場で防塵のために導入されたものでした。その後、一般にも普及しますが、なかなか肖像画や写真でマスク姿というのも珍しいです。

そんなわけで、連載漫画で風邪をひいた回などの扉絵などを別にすれば、なかなかマスクをしているキャラクターのイラストというのは思い浮かびません。しかし、ファンシー絵みやげにおいては、マスクが描かれているイメージがあるのです。それは「見ざる聞かざる言わざる」の、いわゆる三猿です。



■ 三猿とはなんなのか

栃木県日光市・徳川家康公の眠る日光東照宮の神厩舎に彫られた十六匹の猿。神厩舎はその名の通り神馬を繋ぐ厩です。猿は馬の病気を治すと言われることから、ここに彫られたようです。この人間の一生を表したという作品の中で特に有名なのが、幼少期を表す「見ざる言わざる聞かざる」のいわゆる三猿です。


↑2015年10月に保護活動に出かけた際、日光東照宮の石碑の横で写真を撮った。手には三猿のファンシー絵みやげ暖簾。

まず一番重要なのは、三匹の猿を用いて「見ない、言わない、聞かない」を表現するモチーフは世界中にあり、古代エジプトにも見られるということです。世界的なSNSなどの絵文字に「見ざる」「言わざる」「聞かざる」の三猿があるのも、世界で知られているためなのです。


↑こちらも2015年10月に日光東照宮で撮影。有名な「眠り猫」を、架空の人物とされる左甚五郎が彫ったと言われていることから、三猿についても左甚五郎の作と考える説もある。

日本には中国から庚申信仰の1つとして入ってきましたので、庚申塔(庚申塚)に、青面金剛とともに三猿が彫られているものもあります。日本では「見ざる言わざる聞かざる(見猿、言わ猿、聞か猿)」のように、気の利いたダジャレになっていますが、海外では必ずしもそうではないようです。また、中国には「せざる」を含んだ三猿ならぬ四猿というものもあります。そして、世界では猿以外の動物で表現されることも。



こちらはオーストラリアの三コアラ。日本とは順番が違います。
こちらも「聞かねえぞコァラァ!見ねえぞコァラァ!言わねえぞコァラァ!」と、ダジャレになっている……わけではない。文言は筆者が勝手に捏造。

■ ファンシー絵みやげの中の三猿

子どもがターゲットであり、流行を取り入れて、漫画的表現をするファンシー絵みやげにおいて、一番多くアレンジが施されたのが三猿と言っても良いでしょう。本物と同じく目・耳・口を手で押さえたものだけではありません。



↑こんな感じで、聞かざるが初期ウォークマンのヘッドホンをしている。これも流行を取り入れたアレンジ


↑黒地に蛍光色の暖簾。こちらも聞かざるがウォークマン、そして見ざるがサングラス。言わざるがオニギリを食べているのは珍しいが……飲み物はシェイク!?

こんな風に普通に押さえるだけではなく、アイテムを駆使しているのが楽しいですね。聞かざるがウォークマンは定番中の定番です。さて、ここで本題のマスクですが、お気づきの通り言わざるがしているのです。


↑見ざるはサングラス……かアイマスク?、聞かざるはヘッドホン、そして言わざるがマスク


↑映画『ブルースブラザーズ』のパロディでしょう。こちらも言わざるはマスクです


↑「言WAZARU」など、漢字とローマ字の組み合わせが珍しいマグカップ。聞かざるがウォークマン、見ざるがサングラス、言わざるがマスク。

こんな感じで、なかなか「これぞ」というイラストに描かれる必然性に欠ける「マスク」というアイテムも、「言わざる」を表現する状況では大活躍していますね。クイズ番組などでバツマークが書かれたマスクをするなど、今以上に当時はマスクに「喋ってはいけない」という認識があったのかもしれません。


最後にこんなものもあります。


小さくて見づらいですが、左側のピンクのキーホルダーの右側のサル。こちらは強盗風のマスクをしていますね。こんな表現まで存在するほど、バリエーションが多かったのです。




では、また次回。




(文と写真:山下メロ)


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