令和の時代に再注目を集める幻の『お菓子図鑑』とは?
誕生から今年で50周年を迎えたアポロチョコのように、何世代にもわたり愛され続けるお菓子は沢山あります。
とりわけ、地方へ行くとその土地の味とも言えるお菓子が、今なおひっそりと売られていたりします。
「博多二〇加煎餅」
株式会社東雲堂が製造している、博多の銘菓「二◯加煎餅(にわかせんぺい)」。1906年(明治39年)から販売されているお菓子です。
饅頭に御団子、煎餅、羊羹、落雁など素朴な郷土菓子は、見ているだけで心をほっこりとさせてくれる優しい母のような存在です。
たまに実家に帰ると、小さい頃から慣れ親しんだ地元の銘菓が無性に食べたくなるもの。幼い頃の思い出が、お菓子と紐づけされノスタルジーをかき立てます。
「松江わかくさ」
創業明治7年 島根県松江の老舗 彩雲堂の「若草」。茶人としても名高い松江藩7代藩主松平治郷(不昧)によって考案された茶菓子です。
「生姜糖」
創業明治43年 三重県伊勢の老舗 岩戸屋の「宇治山田生姜糖」。生姜汁と砂糖を煮込み神宮のお札の型に流し込んで作ったお菓子です。
「あっ!それ私の地元のお菓子だ!!」なんてよくご存じのものありましたか。たかがお菓子、されどお菓子。長いこと地元の人々に愛され続けているからこそ、令和となった今でも販売され続けているのです。
ところで、今回はお菓子についてなのですが、お菓子そのものをご紹介するのではありません。ちなみに老舗和菓子店の紹介でもありません。
今回是非見てもらいたかったのは「お菓子の絵」です!
「うまんまら」
特徴ある、実に味わい深いお菓子の絵ですよね。今人気の若手イラストレーターがお洒落に描いたと思うかもしれません。
でもでも、これらを描いたのは、何と明治27年生まれの武井武雄氏(1894年6月25日-1983年2月7日)という童画家なのです。
昭和11年7月から太平洋戦争をはさみ昭和33年11月までの実に20年余にわたり、自分で購入したり、日本全国の友人知人から送ってもらった合計169もの郷土菓子を3冊の和綴じ本に描き残したのです。
それこそが、武井武雄が遺した幻のお菓子画帳『日本郷土菓子図譜』に他なりません。
武井武雄『日本郷土菓子図譜』
『日本郷土菓子図譜』の何がスゴイって、20年もお菓子の絵だけでなく、味や感想、入手した年月日、誰から送ってもらったのか、はたまた包み紙やパッケージ、ラベル、商標など全てが網羅されている点です。
蒐集癖のある大人は沢山いますが、ただ集めるだけでなく、自分で水彩画で表現し、時に辛辣なコメントまで書き綴っている『日本郷土菓子図譜』は他に類を見ない貴重な記録です。
芸術作品であれば、美術館や博物館で大事に維持保管され後世に引き継がれますが、消費物であるお菓子はまさに「消えモノ」食べてしまえば姿かたちが無くなってしまいます。
「さざれ石」
また、大磯の銘菓「さざれ石」など、かつて販売されていたものの、残念ながら今では手に入らない、口にすることの出来ない幻のお菓子も『日本郷土菓子図譜』に記録としてしっかりと残されています。
単なるコレクションの記録ではなく、それぞれのお菓子に対する、「武井武雄氏の主観」が記されているからこそ、『日本郷土菓子図譜』がより生き生きと感じられるのです。
この図譜は残念ながら普段非公開(長野県岡谷市のイルフ童画館所蔵)ですが、アートとしてそして何よりも武井の情熱を知ってもらおうと、『日本郷土菓子図譜』すべてを初めて一挙公開する本が新潮社より刊行となりました。
昭和の人気童画家が遺した「お菓子画帳」のスケッチ全169点を一挙公開。今も食べられる99のお菓子ガイド付きです。
懐かしいお菓子: 武井武雄の『日本郷土菓子図譜』を味わう (とんぼの本)
密かに遺された、世界一おいしそうな絵。素朴でかわいいお菓子尽くし! 大人も子供もみんな大好きだった、甘くてやさしい味の、あの饅頭、煎餅、羊羹……。昭和の人気童画家が密かに綴り、戦火を逃れた奇跡の図譜から、各地で長く愛されてきたお菓子の絵全169点を一挙公開。水彩画としても秀逸、和菓子の記録としても第一級資料となる貴重な一冊。
懐かしいお菓子: 武井武雄の『日本郷土菓子図譜』を味わう (とんぼの本)
画像は全て本書収載の武井武雄『日本郷土菓子図譜』より。
とりわけ、地方へ行くとその土地の味とも言えるお菓子が、今なおひっそりと売られていたりします。
「博多二〇加煎餅」
株式会社東雲堂が製造している、博多の銘菓「二◯加煎餅(にわかせんぺい)」。1906年(明治39年)から販売されているお菓子です。
饅頭に御団子、煎餅、羊羹、落雁など素朴な郷土菓子は、見ているだけで心をほっこりとさせてくれる優しい母のような存在です。
たまに実家に帰ると、小さい頃から慣れ親しんだ地元の銘菓が無性に食べたくなるもの。幼い頃の思い出が、お菓子と紐づけされノスタルジーをかき立てます。
「松江わかくさ」
創業明治7年 島根県松江の老舗 彩雲堂の「若草」。茶人としても名高い松江藩7代藩主松平治郷(不昧)によって考案された茶菓子です。
「生姜糖」
創業明治43年 三重県伊勢の老舗 岩戸屋の「宇治山田生姜糖」。生姜汁と砂糖を煮込み神宮のお札の型に流し込んで作ったお菓子です。
「あっ!それ私の地元のお菓子だ!!」なんてよくご存じのものありましたか。たかがお菓子、されどお菓子。長いこと地元の人々に愛され続けているからこそ、令和となった今でも販売され続けているのです。
ところで、今回はお菓子についてなのですが、お菓子そのものをご紹介するのではありません。ちなみに老舗和菓子店の紹介でもありません。
今回是非見てもらいたかったのは「お菓子の絵」です!
「うまんまら」
特徴ある、実に味わい深いお菓子の絵ですよね。今人気の若手イラストレーターがお洒落に描いたと思うかもしれません。
でもでも、これらを描いたのは、何と明治27年生まれの武井武雄氏(1894年6月25日-1983年2月7日)という童画家なのです。
昭和11年7月から太平洋戦争をはさみ昭和33年11月までの実に20年余にわたり、自分で購入したり、日本全国の友人知人から送ってもらった合計169もの郷土菓子を3冊の和綴じ本に描き残したのです。
それこそが、武井武雄が遺した幻のお菓子画帳『日本郷土菓子図譜』に他なりません。
武井武雄『日本郷土菓子図譜』
『日本郷土菓子図譜』の何がスゴイって、20年もお菓子の絵だけでなく、味や感想、入手した年月日、誰から送ってもらったのか、はたまた包み紙やパッケージ、ラベル、商標など全てが網羅されている点です。
蒐集癖のある大人は沢山いますが、ただ集めるだけでなく、自分で水彩画で表現し、時に辛辣なコメントまで書き綴っている『日本郷土菓子図譜』は他に類を見ない貴重な記録です。
芸術作品であれば、美術館や博物館で大事に維持保管され後世に引き継がれますが、消費物であるお菓子はまさに「消えモノ」食べてしまえば姿かたちが無くなってしまいます。
「さざれ石」
また、大磯の銘菓「さざれ石」など、かつて販売されていたものの、残念ながら今では手に入らない、口にすることの出来ない幻のお菓子も『日本郷土菓子図譜』に記録としてしっかりと残されています。
単なるコレクションの記録ではなく、それぞれのお菓子に対する、「武井武雄氏の主観」が記されているからこそ、『日本郷土菓子図譜』がより生き生きと感じられるのです。
この図譜は残念ながら普段非公開(長野県岡谷市のイルフ童画館所蔵)ですが、アートとしてそして何よりも武井の情熱を知ってもらおうと、『日本郷土菓子図譜』すべてを初めて一挙公開する本が新潮社より刊行となりました。
昭和の人気童画家が遺した「お菓子画帳」のスケッチ全169点を一挙公開。今も食べられる99のお菓子ガイド付きです。
懐かしいお菓子: 武井武雄の『日本郷土菓子図譜』を味わう (とんぼの本)
密かに遺された、世界一おいしそうな絵。素朴でかわいいお菓子尽くし! 大人も子供もみんな大好きだった、甘くてやさしい味の、あの饅頭、煎餅、羊羹……。昭和の人気童画家が密かに綴り、戦火を逃れた奇跡の図譜から、各地で長く愛されてきたお菓子の絵全169点を一挙公開。水彩画としても秀逸、和菓子の記録としても第一級資料となる貴重な一冊。
懐かしいお菓子: 武井武雄の『日本郷土菓子図譜』を味わう (とんぼの本)
画像は全て本書収載の武井武雄『日本郷土菓子図譜』より。