【世界遺産を #おうち旅行 】ベルギーの中世の街並みが残るブルージュ

2020/4/29 20:40 明菜 明菜

こんにちは、お手玉やおはじきで #おうち時間 を満喫している、美術ブロガーの明菜です。嘘です。皆さんは何して過ごしてますか?

SNSでは #おうち旅行 なるタグも流行っていますね。私も便乗して、2019年に訪れたベルギーの世界遺産を紹介したいと思います!



皆さん、ベルギーにある『ブルージュ』という都市をご存知ですか?中世の街並みがそのまま残されたような世界遺産『ブルージュ歴史地区』は、『北のベネチア』『屋根のない美術館』との異名を誇る美しさが魅力の都市です。



日本の京都のようなイメージで、哀愁ただよう昔の建物が印象的。おとぎ話に出てきそうな街並みですね。13〜14世紀頃は栄えていたのですが、その後は衰退して忘れ去られたため、中世の景観がそのまま残ったのです。派手さのない簡素な建物に歴史を感じる街並みです。



しかし、今では観光客に大人気で、国内外からたくさんの人が!ブルージュが再び脚光を浴びたのは、ある小説の舞台になったからなのです。

それが『死都ブルージュ』という作品です。ベルギー出身の作家、ジョルジュ・ローデンバックが書いた悲恋のお話です。



愛する妻を亡くして抜け殻のようになった主人公は、自分に似た灰色の街、ブルージュに越してきます。そこで亡き妻にそっくりな若い女性と出会い、彼女に妻を重ねてしまう……。

今では活気に溢れて完全に「生都」ですが、ローデンバックは詫びしいブルージュにインスピレーションを得て、『死都ブルージュ』を執筆しました。この小説に影響を受け、ベルギーの画家、フェルナン・クノップフが《見捨てられた町》という絵を描いています。


フェルナン・クノップフ《見捨てられた町》1904年 ベルギー王立美術館

見捨てられてますねー。小説『死都ブルージュ』に近いイメージだと思います。ちなみにクノップフは子供時代をブルージュで過ごしています。ブルージュにも小説にも、特別な思い入れがあったのではないでしょうか。



『死都ブルージュ』で注目され、息を吹き返したかのように観光地化したブルージュですが、景観美は本当に堪りません。クルーズ船で街を一周すると気持ち良いですよ。

ちなみに、ブルージュで一番の観光名所『鐘楼』は、世界遺産『ベルギーとフランスの鐘楼群』の1つでもあります。世界遺産ブルージュの中の、世界遺産の鐘楼、というわけです。


ブルージュの鐘楼

ブルージュに来たら、美術品も見逃せないですよ!メムリンク美術館には、ベルギー7大秘宝の1つである『聖ウルスラの聖遺物箱』もあるので、ぜひ見ていきましょう!


ハンス・メムリンク《聖ウルスラの聖遺物箱》1489年以前 メムリンク美術館

聖母教会にはルネサンスを代表する彫刻家、ミケランジェロの聖母子像もあります。この彫刻は彼が生涯で唯一、イタリア国外で制作したものなんですよ。


ミケランジェロ・ブオナローティ《ブルージュの聖母子像》1501年〜1504年 聖母教会

地ビール『ブルッグス・ゾット』も、ベルギービールの中でも有名なので、ぜひ試してみてくださいね!酸味が強めでバランスの取れたマイルドなビールです。



世界遺産にも登録されているベルギーのブルージュを紹介してきました。中世の街に足を踏み入れれば、おとぎ話や歴史映画の世界に迷い込んだよう。首都ブリュッセルから鉄道で1時間ほどで行けるので、ベルギー旅行の際はブルージュも訪れてはいかがでしょうか?