あたらしい年のはじまりに四季の美を祝う【しきのいろ】
2018年11月、世にも美しい「平成の舎利容器」が我々の前に姿を現しました。
「舎利容器」とは、お釈迦様の遺骨(仏舎利)をいれる器のこと。こちらは約1世紀ぶりに行われた薬師寺の国宝・東塔の解体修理にあわせて新調されたものです。
五重の入れ子式になっており、それぞれの部分を、白幡明さん(ガラス)、桂盛仁さん(金工)、川瀬忍さん(磁器)、小森邦衞さん(漆芸)、そして志村ふくみさん(染織)といった著名な工芸家が担いました。
全てが納まった器を包む仕覆を手掛けた志村ふくみさんは、草木染めの人間国宝であり、文化勲章受章者。こう書くととても重々しい感じがしますが、志村さんの手によって染めあげられる色はとても慈しみがあり、柔らか。見ているだけで愛おしいような、切なくなるような気持ちにさせてくれる、魔法の力を持っています。
▮「せいのもとで」からはじまった
今から5年前の2014年、銀座の資生堂ギャラリーにて「せいのもとで lifescape」という展覧会が開催されました。
同展は資生堂の社名である「資生(至哉坤元 万物資生=「すべてのものは大地の恵みから生まれる」)」の世界観のもと、彫刻家の須田悦弘さんがキュレーションを担当。前述の志村ふくみさんと娘の洋子さんをはじめ、「生命」を独自の感覚で表現するアーティストたちが作り上げる、繊細かつダイナミックな空間が印象的でした。
2020年1月24日より、「せいのもとで」で共演した志村ふくみさん・洋子さんと、須田悦弘さんによる展覧会が再び開催されます。その名も「しきのいろ」。
本展は春夏秋冬をテーマに、志村母子による糸のインスタレーション作品と、四季の草花を繊細に彫り上げる須田さんの木彫作品によって紡がれる、まさに新春にふさわしい内容となっています。
▮新春を寿ぐ しきのいろ
本展のベースとなっているのは、先に紹介した資生堂ギャラリーの展覧会「せいのもとで」。同展をご覧になった方の中には、今なお心にあの時の光景を思い描ける方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「布を織る前の、糸の状態の時の色が最も美しい」という志村母子の言葉から生まれた、織物ではなく糸をそのまま見せるインスタレーション《經(ケイ)》。光を受けてきらきらと糸が煌めく様子は、思わず釘付けになってしまうほど神秘的でした。
この作品は、2016年に京都国立近代美術館で開催された個展「志村ふくみ ―母衣(ぼろ)への回帰―」でも糸の色を変えて展示されています。
本展「しきのいろ」では、会場であるザ・ギンザが持つ特徴的な吹き抜けを活かし、およそ800本もの糸を用いて四季を表現する新作インスタレーションとしてバージョンアップされるとのこと。一体どんな景色が広がるのか、今からとても楽しみですね。
また、本物と見紛うばかりに精巧な木彫で植物を表現する須田悦弘さんは、本展では四季折々の草花を同時に展示されるそう。須田さんの展示と言えば、会場の隙間や天井、床の近くなどにひっそりと置かれた作品を探すのも楽しみのひとつですよね。「全部見つけられた?」が合言葉になったりすることも。
「カルティエ、時の結晶」(国立新美術館)でも、カルティエの宝飾とともに凛と佇んでいた須田さんの草花たち。志村母子の作品との共演に、改めて期待が高まります。
そのほか、会期中にはダンスパフォーマンスなどのコラボイベントの開催も。
新たな年を寿ぐにふさわしい、生命の息吹を感じる華やかな展覧会。銀座へお出かけの際には、「しきのいろ」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
「舎利容器」とは、お釈迦様の遺骨(仏舎利)をいれる器のこと。こちらは約1世紀ぶりに行われた薬師寺の国宝・東塔の解体修理にあわせて新調されたものです。
五重の入れ子式になっており、それぞれの部分を、白幡明さん(ガラス)、桂盛仁さん(金工)、川瀬忍さん(磁器)、小森邦衞さん(漆芸)、そして志村ふくみさん(染織)といった著名な工芸家が担いました。
薬師寺東塔に納める「平成の舎利容器」が完成しました。ガラス、純金の器、青磁、漆器、絹の仕覆でつくられた、5重の容器です!志村ふくみが仕覆を担当しました。
— 志村 昌司 Shoji SHIMURA (@shojishimura) December 10, 2018
★産経新聞WESThttps://t.co/e83dLCF1gr
★毎日新聞https://t.co/tIRn7XdCJY
★薬師寺HP 掲載https://t.co/BnyRgalbsp
全てが納まった器を包む仕覆を手掛けた志村ふくみさんは、草木染めの人間国宝であり、文化勲章受章者。こう書くととても重々しい感じがしますが、志村さんの手によって染めあげられる色はとても慈しみがあり、柔らか。見ているだけで愛おしいような、切なくなるような気持ちにさせてくれる、魔法の力を持っています。
▮「せいのもとで」からはじまった
今から5年前の2014年、銀座の資生堂ギャラリーにて「せいのもとで lifescape」という展覧会が開催されました。
同展は資生堂の社名である「資生(至哉坤元 万物資生=「すべてのものは大地の恵みから生まれる」)」の世界観のもと、彫刻家の須田悦弘さんがキュレーションを担当。前述の志村ふくみさんと娘の洋子さんをはじめ、「生命」を独自の感覚で表現するアーティストたちが作り上げる、繊細かつダイナミックな空間が印象的でした。
▲「せいのもとで」(資生堂ギャラリー)2014年 会場風景
2020年1月24日より、「せいのもとで」で共演した志村ふくみさん・洋子さんと、須田悦弘さんによる展覧会が再び開催されます。その名も「しきのいろ」。
本展は春夏秋冬をテーマに、志村母子による糸のインスタレーション作品と、四季の草花を繊細に彫り上げる須田さんの木彫作品によって紡がれる、まさに新春にふさわしい内容となっています。
▮新春を寿ぐ しきのいろ
本展のベースとなっているのは、先に紹介した資生堂ギャラリーの展覧会「せいのもとで」。同展をご覧になった方の中には、今なお心にあの時の光景を思い描ける方もいらっしゃるのではないでしょうか。
▲《經》志村ふくみ・洋子 2014年
「布を織る前の、糸の状態の時の色が最も美しい」という志村母子の言葉から生まれた、織物ではなく糸をそのまま見せるインスタレーション《經(ケイ)》。光を受けてきらきらと糸が煌めく様子は、思わず釘付けになってしまうほど神秘的でした。
▲《經》志村ふくみ・洋子 2014年
この作品は、2016年に京都国立近代美術館で開催された個展「志村ふくみ ―母衣(ぼろ)への回帰―」でも糸の色を変えて展示されています。
本展「しきのいろ」では、会場であるザ・ギンザが持つ特徴的な吹き抜けを活かし、およそ800本もの糸を用いて四季を表現する新作インスタレーションとしてバージョンアップされるとのこと。一体どんな景色が広がるのか、今からとても楽しみですね。
▲《椿》須田悦弘 2003年
また、本物と見紛うばかりに精巧な木彫で植物を表現する須田悦弘さんは、本展では四季折々の草花を同時に展示されるそう。須田さんの展示と言えば、会場の隙間や天井、床の近くなどにひっそりと置かれた作品を探すのも楽しみのひとつですよね。「全部見つけられた?」が合言葉になったりすることも。
▲《椿》須田悦弘 2004年
「カルティエ、時の結晶」(国立新美術館)でも、カルティエの宝飾とともに凛と佇んでいた須田さんの草花たち。志村母子の作品との共演に、改めて期待が高まります。
そのほか、会期中にはダンスパフォーマンスなどのコラボイベントの開催も。
新たな年を寿ぐにふさわしい、生命の息吹を感じる華やかな展覧会。銀座へお出かけの際には、「しきのいろ」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
「しきのいろ」
志村ふくみ・洋子×須田悦弘
志村ふくみ・洋子×須田悦弘
会期:2020年1月24日(金)~3月22日(日)
(1月22日、2月17日、3月16日は休館)
時間:11:00~19:00
会場:ザ・ギンザ スペース
東京都中央区銀座 5-9-15 銀座清月堂ビルB2F
▶「ザ・ギンザ スペース」 ホームページ
(1月22日、2月17日、3月16日は休館)
時間:11:00~19:00
会場:ザ・ギンザ スペース
東京都中央区銀座 5-9-15 銀座清月堂ビルB2F
▶「ザ・ギンザ スペース」 ホームページ