【衣装は1000着!】愛すべき小便小僧とブリュッセルの反骨精神

2019/9/27 12:10 明菜 明菜



皆さん、快尿出てますか?こんにちは、ベルギーを旅行してきた美術ブロガー明菜です。ベルギー・ブリュッセルのアイドルといえば『小便小僧』ですよね!

常に快尿らしい『ジュリアン君』こと小便小僧。観光でも外せないスポットとなっており、常に多くの観光客が見守る中で放尿されております。



…すでに多くの読者さんがドン引きしてブラウザを閉じてしまった可能性が高いのですが、本題はここから。普段は素っ裸のジュリアン君、なんと年間に130日も衣装を身に着けている日があるんです!

私がジュリアン君を取材した9月19日は、こんな衣装でした!



これ、2019年のラグビーワールドカップの開幕を記念した衣装なんですって!今回は日本での開催ですし、ラグビーに疎い私でもラグビーを通して世界と繋がれた気がしました。(後にベルギーが出場していないことを知り、あれれ?となっておりますが)

1年の3分の1ほどは衣装を着て過ごすジュリアン君。その衣装は1000着にも上るそうで、コレクションを展示する専用のミュージアムが2017年にできました。


▲小便小僧ミュージアムの展示風景

思っていたより豪華!各国から伝統的な衣装が贈られているそうで、どの衣装からも気合が感じられます。ジュリアン君に衣装を贈ることがいかに名誉なことなのか、分かりますよね。日本の鎧兜もありました。



小便小僧の像が作られた理由については諸説あるのですが、個人的に好きな1つの説を紹介します。反政府軍がブリュッセルに爆弾を仕掛けたのですが、ある少年が導火線におしっこをかけて火を消したとのこと!ブリュッセルを守ったこの少年の名前が「ジュリアン」なので、像の愛称も「ジュリアン君」なのです。ブリュッセルの英雄だから、市民に愛されているのですね。


▲小便小僧ミュージアムで展示されているミッキーマウスのコスチューム

小便小僧の歴史を紐解くと、フランスとブリュッセルの対立の歴史が見えてきます。ルイ14世がブリュッセルを爆破したとき、「ルイ14世に不幸の雨が降るように」との嘲笑から広報に小便小僧が選ばれました。1747年にはフランス兵士が像を持ち去り、対立を深めるなど…。1817年に起こった盗難事件では、逮捕された犯人に対し重労働と焼き印に加え、公の場でさらすという厳罰が課されたほど。


▲ルイ15世から贈られたコスチュームの複製

現存する最古の衣装はフランス国王ルイ15世が贈ったもので、レプリカが展示されています。きっかけはフランスの軍隊とブリュッセルの住民との対立を解消するためで、ジュリアン君をルイ騎士の一員に任命したのでした。



当初は小便小僧の規格とは関係なく衣装が作られましたが、現在は型紙が公開されているそうです。ジュリアン君に衣装を贈るなら正当な手続きを踏む必要があるのですが、何か世界的な記念がある方はぜひ!

ミュージアムにはお着替えコーナーがあり、意外なところで袖と股の穴が繋がっていて面白かったです。


▲小便小僧ミュージアムで服を着せてみた。

その後も小便小僧には盗難未遂事件が相次いだため、現在のジュリアン君はレプリカです。17世紀に作られたオリジナルは、ブリュッセル市立博物館で見ることができます。こちらには桃太郎の衣装も展示されていました!


▲ブリュッセル市立博物館で展示されているオリジナル

なお、2016年3月22日にはブリュッセルで連続テロ事件が発生し、ブリュッセル空港と地下鉄マールベーク駅で爆弾の爆発がありました。当時、SNSでジュリアン君の写真がたくさん投稿されたことは記憶に新しく、今日でも小便小僧はブリュッセルの反骨精神の象徴なのです。


▲ブリュッセル市立博物館で展示されている桃太郎のコスチューム

ブリュッセルの名所、ジュリアン君こと小便小僧。この小さな像は、実はブリュッセルの戦いの歴史や市民の誇りを凝縮したモニュメントでした。ベルギーへご旅行の際は訪れてみてくださいね。

○小便小僧ミュージアム
https://www.mannekenpis.brussels/en/home#manneken-pis
○ブリュッセル市立博物館
http://www.brusselscitymuseum.brussels/en
入場料:2館共通券で8ユーロ