あなたのまだ知らない「富士山」を見に行こう!

2019/12/27 23:20 Tak(タケ) Tak(タケ)

存在することが当たり前だと思っていると、実は本質を見誤ってしまうことって意外とあるものです。「知っている」と思い込んでしまうのが一番いけないことです。



それは、富士山についても同じことが言えます。

でも、富士山は富士山でしょう。新幹線や飛行機からもしばしべ目にしているし…訪日観光客の方々でも「Mt. Fuji」はご存知です。



それでは、一体タイトルにあるあなたのまだ知らない「富士山」とは何のことなのでしょう。

あまりじらしても仕方ないので、解答を。その正体は、2017年12月23日、静岡県富士宮市宮町に開館した「静岡県富士山世界遺産センター」のことです。


「センター前面に湧水を引き込んだ水盤をつくり、建物の象徴である逆さ富士を水面に表現」(設計:株式会社坂茂建築設計)

静岡県富士山世界遺産センターは、世界遺産の根拠となる「世界遺産条約(国際条約)」に規定されている、世界遺産を「保護し、保存し、整備し及び将来の世代へ伝えることを確保する」拠点施設であり、学術調査機能などを併せ持つ施設です。

知っているようで我々は富士山のことについてほとんど何も知らないことを、ここの施設に行くと痛感させられます。と同時に富士山に対する深い深い愛を感じられます。それは古くからの信仰があってのことでもあります。



館内は、グッゲンハイム美術館のように、らせんスロープを登って行きながら「登拝する山」→「荒ぶる山」→「聖なる山」→「美しき山」→「育む山」→「受け継ぐ山」と富士山について学びつつ、疑似登山を体験できる仕掛けとなっています。

2013年(平成25)に「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」の名称で世界文化遺産に登録されました。

人が作り上げたものでない自然物であるひとつの山が世界遺産とされたのは、この名称にもある通り、古来より人々が畏敬の念を抱く「信仰の対象」であったこと。


富士山頂に湧く霊水を使用して描いた 谷文晁(賛は父谷麓谷)「富士山図」
静岡県富士山世界遺産センター蔵

そしてそれと同時に、多くの芸術作品を産んだ「芸術の源泉」であったことが世界遺産委員会に認められたからに他なりません。

館内には、日本だけでなく世界各国に所蔵される江戸時代の富士山絵画300点ほどを集めたデジタル・データベース(拡大・縮小可、5言語対応、一部は上方スクリーンに原寸大で映写)も設置されています。


富士山デジタル・データベース

ここにもたくさんの“あなたのまだ知らない「富士山」”が待っています。

またこの他にも、富士山の信仰や芸術、世界遺産、に関する文献を収集したセンター附属の図書室(富士山ライブラリー)も併設されています。


富士山がみえる展望ホール

ここまで読んで、「なるほど~富士山を紹介する観光施設ね。」と思ったりしていませんか。静岡県富士山世界遺産センターを、そんじょそこいらの観光施設と勘違いしては困ります。

美術史、地質学、社会史、日本古典文学、民俗学といった様々な分野の専任研究員が属し、富士山を学術的に掘り下げる研究機関であるのです。

こちらをご覧あれ!→富士山世界遺産センター研究員一覧


冬季特別展「谷文晁×富士山 -山を写した時代の寵児-」展示風景

美術館・博物館としての機能が実はこの施設の本質でもあります。だからこそ、知らない富士山に出会えるのです。

常設展示だけでなく、年に数回の企画展示も行っており、現在はこちらの展覧会が開かれています。因みに、2020年の年始は、1/1,1/2,1/3ともに開館しているそうです。

もうすぐ新しい年を迎えます。静岡県富士山世界遺産センターに初もうでなんて如何でしょう。2020年も良い年になりますよう願いを込めて。


冬季特別展「谷文晁×富士山 -山を写した時代の寵児-」
開催期間:2019年12月7日(土)~2020年2月2日(日)
開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
会期中の休館日:2019年12月17日(火)、2019年12月27日(金)~31日(火)、2020年1月10日(金)、2020年1月21日(火)


静岡県富士山世界遺産センター