ヤンキーがファンシーを買う!?……修学旅行とファンシー絵みやげ【ヤンキーメイト】
■ ヤンキーと修学旅行
早速ですが短ランに身を包んだ私です。こういった改造学生服に身を包んでいた80年代から90年代のヤンキーがいかにファンシーを好んだかという話を、先日発売になった書籍『ヤンキーメイト』に書いています。ここでは、そういったアイテムについて見ていきましょう。
まずは、ヤンキーも購入していたファンシー絵みやげについて説明しましょう。
1980年代から90年代にかけて、こういったデフォルメイラストをプリントしたキーホルダーや湯呑み、灰皿などの商品が、日本中の観光地や井関連施設で売られていました。
修学旅行に来る不良学生も、おみやげは買います。では何を買わせるかというと、まずは武器として使える木刀でしょう。そしてこれまで見てきたような旭日旗モチーフの商品は、Tシャツから暖簾、タペストリー、そしてクッションまで多数ありました。中でも目をひくのは、フラッグです。そのまま暴走族の旗棒に付けられますので、非常に実用的な商品でした。
↑山口県は錦帯橋で売られていたのでKINTAIKYOの文字が入っている。「きっちり」を「KITCHIRI」とヘボン式ローマ字で書かれている。
↑人物は上とほぼ同じだが、突然背景にデカい拳が追加されている。破砕されたような効果のローマ字が目新しい。しかしローマ字においてはマクロン記号を利用するなど、訓令式に寄っている。
最後にフラッグもので一気にかわいくなった商品を紹介したい。
クレヨンタッチで描かれたファンシーイラストレーションが、旭日旗にマッチするとは意外ですね!
■ 暴走族ブーム
あわせて重要なのが、サーキットのレーサーだけでなく、当時は地方の暴走族もまた、バイクで疾走していたことです。
↑集会に向けてスクーターで疾走する暴走族のメンバー。こんなキーホルダーも作られていた。タグが付いていることから観光地の土産店で売られていたと思われる。
改造バイクに特攻服、旭日旗などの要素を持つ暴走族と、もう少し大きなカテゴリで、主に不良学生を指すツッパリ、ヤンキーと呼ばれた若者たち。彼らは1980年代に漫画などのサブカルチャーを中心にディフォルメされて消費されていきました。
↑旭日旗をバックに「特攻」の二文字。暴走族の世界観には旭日旗に神風特攻隊など、旧日本軍や愛国の要素が含まれている。イラストはウンコ座りするリーゼントにマスクの不良学生なので、あまり暴走族の感じはない。ただし裏ボタンの文字など、不良学生も暴走族の要素は取り入れていた。
■ 音楽とツッパリ
1981年に「ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編) 」をヒットさせたTHE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL、それから銀蝿一家で「男の勲章」の嶋大輔、杉本哲太のいた紅麗威甦など音楽方面でツッパリという要素が消費されていました。
↑こちらも先ほどと同じ「特攻」の文字と旭日旗のモチーフだが、ちゃんと特攻服を着ている。ローマ字日本語の文章に「バリバリ」や「ブッチギリ」という言葉があり、横浜銀蝿を思わせる。しかし3人組だそうなので、暴走族にしては少ない。
というわけで、いかがったでしょうか。
いかにヤンキーを意識した商品づくりがなされていたかがよく分かりますね。是非、年末年始に実家などへお帰りの際、ヤンキーアイテムを探してみてください。
では、また次回。
(文と写真:山下メロ)
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《出演等のお知らせ》
以下、山下メロが出演などを予定しています。
12月28日 25時25分~ フジテレビ『オタクのおたく』 出演
1月17日 石井公二さんの『片手袋研究入門』出版記念のトークイベントにゲスト出演 in 千駄木往来堂書店
1月18日 『ヤンキーメイト』出版記念イベント in東京カルチャーカルチャー
2月15日 別世界Bar 5周年スペシャル ゲスト出演 in 大阪なんば紅鶴
《番組出演のお知らせ》
TBSラジオの番組、ライムスター宇多丸さんの「アフター6ジャンクション」に山下メロが出演いたします。
1月13日(月) 出演は20時台。
これまでの出演時の様子は番組WEBサイトから聴くことができます。
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《書籍発売のお知らせ》
ファンシー絵みやげ初のガイドブック『ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ』(山下メロ・著/イースト・プレス刊)を全国の書店で発売しています。
『ファンシー絵みやげ大百科 忘れられたバブル時代の観光地みやげ』(山下メロ・著)
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