【円覚寺の至宝展】東京と鎌倉で同時開催!700年の歴史の重みを感じてきた。

2019/5/13 21:55 yamasan yamasan
鎌倉時代から続く神社やお寺、お祭りにイベント、四季折々の花めぐり、そして素敵なミュージアム。 一年を通して見どころがいっぱいあって、いつも多くの観光客でにぎわっている古都・鎌倉。

これほどの人気の鎌倉なので、「鎌倉が好き」「鎌倉はよく行く」といった方も多いかと思いますが、毎年11月上旬に北鎌倉の円覚寺と建長寺で開催されている「宝物風入」に行かれたことはありますでしょうか。


円覚寺と建長寺がそれぞれ収蔵している絵画や書状、青磁や仏具などの文化財の虫干しを兼ねて展示する毎年恒例の行事で、文化の日にからめて3日間開催されます。
私はもう10年近く前に円覚寺の宝物風入に行きましたが、元寇を乗り切った北条時宗の書状や中国伝来の羅漢図、青磁などが大方丈の中にところ狭しと展示されていて、とても壮観な景色でした。同時に公開されていた国宝 舎利殿も拝観してきました。

すっかり鎌倉の秋の風物詩となっている「宝物風入」ですが、今年は一足早く初夏のこの時期に東京と鎌倉の二館でほぼ同時期に円覚寺の寺宝を見ることができるのです。

円覚寺と建長寺の「宝物風入」は、今年は11月2日(土)から4日(月)まで開催されますが、円覚寺では舎利殿公開のみで、大方丈での宝物の展示はありません。(建長寺の「宝物風入」は例年どおりです。)

ということは、今年、円覚寺の寺宝を見るのは今がチャンス。
そのうえ、円覚寺中興の祖、大用(だいゆう)国師二百年、禅を世界に広めたことで知られる釈宗演(しゃくそうえん)老師の百年大遠諱を記念して東京の三井記念美術館と鎌倉国宝館で開催される展覧会は、700年以上の歴史を誇る、臨済宗大本山、円覚寺の至宝の数々を見ることができる千載一遇の機会かもれません。

それぞれの展覧会の開催概要は次のとおりです。

円覚寺の至宝 鎌倉禅林の美
場 所   三井記念美術館(東京都中央区日本橋室町 三井本館7階)
会 期   4月20日(土)~6月23日(日)
開館時間 10:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日   月曜日
入館料  一般 1,300円ほか
関連イベントなどもありますので、詳細は三井記念美術館公式サイトをご覧ください。



「知られざる円覚寺の至宝-古文書と羅漢図の世界-」
場 所   鎌倉国宝館(鎌倉市雪ノ下 鶴岡八幡宮境内)
会 期   4月27日(土)~6月16日(日)
開館時間 9:00-16:30(入館は16:00まで)
休館日   月曜日(祝日の場合は翌平日)
観覧料  一般 400円ほか
学芸員による列品解説 期間中毎週土曜日14:00~ 申込不要 参加無料(要観覧料)
展覧会の詳細は鎌倉国宝館ホームページ(鎌倉市のサイト)をご覧ください。



三井記念美術館 「円覚寺の至宝 鎌倉禅林の美」

三井記念美術館「円覚寺の至宝」展は、プレス内覧会に参加しましたので、展示室内の様子をご紹介したいと思います。

初めにレクチャールームで展覧会の概要説明がありました。


右から、三井記念美術館 清水眞澄 館長、臨済宗大本山円覚寺 管長 横田南嶺 老師、同じく臨済宗大本山円覚寺 展示広報委員長 中西成道 師。

※掲載した写真は、内覧会で美術館より特別の許可をいただいて撮影したものです。
※以下の見どころ紹介は、展覧会の概要説明での清水館長、横田老師のお話をもとに構成しました。

今回の展示は98件110点、約半数が国宝、重要文化財で、県・市指定文化財を入れると約7割が指定を受けている、まさに円覚寺の至宝が一堂に会している展覧会。
そして、三井記念美術館と円覚寺には不思議なご縁がありました。三井記念美術館のある三井本館一帯は、かつては円覚寺の所領で、江戸時代に入って徳川家康に没収されのだそうです。
そして「今回の展覧会を通じて、禅の精神は過去のものではなく、現在、将来に向けて生き続けるものとしてとらえていただければ幸いです。」とお話された横田老師。会期中は、館内で座禅(要申込)、法話、座談会も企画されているので、ご興味のある方はぜひ。

さて、展示室に入りましょう。
鎌倉時代中期の弘安5年(1282)鎌倉幕府第8代執権、北条時宗(1251-84)は、中国から禅僧無学祖元を招聘して円覚寺を開きました。
展示室1には開山・無学祖元が使っていたと伝えられる中国伝来の堆朱、堆黒、香合など、円覚寺にとってとても重要な「開山箪笥」が展示されています。
三井記念美術館のこのゴージャスな雰囲気の中の個別ケースに展示されている逸品の数々はさらに輝きを増しています。


続いて、「展覧会のスター」(清水館長)が展示される展示室2に展示されているのは、重要文化財「青磁袴腰香炉」(円覚寺 南宋時代)。
胴の形が袴をはいたようにふくらんでいるので「袴腰」と呼ばれています。



展示室3は大用国師・釈宗演老師大遠諱関係の絵画や墨蹟が展示されています。
こちらは前期(5/19まで)と後期(5/21-6/23)で展示替えがあります。
写真は、右から釈宗演筆「墨蹟 七仏通戒偈」(東慶寺)、島崎柳塢筆「釈宗演像」(東慶寺)、誠拙周樗(大用国師)自画賛「寒山拾得図」(宝林寺)、誠拙周樗自賛「誠拙周樗頂相」(円覚寺)。


一番広い展示室4の奥には円覚寺の開山・無学祖元と建長寺の開山・蘭渓道隆の頂相彫刻が展示されています。鎌倉禅宗にとって重要なお二人の像が並んでいるところを見る機会は二度とないかもしれません。
左が「無学祖元坐像」(円覚寺)、右が「蘭渓道隆坐像」(建長寺)。

禅宗のお坊さんたちも来られていました。絵になるシーンです。


国宝の茶室「如庵」を再現した茶室は、禅宗の展覧会にあわせたしつらえになっています。
手前がインド・パーラ時代(760~1142ころ)の「菩薩像」(東慶寺)、奥が重要文化財 清拙正澄筆「清拙正澄墨蹟(霊至別称偈)」(三井記念美術館)。


今回の展覧会のもう一つの柱が「大陸文化との交流」。これまでも中国伝来の堆朱や青磁を紹介してきましたが、ここでの注目は、円覚寺塔頭の仏日庵の宝物目録 重要文化財 「仏日庵公物目録」(円覚寺)。下の写真の手前の巻物です。
目録は、頂相、墨蹟、絵、法衣、具足などに分類されていて、中国からの請来品がずらりと並んでいます。
絵の項目を見ると「猿 牧谿」とか「龍虎 徽宗」といった記載があります。これがそのまま残っていたらすごいコレクションだったでしょう。風流天子・徽宗皇帝の龍虎図はぜひ見たかったです。


かつての円覚寺の境内絵図のパネルなどが展示されている展示室6に続いて最後の展示室7には、円覚寺派の寺院の頂相彫刻と絵画が展示されています。

不思議なご縁で結ばれた三井記念美術館と鎌倉円覚寺。洋風建築の内装や和風の茶室と禅林文化の至宝がちょうどよく融合した、落ち着いた雰囲気の展覧会です。ぜひゆっくりと時間をとってご覧になっていただければと思います。

鎌倉国宝館「知られざる円覚寺の至宝-古文書と羅漢図の世界-」

鶴岡八幡宮の境内に静かにたたずむ鎌倉国宝館。


現在同館では、「北条時宗書状(重要文化財)」、無学祖元や画僧・牧谿の師「無準師範像(県指定文化財)」、「足利義満筆額字(重要文化財)」、中国・元時代の「五百羅漢図(重要文化財)」など、円覚寺所蔵品の奥行きの深さが感じられる至宝が展示されています。平常展示の「鎌倉の仏像」とあわせて、静かな空間で鎌倉仏教美術の粋をご鑑賞ください。


去年のコラムで紹介したスタンプラリーですが、今年も開催していました。
梅雨の鎌倉-アジサイとミュージアムめぐり
(鎌倉のアジサイめぐりはこちらのコラムをご参照ください。)

前期は10月5日(土)まで、後期は10月12日(土)~2020年3月21日(土)とかなり長め。スタンプを3つ以上集めて、絵葉書セットや各館のオリジナルグッズをゲットしましょう!


ここでもう一つ耳寄りなお話。
円覚寺の拝観券呈示で、三井記念美術館「円覚寺展」の一般入館券が1,300円から1,100円に割引になります。
季節のいい時期になってきました。この機会にぜひ円覚寺展と鎌倉散策にお出かけになっていただければと思います。