葛飾北斎「冨嶽三十六景」本当の凄さ

2020/5/19 19:10 Tak(タケ) Tak(タケ)

「冨嶽三十六景」について岡田美術館館長で美術史家の小林忠氏は「富士山をさまざまな場所から捉えた風景画シリーズで、季節・時間・天候、そこに住まう人々の営みなどの要素を加えて描いた」と述べられています。

確かに、人々だけでなく、季節感を表す花や、風雨や雷なども「冨嶽三十六景」で表現されています。



美術館や博物館で46作品一気に観ると、たいてい疲れてしまいその辺の観察があやふやになってしまうものです。

それだけではありません、「冨嶽三十六景」の主役である富士山でさえ、ろくに観ていなかったことがジグソーパズルを組みながら分かって来ました。

試しに、「冨嶽三十六景」に描かれた富士山の絵3枚をピックアップしてみます。どの浮世絵に描かれていたものかすぐに分かる方いらっしゃいますか?







たった3枚を見比べてみても、北斎が富士山を決して記号化することなく、作品の主役として扱っていたことが分かります。残雪の表現も全て違います。

もっと子細に見ていくと、雲の形や空の色(グラデーション)なども同じにならないよう、違いをつけています。

ジグソーパズルを組み立てる作業で大事な同じ色味のパーツを揃え絵に当てはめていくという作業は、絵画をよりじっくりと観るとても良い機会となるのです。

なお、上記の「冨嶽三十六景」画像と小林忠氏の解説は小学館のこちらの本から引用しました。おうちで原寸大の北斎作品が鑑賞でくる優れモノです。


『北斎原寸美術館 100%Hokusai!』 (100% ART MUSEUM)

前述したように、北斎を知らぬ人はいません。その代表作「冨嶽三十六景」と同様に。でも実はしっかりと全ての作品を観たことのある人は少数です。

美術好きでもなかなかここまで詳しく「冨嶽三十六景」を観た経験は少ないでしょう。
↑ かみさんと二人で、あれこれ考え意見出し合いながら完成。



それが、超アナログな遊びであるジグソーパズルによって、こんなに深く鑑賞し、様々な新発見を得られるとは一体だれが想像したことでしょう。

外出自粛、ステイホーム中であっても、美術の魅力を追求することは決して難しいことではありません。

webでも様々な取り組みがなされていますが、やはり最後は膝を床につけての手仕事・手作業が、心にも身体にもやさしいのかもしれません。北斎がそうだったように。


『1000ピース ジグソーパズル 葛飾北斎 冨嶽三十六景コレクション』(49x72cm)

因みに、箱の裏面には「冨嶽三十六景」全ての作品名がこのように分かりやすく記されています。



例年は国内外を飛び回って家にいる時間が少ないGWですが、今年は新型コロナの思わぬ副作用で、めちゃめちゃ有意義な自宅時間を過ごすことが出来ました。

それと、ジグソーパズルの面白さに目覚めてしまい、早速こちらを注文し、今取り組んでいます。同じ1000ピースですが、ひとつひとつが小さいので難易度が増します。


『1000ピース ジグソーパズル 名画セレクション 40 世界極小マイクロピース』(26×38cm)

こちらでも、新たな知見がきっと得られるはずです。ワクワク!!

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