【スキャンダラスな男女関係!】美男美女揃いのラファエル前派周辺をめぐるメロドラマ
とても人気のあるラファエル前派関連の展覧会『ラファエル前派の軌跡展』が三菱一号館美術館で開催されています。
そして昨年から各地で巡回され来週末からそごう美術館で開催される『ウィリアム・モリスと英国の壁紙展』など、今、ラファエル前派周辺が熱いです!
19世紀の中ごろにイギリス活躍した芸術家グループ「ラファエル前派」。
素晴らしい作品の数々を生み出している作家達の集まりなのですが実はその周辺の人間関係、特に男女関係がとても興味深いので簡単にまとめてみました。
ラファエル前派とは、当時の美術界における「絵とはこうあるべし」と言うルールに異を唱えて集まったグループです。その中心人物はジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントの3人。
この3人に加えラファエル前派を支援していたジョン・ラスキン、そして後にロセッティを慕ってその下に集まったウィリアム・モリスとエドワード・バーン=ジョーンズを含めた人間模様を紹介してみます。
ジョン・エヴァレット・ミレイ
ジョン・エヴァレット・ミレイ『オフィーリア』
Wikipedia「ジョン・エヴァレット・ミレイ」より
ラファエル前派メンバーの中でも一番有名なのは、きっとジョン・エヴァレット・ミレイでは無いでしょうか?ミレイの描いたこの『オフィーリア』の絵は夏目漱石の小説『草枕』にも登場しています。
ある日、このミレイとラファエル前派の支援者ジョン・ラスキン、そしてラスキンの妻 エフィー・グレイの3人で旅行に行くことがあったのですが、そこでミレイとエフィー・グレイが恋に落ちます。
最終的にはラスキンとエフィー・グレイは離婚、その後にエフィー・グレイはミレイと結婚をして、8人の子をもうけます。
ジョン・エヴァレット・ミレイ『箱舟への鳩の帰還』
Wikipedia「ジョン・エヴァレット・ミレイ」より
略奪愛の様に見えますが、実はラスキンは結婚後もエフィー・グレイとは関係を持っておらず、それを理由に裁判をすることでエフィー・グレイは離婚の権利を手に入れます。
ラスキンはそれでもラファエル前派の支援を変わらず続けます。その後ラスキンが40歳位の時に9歳の女の子に熱を上げ、その女の子が16歳になったら結婚を申し込み断られています。つまり少女趣味だったのでしょうか。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『ベアタ・ベアトリクス』
Wikipedia「ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ」より
次は数々の騒ぎの元になっているダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ。ロセッティの妻はエリザベス・シダル。先ほどのミレイが描いた『オフィーリア』のモデルでもあります。ロセッティも彼女をモデルに『ベアタ・ベアトリクス』と言う絵を描いています。
ロセッティは同じラファエル前派の仲間であるウィリアム・ホルマン・ハントの婚約者 アン・ミラーを口説いて関係してしまいます。それをきっかけにハントとロセッティの関係は悪くなります。そりゃそうですよね。ハントは真面目なので最終的にアン・ミラーとは婚約破棄、その後は別の女性と結婚をします。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『プロセルピナ』
Wikipedia「プロセルピナ (ロセッティ)」より
ロセッティの描いた『プロセルピナ』のモデルはウィリアム・モリスの妻 ジェーン・バーデン。実はロセッティとこのジェーン・バーデンも不倫関係にあったのです。モリスはロセッティを尊敬し、弟子となっています。それなのにロセッティってやつはね……。
そして、ロセッティの妻のエリザベス・シダルは浮気ばかりのロセッティのせいで精神が病んでいき最後は自殺をしてしまいます。
ロセッティは妻が死んだ後もすぐに愛人 ファニー・コンフォースと一緒に住み、他にもモデルにした女性のほとんどに手を出していると言う話もあるそうです。こと男女関係に関して言えばどうしようもないやつですね。
ウィリアム・モリスとエドワード・バーン=ジョーンズ
エドワード・バーン=ジョーンズ『廃墟のなかの恋Love Among the Ruins』
Wikipedia「エドワード・バーン=ジョーンズ」より
ウィリアム・モリスとエドワード・バーン=ジョーンズの2人はラファエル前派の影響を受け、ロセッティを尊敬し弟子となります。ロセッティも弟子達の面倒を良くみていました。モリスとその仲間たちで立ち上げた会社(後のモリス商会)にロセッティやバーン=ジョーンズにも声を掛け立ち上げに参加しているのです。これが大きな間違いでした……。
先のロセッティのところでも書きましたがロセッティはモリスの妻 ジェーン・バーデンと不倫をしています。また、バーン=ジョーンズは絵のモデルであるマリア・ザンバコと浮気をしています。そして、それぞれの伴侶が浮気をしているが故かモリスとバーン=ジョーンズの妻 ジョージアナ・マクドナルドが親密な関係になっていきます。
モリスを中心とした活動は後に「アーツ・アンド・クラフツ」運動へと発展します。ウイリアム・モリスは後に「モダンデザインの父」と呼ばれます。会社の仲間の伴侶とそれぞれ関係を持ってしまうこの状況は以前イギリスのBBCで「Desperate Romantics」(邦題:「SEXとアートと美しき男たち」)と言うラファエル前派をテーマにしたドラマが創られていたそうです。かなりストレートな邦題ですね。
→ラファエル前派のドラマ「SEXとアートと美しき男たち」
まぁ、クリエイティブな人はそこら辺に関しては奔放な人もいると言うかなんと言うか、まぁ、それで良いわけではないのですが、そういう人、日本の芸能や音楽の世界でも居ますよね、きっと。いや、知らないですけど。
特に数々の浮名を流したロセッティ、幾ら本人が女性にだらしないとは言ってもそれだけの数の女性がその気になるのですから、きっと魅力のある人だったのでしょう。男性のモリスやバーン=ジョーンズですら弟子になるわけですから。
そして、間違いないのはこのメンバー達は皆、才能があったと言うこと。美しい女性を描き、作品として残したと言うこと。その作品に罪があるかどうか、人によって意見は異なるかもしれませんが、ぜひ、その情熱と愛を込めた作品を観てみてください。
ラファエル前派の軌跡展
https://mimt.jp/ppr/
三菱一号館美術館
3/14-6/9
ウィリアム・モリスと英国の壁紙展-美しい生活をもとめて-
https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/19/william_morris/
そごう美術館
4/20-6/2
そして昨年から各地で巡回され来週末からそごう美術館で開催される『ウィリアム・モリスと英国の壁紙展』など、今、ラファエル前派周辺が熱いです!
19世紀の中ごろにイギリス活躍した芸術家グループ「ラファエル前派」。
素晴らしい作品の数々を生み出している作家達の集まりなのですが実はその周辺の人間関係、特に男女関係がとても興味深いので簡単にまとめてみました。
ラファエル前派とは、当時の美術界における「絵とはこうあるべし」と言うルールに異を唱えて集まったグループです。その中心人物はジョン・エヴァレット・ミレイ、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハントの3人。
この3人に加えラファエル前派を支援していたジョン・ラスキン、そして後にロセッティを慕ってその下に集まったウィリアム・モリスとエドワード・バーン=ジョーンズを含めた人間模様を紹介してみます。
ジョン・エヴァレット・ミレイ
ジョン・エヴァレット・ミレイ『オフィーリア』
Wikipedia「ジョン・エヴァレット・ミレイ」より
ラファエル前派メンバーの中でも一番有名なのは、きっとジョン・エヴァレット・ミレイでは無いでしょうか?ミレイの描いたこの『オフィーリア』の絵は夏目漱石の小説『草枕』にも登場しています。
ある日、このミレイとラファエル前派の支援者ジョン・ラスキン、そしてラスキンの妻 エフィー・グレイの3人で旅行に行くことがあったのですが、そこでミレイとエフィー・グレイが恋に落ちます。
最終的にはラスキンとエフィー・グレイは離婚、その後にエフィー・グレイはミレイと結婚をして、8人の子をもうけます。
ジョン・エヴァレット・ミレイ『箱舟への鳩の帰還』
Wikipedia「ジョン・エヴァレット・ミレイ」より
略奪愛の様に見えますが、実はラスキンは結婚後もエフィー・グレイとは関係を持っておらず、それを理由に裁判をすることでエフィー・グレイは離婚の権利を手に入れます。
ラスキンはそれでもラファエル前派の支援を変わらず続けます。その後ラスキンが40歳位の時に9歳の女の子に熱を上げ、その女の子が16歳になったら結婚を申し込み断られています。つまり少女趣味だったのでしょうか。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『ベアタ・ベアトリクス』
Wikipedia「ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ」より
次は数々の騒ぎの元になっているダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ。ロセッティの妻はエリザベス・シダル。先ほどのミレイが描いた『オフィーリア』のモデルでもあります。ロセッティも彼女をモデルに『ベアタ・ベアトリクス』と言う絵を描いています。
ロセッティは同じラファエル前派の仲間であるウィリアム・ホルマン・ハントの婚約者 アン・ミラーを口説いて関係してしまいます。それをきっかけにハントとロセッティの関係は悪くなります。そりゃそうですよね。ハントは真面目なので最終的にアン・ミラーとは婚約破棄、その後は別の女性と結婚をします。
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ『プロセルピナ』
Wikipedia「プロセルピナ (ロセッティ)」より
ロセッティの描いた『プロセルピナ』のモデルはウィリアム・モリスの妻 ジェーン・バーデン。実はロセッティとこのジェーン・バーデンも不倫関係にあったのです。モリスはロセッティを尊敬し、弟子となっています。それなのにロセッティってやつはね……。
そして、ロセッティの妻のエリザベス・シダルは浮気ばかりのロセッティのせいで精神が病んでいき最後は自殺をしてしまいます。
ロセッティは妻が死んだ後もすぐに愛人 ファニー・コンフォースと一緒に住み、他にもモデルにした女性のほとんどに手を出していると言う話もあるそうです。こと男女関係に関して言えばどうしようもないやつですね。
ウィリアム・モリスとエドワード・バーン=ジョーンズ
エドワード・バーン=ジョーンズ『廃墟のなかの恋Love Among the Ruins』
Wikipedia「エドワード・バーン=ジョーンズ」より
ウィリアム・モリスとエドワード・バーン=ジョーンズの2人はラファエル前派の影響を受け、ロセッティを尊敬し弟子となります。ロセッティも弟子達の面倒を良くみていました。モリスとその仲間たちで立ち上げた会社(後のモリス商会)にロセッティやバーン=ジョーンズにも声を掛け立ち上げに参加しているのです。これが大きな間違いでした……。
先のロセッティのところでも書きましたがロセッティはモリスの妻 ジェーン・バーデンと不倫をしています。また、バーン=ジョーンズは絵のモデルであるマリア・ザンバコと浮気をしています。そして、それぞれの伴侶が浮気をしているが故かモリスとバーン=ジョーンズの妻 ジョージアナ・マクドナルドが親密な関係になっていきます。
モリスを中心とした活動は後に「アーツ・アンド・クラフツ」運動へと発展します。ウイリアム・モリスは後に「モダンデザインの父」と呼ばれます。会社の仲間の伴侶とそれぞれ関係を持ってしまうこの状況は以前イギリスのBBCで「Desperate Romantics」(邦題:「SEXとアートと美しき男たち」)と言うラファエル前派をテーマにしたドラマが創られていたそうです。かなりストレートな邦題ですね。
→ラファエル前派のドラマ「SEXとアートと美しき男たち」
まぁ、クリエイティブな人はそこら辺に関しては奔放な人もいると言うかなんと言うか、まぁ、それで良いわけではないのですが、そういう人、日本の芸能や音楽の世界でも居ますよね、きっと。いや、知らないですけど。
特に数々の浮名を流したロセッティ、幾ら本人が女性にだらしないとは言ってもそれだけの数の女性がその気になるのですから、きっと魅力のある人だったのでしょう。男性のモリスやバーン=ジョーンズですら弟子になるわけですから。
そして、間違いないのはこのメンバー達は皆、才能があったと言うこと。美しい女性を描き、作品として残したと言うこと。その作品に罪があるかどうか、人によって意見は異なるかもしれませんが、ぜひ、その情熱と愛を込めた作品を観てみてください。
ラファエル前派の軌跡展
https://mimt.jp/ppr/
三菱一号館美術館
3/14-6/9
ウィリアム・モリスと英国の壁紙展-美しい生活をもとめて-
https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/19/william_morris/
そごう美術館
4/20-6/2