マスキングテープ好きにはたまらない!「倉敷マスキングテープギャラリー」へ行ってきた

2019/11/18 13:00 吉村智樹 吉村智樹

▲カラフルな館内。ここに、およそ1,000種類のマスキングテープが集結。嬉しい「マスキングテープ使い放題」のコーナーまである


いらっしゃいませ。
旅するライター、吉村智樹です。


おおよそ週イチ連載「特ダネさがし旅」
特ダネを探し求め、私が全国をめぐります。





第13回目は岡山県の倉敷発の情報をお届けします。


■実は倉敷は「マスキングテープの産地」


お屋敷の白壁が連なり、歴史を感じさせてくれる街、倉敷。いまなお江戸の風情が香り、まるでタイムトリップしたかのよう。








そんな倉敷が、実は「マスキングテープの聖地」だったって、ご存知でしたか?


自動車塗装工の仕事を助けるためにアメリカで発明された「マスキングテープ」。日本へ渡り、和紙を使うなど独自の進化を遂げました。「貼って、はがせる」性能の高さは、発祥である本国をもうわまわると海外でも評判です。


さらに日本のマスキングテープは近年、工業作業用品としてのみならず、雑貨や文具としても広く使われるようになりました。「小物をかわいくアレンジする」「手帖をカラフルにコラージュする」といった概念も生まれ、バラエティに富んだアイデアが人々のライフスタイルをいっそう楽しいものにしてくれています。


そのようなマスキングテープ、実は岡山県の倉敷が一大産地。品質のよさ、デザインや用途の多彩さから、倉敷は「日本のマスキングテープを確立した地」だとも言われているのです。


■倉敷にマスキングテープの桃源郷があった


そんな倉敷生まれのマスキングテープを一挙に鑑賞できる殿堂があります。
それが、美観地区の入り口に位置する「倉敷マスキングテープギャラリー」、通称「MTG」。
その名の通り、倉敷生まれのマスキングテープを鑑賞したり購入したりできる、言わばマスキングテープの美術館。





オープンしたのは、2018年の7月。
なかに入ると……おお、なんとポップな!


多幸感にあふれた撮影スペースをはじめ、店内装飾のほとんどがマスキングテープで仕上げられているのだそう。











ディスプレイされているアイテムも、世界的に有名なデザイナー、故・ウィリアム・モリスの意匠を使ったものや、アーティストとのコラボ商品まで、その表情は様々。「マスキングテープって、こんなにおしゃれなの!?」と改めて驚かされます。








そうして、よく見ると、どうやら模様やイラストがふんだんに揃っているだけではなく、使いみちも多岐にわたる様子。


いったい、どのようなものがあるのか。
なかには、お宝も?


スタッフの加藤紗織さんに、お話をうかがいました。





■ルーツは「ハエ取り紙」だった


――マスキングテープの多くが倉敷で作られているとは意外でした。


加藤
「そうなんです。地元のカモ井加工紙さんが倉敷でマスキングテープを製造販売し始めたんです。もともとハエ取り紙などさまざまな粘着テープを作っておられ、その技術がマスキングテープに活かされているんです。こちらに置いている商品も、ほぼすべてがカモ井加工紙製のものです」


*カモ井加工紙株式会社……1923年、初代:鴨井利郎がハエ取り紙を製造する「カモ井のハイトリ紙製造所」を創業。1946年より「カモ井加工紙株式会社」と改称。1960年代より和紙やクラフト紙、布製の粘着テープを製造するようになる。1981年より気密、水密状態を得る目的や、防音、断熱に使う作業用マスキングテープの販売を開始。2008年より文具・雑貨向けのマスキングテープ「mt」シリーズを発売し、グッドデザイン賞を受賞。これによりマスキングテープブームの一翼を担うこととなる。


――マスキングテープは倉敷を代表すると言っても大げさではない地産商品なんですね。あと、世界に名だたる観光地ゆえに、こちらは海外からのお客様が多いですね。どのようなものを買い求めておられますか。


加藤
「海外からのお客様には、やはり和柄が人気です。和紙でできたマスキングテープは日本独自のものなので海外では珍しく、そのため、おみやげとして買って帰られます。中国や台湾などアジア系の方からは特に人気が高いです」





■体験コーナーではマスキングテープ使い放題


――窓際にたくさんのマスキングテープが並んでいますが、これは使ってもいいんですか?


加藤
「はい。体験コーナーを設けております。小物入れなどの雑貨を購入していただくと、時間制限なく、テープも使い放題で、自分だけの小物入れなどが作れます。台紙に貼っていただくとスタッフが缶バッヂにしてお渡しするコーナーもあります」

















――小箱でもマスキングテープでこんなにカラフルなものになるんですね。それまでマスキングテープは塗装の場合の保護用だったり、製図する際の仮り留めだったりと専門職用という印象が強かったのですが、この頃はラッピングやメモに使うなど、ずいぶん印象が変わりましたね。


加藤
「そうなんです。初めは無地だったんですが、カモ井加工紙さんがお客様の要望に応え、柄物も販売し始めたんです。それが全国へ広まっていったのが、一般に普及したきっかけとして大きいようですね」


■およそ千種類、約一万個のマスキングテープがひしめく


――マスキングテープのファンには、こたえられないほど魅力的な空間ですね。何種類あるのですか。


加藤
「多いときで1,000種類以上あります。トータルすると、もっとあるんです。マスキングテープは廃版になるものあります。売り切れたらもう手に入りません。方や、新商品もどんどん生まれ、その都度入れ替えます。なので、何種類ってもう言えないくらいありますね」











――売り切れがあり、廃版があり、新製品がありと、いつ来ても違うマスキングテープに出会えますね。


加藤
「それだけではないんです」


――それだけではない?


加藤
「はい。それだけではなく、『廃版が復刻される』パターンもあります」


――なんと、そんなレコードやCDみたいなバージョンもあるんですか。


加藤
「たとえばこれは廃版だったものを復刻させたマスキングテープで、人気が高いです。特殊な加工を施したシリーズで、触るとわかるんですが、柄の部分が浮き出ているんです」





――復刻版まであるとは、もう無限ですね。定番の柄はずっとここにあるんですか。


加藤
「もちろん、おさえています。とはいえシンプルなストライプや方眼、ドットなどであってもデザインはどんどん変わっていきますね。その変化を見ていくのも楽しいと思います」


――ストライプのようなプレーンな柄でも入れ替わりがあるのですか。バリエーションが豊富で、文具や雑貨好きにはたまりませんね。種類がそれだけ多いとなると、個数となると途方もないのでしょうね。


加藤
「そうですね。個数は1万を超えていると思います。カモ井加工紙さんにお願いしている当店オリジナルテープの在庫だけでも1,000個以上ありますから」





――そんなにあるのですか。ここはマスキングテープのエル・ドラド(黄金郷)ですね。


■貼り合わせるだけでラップングできるスグレモノも


――柄だけではなく、形状もこれほどいろいろなタイプがあるのだなんて驚きました。


加藤
「これなどはもうテープよりシールという感覚ですね」








――貼りたくなりますね~。しかもシールと違って容易に“はがせる”んですから、ラッピングの封に使いたくなりますね。


加藤
「ラッピング用紙を封するだけではなく、マスキングテープ自体でもラッピングができるんですよ」


――え? ど、どういう意味ですか。


加藤
「これはラッピング専用のマスキングテープなんです。紙の両端にだけ糊がついていて、折ると手軽にラッピングの袋になるんです」








――なんと! それは便利すぎます。


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