なぜかオシャレだった「首からエビアンホルダー」の謎【平成レトロ】(1/2)
■ 謎の革製品
いきなりですが、この革製品を見てください。
これが、なんだか分かりますか?
または、何に使うか分かりますか?
ワンちゃんの口吻用の拘束具ではありません。なかなか即答できる人もいないでしょうが、これは平成レトロなアイテムの1つなのです。あくまで本物ではなく、再現したものになりますが、これが平成初期に局地的とはいえ流行したのです。
何に使うかと言いますと……
こちらです。はい。ミネラルウォーターの超メジャーブランド「エビアン」です。
ここで記憶の扉が開いた人もいるのではないでしょうか。そうです。これはこのように使います。
はい。エビアンが固定されました。いわゆるペットボトルホルダーのようなものですね。近頃のペットボトルホルダーは保温性能を持たせた機能性重視のものがほとんどですが、こちらはほぼ剥き出しですので、保温性能はありません。なぜなのでしょうか。その理由は……実際に使ってみましょう。
このように首にかけて使います。着ているTシャツは90年代を代表するブランドともいえる「BAD BOY(バッドボーイ)」。現代のペットボトルホルダーは、水筒のように斜めがけするものがほとんどですが、これはペンダントのようにまっすぐぶら下げます。当時はペットボトルの底部分はすっぽりと覆うものが主流でしたが、こちらは現代風にリメイクしたものになります。そして、保温機能より重要なのが……
ブランドロゴが見えることです。
この「ブランドロゴ」が見えることです。すっぽり覆わないことこそが重要なのです。しかもこれは、どんなペットボトルでもいいわけではありません。
エビアンでなくてはいけません。
ここまで話しても理解できないと思います。なぜエビアンのロゴを丸出しにしなくてはいけないのか。私も当時理解に苦しみました。そして今もなお苦しんでいます。そしてこれはファッションアイテムなのです。Jリーグが開幕した1993年のストリートファッションにおける重要な要素なのです。
キャップはCOSBY(コスビー)、バッグはSPAPAのMr.Friendly(ミスターフレンドリー)にしてみました。どうでしょうか。90年代風ブランドに頼ってみました。まだ理解できませんよね。実際は音楽的な意味での渋谷系からつながるネオヒッピースタイルとして、ナチュラル素材を多用したファッションの一環だったのです。まったく理解できないと思うので経緯を説明しましょう。