日めくりカレンダーがポシェットに!? ひとり雑貨ブランド「卒業生代表プロダクツ」の商品がどれもスゴイ!

2019/10/7 11:01 吉村智樹 吉村智樹

▲「日めくりカレンダー風ポーチ」。平成最後と令和最初の日がプリントされたポーチ。開くたびに元号が変わる瞬間の気分を味わえる。ブランド名は「卒業生代表プロダクツ」


いらっしゃいませ。
旅するライター、吉村智樹です。


おおよそ週イチ連載「特ダネさがし旅」
特ダネを探し求め、私が全国をめぐります。





第9回目は、東京在住の、あるハンドメイド作家さんをご紹介します。


■街のどこかで見たことがあるものが雑貨に変身


お風呂の栓、日めくりカレンダー、扇風機の羽根などなど、日々の暮らしのなかで「見たことがある」「触ったことがある」ものが、かわいい雑貨やアクセサリーに大変身


大きなものを小さくしたり、小さなものを大きくしたり。なんともユーモラスな作家の展示即売会が、10月20日(日)まで大阪「シカク」にて開催されています。


タイトルは「卒業生代表プロダクツ展」



▲10月20日(日)まで大阪「シカク」にて開催される「卒業生代表プロダクツ展」。展示されたほとんどの雑貨が購入できる


個展会場に足を踏み入れてみれば、おほほ、思わず頬が緩みます。


虫よけに見えるICカードケースや、Twitterでバズった、ひとりでスナック気分にひたれるライトスタンドなど、味わい深い雑貨がズラリ。街のどこかで見た憶えがあるものたちが手のひらサイズに生まれ変わっており、まるで自分が巨人になった気分に。



▲「虫よけ風ICパスケース」。玄関やベランダに吊るされている虫よけをイメージしたICパスケース。透かし模様にはかわいい動物たちが隠れている。フックをバッグのハンドル部分に引っ掛けて使えるなど、実はけっこう機能的



▲ミニLED行灯「セルフスナックひとり酒」。手のひらサイズのLEDアクリル行灯。自宅に置くだけで、晩酌のテーブルが小粋な空間に大変身。壁面にも取り付け可能。Twitterでバズり、卒業生代表プロダクツの名を知らしめるきっかけとなった



▲「風呂栓&チェーンピンバッジ」。お風呂の栓とチェーンをイメージしたピンバッジ。「お手持ちのアイテムに清潔感あふれる彩りを添えることができます」とのこと



▲「脱酸素剤風サコッシュ」。食品パッケージの中に入っている、食べられない袋風のサコッシュ。中綿入りでふんわりしたフォルムを再現


作者の卒業生代表さん(34)は、東京在住。
彼女は2017年よりオリジナルグッズの製造と販売を開始。ひとり雑貨ブランドと言える「卒業生代表プロダクツ」を起ち上げたのです。



▲オリジナルグッズの製造と販売をする卒業生代表さん。Twitterアイコンは牛


スマートでシャープな作風、にもかかわらず、そこはかとなく漂う人間味。奥ゆかしい魅力をたたえるこれら雑貨は、いったいどのようなアイデアから生まれたのか。ご本人におうかがいしました。


■「人とは違う視点」でつくられた雑貨がズラリ


――先ずお訊きしたいのですが、なぜTwitterアイコンが牛なのですか。


卒業生代表
「特に理由はないのです。アイコンを猫や犬にしている人が多いので、だったら私は牛に」


――牛も人々の生活に密接につながっている動物なのに、確かにアイコンにしている人は少ないですよね。そういった、他の人とは違う視点は、お作りになられている雑貨からも伝わってきます。個展を開かれるのは初めてですか。


卒業生代表
「初めてです。会場のシカクさんにお声がけをいただいて実現しました」


――ほとんどの展示品を購入できるのが嬉しいですね。


卒業生代表
「並べている作品のほぼすべてが一点ものではなく、小ロットですが複数をつくっています。ですので、お買い求めいただけます。私はプロダクト(工業製品)デザインが好きなので、製品として見てもらいたいのです。それに量産することで、気軽に手に取っていただける価格になりますから」





▲アクリル板をレーザーカッターで切り落とし、組み合わせた「アクリル看板バッジ」。洋菓子もナポリタンもおいしい駅前喫茶の情景が頭に浮かんでくる


――このバッジはプラスチック製でしょうか。色や光の透け方がどこか懐かしくて、書体もレトロで、いいですね。


卒業生代表
「これはアクリルなんです。以前は街によくあったアクリル看板の色や質感が好きで、昭和の喫茶店の看板をイメージして作ってみました」



▲「光るLED行灯バッジ」。アクリル行灯看板をイメージしたLEDバッジ。これを胸につけて夜の歓楽街を歩きたい



▲「扇風機プロペラハンドスピナー」。懐かしい扇風機のプロペラをイメージしたハンドスピナー。アクリル製なので軽い力で回せる



▲メガネ屋さんの看板をイメージしたメガネスタンド。残念ながら販売終了


■幼い頃から「デザイン」を意識していた


――個展を開かれるまでは、どのような場所でご自身の商品の紹介や販売をされていたのですか。


卒業生代表
「はじめは『minne(ミンネ)』という、ハンドメイド雑貨を売るサイトでした(現在も販売中)。さらにコミケにちょくちょく出店するようになり、次第に『うちのお店に行かせてください』と声をかけていただくようになり……そんなふうに地道にやってきました」


――生活に密着したデザインが、コンパクトになって、まったく別のものに変化している点が、改めていいなと思いました。おてふきに見えるハンカチ、スーパーマーケットのレジ袋に見えるエコバッグといった、用途が逆転した商品など、どれも最高です。


卒業生代表
「私、レジ袋、好きなんです。スーパーマーケットのロゴや商標が入ったレジ袋が好きで、集めているんです。でもレジ袋が有料化されはじめ、『これからレジ袋という文化がなくなっていくかもしれないな』と。それは淋しいので、だったらレジ袋のデザインを残したエコバックがあったらいいんじゃないかと考えたんです」


――レジ袋をなくすためのエコバッグなのに。いやあ、こういう逆転の発想は、どこから生まれるのですか。


卒業生代表
「いま考えたら、子ども時代から、デザインを意識していたと思います。たとえば、ラーメンのかたちをした消しゴム、あるじゃないですか。幼い頃から、ああいうものが大好きだったんです。自分だったら、どんなものを消しゴムにしようかとか、考えていましたね。あと、昔からずっと、駅の売店が好きなんです。小さなスペースに、たくさんのものが詰まって売られている。あのコンパクトにまとまった感じに惹かれるんです。すでにあるものを小さくしてみたり、反対に大きくしたり、整理しなおしたり、サイズを変えてみるのが、好きなんです」



▲「おてふきミニハンカチ」。純喫茶やレストランでよく見るおてふきをイメージしたミニハンカチ。控えめなプリントなのでフォーマルな場面や小粋なギフトにも最適



▲「レジ袋再現エコバッグ」。昔ながらのスーパーのレジ袋をイメージしたエコバッグ。ポリ袋のフォルムと、しっかりした生地の安心感を備えたお買い物の強い味方


――ものづくりも、お子さんの頃からやっていらしたのですか。


卒業生代表
「はい。幼い頃から工作大好きっ子で、折り紙のような小さなものから、段ボールを使った大きなものまで、いろいろ作っていました。段ボールで自動販売機を作って、自分が中に入って動かしたこともありました


――段ボールで自動販売機を作って、自分で中に入っちゃうんですか! 現在のプロダクトの源流が幼少期にあったのですね。


■十代の頃から「プロダクト」を愛する気持ちは変わらない


――「卒業生代表」というハンドルネームの由来はなんですか。


卒業生代表
「通っていたデザイン系の高校で、実際に私が卒業生代表をやっていたんです。卒業後はネットで元同級生たちとコミュニケーションをとっていたので、私だとわかってもらえるように、そのまま“卒業生代表”と。あくまで身内向けに使っていたハンドルネームなんです」


――身内向けに使っていたハンドルネームが、いつしか作家名として認知されたのですね


卒業生代表
「そうですね。そのまま、ズルズルと」


――デザイン系の高校に通っていらっしゃったとのことですが、専攻はなんだったのですか。


卒業生代表
「まさに今やっていることにつながる、プロダクトデザイン科です。十代の頃から一般的に流通しているもののデザインが好きだったんです。プロダクトが好きだという気持ちは、ずっと変わらないままです」


――学校ではどのような授業を受けていたのですか。


卒業生代表
「陶芸とか、金工とか、ハンドメイド的な授業がありいの、図面をひいたり、パソコンでデザインしたりもありいの。設計とものづくりを並行してやっていました。生活用品から自動車まで、幅広くデザインしていました」



▲初期のワープロ文字で印字された書類をイメージしたバッグ。物騒な言葉が並んでいる。民事裁判におもむく際などにぜひ


■企画が通らない。だったら自分で作ってしまえ


――自分でプロダクトのブランドを起ち上げようと考えたきっかけは、なんだったのでしょう。


卒業生代表
「私は、もともとはグッズ制作会社に勤務していました。私がいた部署は商品企画。そこで、『こういう商品を作ってみたらどうですか』と提案をするのですが、会社ではまったく私の意見が通らない。ずっと悔しかったんです。『だったら、自分で作ってしまおう』と。それが自分でプロダクトを始めたきっかけですね」


――企画が通らない悔しさ、痛いほどわかります。しかし量産するとなると工場や工房が必要となりますよね。その点は、どうされたのですか。


卒業生代表
「商品企画の仕事をするなかで、“メイカーズスペース”と呼ばれるレンタルシェア工房があることを知ったんです。工房にはレーザーカッターやUVプリンタなどさまざまな機械が設置されていて、小ロットでも、プロダクトの製造が可能になったんです。そこで、ひとりで作っています」


*UVプリンタ……UV(紫外線)硬化型インクを使っているプリンタ。印刷直後に紫外線を照射し、瞬時にインクを硬化させることができる。





▲「よびだしブローチ」切符の券売機にあるよびだしボタンカバー風ブローチ。中には好きな写真や切り抜きを挟めるようになっている。いつでも想い出を呼び出せる


――レンタル工房に、そんなに機材が揃っているのですか。これは起業のヒントにもなりますね。布製品はどうされているのですか。


卒業生代表
「オンラインでオリジナルの柄を布にプリントしてもらえるサービスを知ったので、そちらにお願いしています。できあがった布を縫製するために、ミシンを始めました」


――新しい仕組みに合わせて、ご自身がスキルアップしてゆくとは。今後、素材や手法にさらに変化が見られそうですね。楽しみです。では、個展にお越しの皆様へひと言を。


卒業生代表
「プロダクトのよさを知っていただければ。とはいえ、あまり深く考えずに楽しんでください」



▲「通行手形ICパスケース」。観光地のおみやげ屋さんで見かける通行手形をイメージした木製パスケース。手前は当「いまトピ」の連載でもおなじみ山下メロ先生とのコラボ商品「通学手形ICパスケース」


卒業生代表さん「好き」がすみずみまで反映した雑貨たちを見ていると、気づかされるのです。街に息づくプロダクトデザインが、いかに魅力的であるか。そして、いかにその魅力を見落としていたかを。


卒業生代表さんは、雑貨というかたちにコンバージョンさせることで、プロダクトデザインへの再評価をうながしているのではないでしょうか。


個展会場を出てみれば、街のいたるところで静かに機能するデザインが、いっそう愛おしく感じるのでした。


卒業生代表プロダクツ
https://sotugyo1000.com/
商品企画職の経験を生かし、企画会議もクライアントからの修正依頼もない世界で本当に自分が作りたい商品を作っています。
普段目にしているのに気にも留めないものをモチーフに新たな視点や解釈を与えるアイテム作りを目指しています。



卒業生代表プロダクツ展 10/5(土)〜10/20(日) 大阪「シカク」
http://uguilab.com/exhibition/201910/
レーザーカッターやUVプリンタ、ミシン等を使用し、商品のほとんどをハンドメイドで製作しているユニークな雑貨クリエイター「卒業生代表」初個展!
生活に溶け込んだあれこれをモチーフにした、おもしろかわいいアイテムの展示販売会です。
Twitterで話題になった作品、秘蔵の作品、本展だけの特別企画アイテムも!




TEXT/吉村智樹
https://twitter.com/tomokiy


タイトルバナー/辻ヒロミ