あなたのSNSの使い方、間違ってない? ベストセラー「起業家・フリーランスのための『ブログ・SNS集客』のキホン」の著者に会ってきた!

2019/3/25 13:30 吉村智樹 吉村智樹


▲増刷を重ね、ただいまベストセラー驀進中の「起業家・フリーランスのための『ブログ・SNS集客』のキホン」(同文館出版)。この本がこれほど売れるということは、SNSの使い方に悩んだり迷ったりしている人が、いかに多いかという証しだろう


いらっしゃいませ。
旅するライター、吉村智樹です。


おおよそ週イチ連載「特ダネさがし旅」
特ダネを探し求め、私が全国をめぐります。





■なんとなくやっているSNS。本当にそれでいい?


SNSは、なにを使っていますか?
Twitterですか?
Facebookですか?
Instagramですか?
あるいは、どれもですか?
そしてそれは、お仕事に役立っていますか?


たとえばあなたが個人で仕事を請けているのならばきっと、Twitter、Facebook、Instagram、ブログなどを販促や営業に使っているでしょう。


では、SNSのプロフィール画像、統一していますか?
もしもバラバラなら、そこからSNSの運用を見直す必要があります。


インターネットユーザーの多くがSNSをやっている時代。
しかし「仕事に役立てる」となると、これが難しい。
ハマるわりには、時間をかけているわりには、効果が薄い。
それどころか赤字になっている場合さえあります。


かくいう僕も、Twitter、Facebook、Instagram、LINEと主要SNSはひと通りやり、Twitterにおいては、ありがたいことに1万5000人以上の方にフォローしていただいております。
とはいえなんらインフルエンスすることもなく(涙)、「ただなんとなくやっている」のが現状です。


せっかく時間をかけるのならば、時間をむしりとられるのであれば、少しでも仕事や収益を増やすツールにしたい。できればSNSから家賃くらいはいただきたい。


■ただいま三刷!「起業家・フリーランスのための『ブログ・SNS集客』のキホン」


そう悩んでいる僕を救うべく、一冊の本が現れました。
それが「起業家・フリーランスのための『ブログ・SNS集客』のキホン」(同文館出版)。


「もしかして、僕のために書いてくれはったん?」と詰め寄りたくなるジャストなタイトル。
内容も「ブログ」「Facebook」「Twitter」「Instagram」「メルマガ」「LINE@」「ハッシュタグの有効活用」などなど、SNSの基本的な特徴や機能ごとに「もったいなくない使い方」を示唆してくれます。

このように現状のSNSシーンを広範囲に見渡した本は、意外と類書がないのです。それゆえ、とても助かります。


しかもこの本、発売早々に三刷のベストセラーに!
僕と同じ悩みを抱えている人が、実はたくさん潜在していたという証しでしょう。


著者は大阪を拠点に活躍するWeb活用アドバイザーの今城裕実(いまじょう ひろみ)さん(52)。



▲新刊「起業家・フリーランスのための『ブログ・SNS集客』のキホン」の著者であり、ひとり起業家のWeb活用をサポートする「4U-Planning」代表をつとめる今城裕実さん



日本のブログ黎明期から「中の人」をやっていた、頼れる生き字引です。


今回は著者の今城裕実さんに、SNS運用を見直す方法を教わりました。


■SNSの使い方が「もったいない人」にアドバイスしたかった


――今城さんが上梓された「起業家・フリーランスのためのブログ・SNS集客のキホン」は、現在三刷。たいへんな人気ですが、どういう想いがあってお書きになったのですか。


今城
「ずっと『もったいない人がいるな』と思っていたんです。ひとりで起業されている方のなかには、実力があるのに、SNSではぜんぜんそれが多くの人に伝わっていない例が少なくなくて。そういうもったいない人を、なりたい方向へ軌道修正するお手伝いができればと考え、本にしました」


――「もったいない人」とは、なんとなくわかりますが、たとえばどういう方ですか。


今城
「Twitterに多いのですが、そこそこ有名で、フォロワー1万人超えしているのに、真面目なことしかつぶやかない人。調べてみると、実際には仕事にはつながっていない場合が多いんです。一方的に発信するのみで誰かに声をかけないのは、もったいないなと。Twitterって相互でやりとりして初めて仕事が生まれるので


――確かに、いい言葉をつぶやいて承認欲求が満たされて胸がすっとしているのでしょうが、「はいはい。偉いエライ」としか感じない場合がほとんどですよね。仕事の創出という点においては「逆効果なのでは?」と心配にすらなります。


今城
「そう、フリーランスだったり起業家だったりするのならば、お仕事につながらないと『もったいないな』と感じていまして。ただ、『大儲けできますよ』という本ではまったくないです。いっさい煽る言葉は入っていないんですよ」


――僕も拝読させていただき、「儲かりますよ」ではなく「現状だと時間を損してますよ。ブログやSNSの運用を見直しましょう」という内容だからこそ有益で、なるほどと膝を打ちながら読みました。すごいリアルですよね。


今城
「儲けられる内容の本ではないからこそ三刷もいったのかな。『やみくもにSNSをやっているけれど、この時間、無駄なんじゃないか?』と感じている人口が実はとても多くて、そういう方々に届いたのではないでしょうか」


■自分の仕事に合わないSNSは「やらない勇気」も必要


――SNSにはTwitter、Facebook、Instagramなどさまざまなかたちがありますが、今城さんがお仕事に使っていらっしゃるのはどれですか。


今城
「私のメインSNSはFacebookです。仕事柄、個人事業主とやりとりをする場合が多いもので。FacebookはBtoB(企業間取引)にとても向いているSNSだと思います。ただ、『一般の方の目には触れない。言葉が知人以外にほとんど届かない』『若い世代でやっている人が少ない』といった特徴があって、一長一短あります


――Facebookは僕もやっていて、確かに原稿料が高い仕事ほど依頼はFacebookを経由してきますね。ただ、ハマってしまっている人を見ると、『怖いな』とヒイてしまう場合もあります。


今城
「小規模で自営している方が多いので、Facebookではいろんな人間のドラマを見てしまいます。やりすぎて燃え尽きて消えていく人もいるし、鬱になっていたり、自営を続けられずアカウントを止めてしまっていたり。そういう点でも、やっぱり『お役に立ちたい』と思いますよね」


――Facebookだけではなく、我々フリーランスはSNSをついつい「全部」やっちゃいますよね。そして閲覧だけであっという間に1時間も経ってしまったり、電車に乗っている間ずっとチェックしていて乗り過ごしたり。


今城
「TwitterもFacebookもInstagramもブログも、ぜんぶやっていたら、たいへんですよ。『自分にとって集客に合うSNSはどれなのか』を見極めるべき。自分の仕事に合うSNSは何なのか。それを考えることはとても重要です。合ってないものを『やらない勇気』も大切です」


――やらない勇気! 痛感します。僕らフリーランスのライターはTwitterをやっている人がめちゃめちゃ多いです。しかもドラッグのように溺れている。職種の構造的にはFacebookのほうが断然有意義で実用性があるはずなのですが。


今城
「Twitterは楽しいですよね。ハマってしまいます。けれども『お越しいただく』『買っていただく』『お仕事をいただく』という点において効果を出すにはクセがあるというか……。それに、なんと言っても炎上しやすい。いいことはひろまらないのに、悪いことはすぐ拡散する。ネットに不慣れな人にとってTwitterはもっともリスクが高いSNSですよね。フォロワーを増やす自体を目標にする情報商材もあるようですが、自分の商品を買ってくれない人ばかりにフォローされてもしょうがない。そもそも、ファンからフォローされているとは限らないです。フォロワーが多くても、単にウォッチングされているだけの場合もありますしね。フリーランスのTwitter運用は細心の注意を払う必要があります」


――「わかりみが強い」です(苦笑)





■夫が生活費をくれない。だからネットで稼ぐ方法を見つけた


――今城さんがインターネットにかかわりだしたのは、いつですか。

今城
「Windows95の頃からです。私は専業主婦でした。当時はまだ夫がいたんですけれど、給料の半分を持っていっちゃう人で、経済DVにあっていたんです。小さな子供が3人いてパートには出られなかったので、紙の雑誌だった頃の『公募ガイド』を買って、こつこつ投稿しては賞金を稼ぎ、生活費に充てていました。独身時代の仕事柄、文章を書くのは苦じゃなかったんです」


――なるほど。はじめは紙媒体だったのですね。


今城
「そうなんです。そして公募ガイドを読んでいるうち、あるペット雑誌が文芸賞を設けていることを知ったんです。『これはきっと応募が少ないだろう』と思ったら、案の定その狙いが当たり、大賞をいただきました。その賞金でWindows95を搭載したパソコンを購入したんです。当時のパソコンはとても高価でしたから、賞金でやっと手に入れられました」


――パソコン自体の値段が高かったし、電話回線でつないでいたから通信料もバカになりませんでしたね。


今城
「まだ常時接続ではなく『テレホーダイ』の時代でした。つなぐのは子どもが寝静まってからだし、写真を1枚見るのでさえたいへん時間がかかりました。でも、だからこそ『今後はパソコンを使いこなせる人間は絶対に重宝されるだろうな』と予測したんです」


*テレホーダイ……23時から翌日8時までに限り、通話時間に関わらず料金が月極めの一定料金となる初の定額制システム。


――パソコンを使いこなすために、まずはなにをされましたか。


今城
「とりあえずは『高速で打てるブラインドタッチを身につけよう』と考え、『北斗の拳』のタイピングソフトを買いました。はじめはハート様すら倒せなかったのですが、頑張ったらラオウまで倒せるようになって、そうやって早打ちを身につけましたね」


――「北斗の拳」でタイピングをおぼえた人、多いですよね。実際、仕事の面で役に立ちましたか。


今城
「パソコンが現在ほど普及していなかった時代で、反面、私は応募しなかったけれどもエッチなテキストチャットの求人が高時給で、『キーボードを打てさえすれば、いざとなればどこでも稼げる。子どもを育てられる』という自信が持てました。実際、パソコンが使えるだけで引く手あまたになったんです。それまで『今城さんのママ』としか呼ばれなかったのに、ひとりの人間として認められた気がしました


■「mixi」や「アメブロ」でSNSは一気に身近なものに


――早い段階からインターネットに接してこられて、SNSが生活に入り込むようになったのはいつ頃からだと感じていますか。


今城
「一般化したのは、やっぱりmixiですよね。mixiは店舗さんに特に有効に作用したんです。私もmixiをきっかけに常連になったお店もありますし。あと、いまでこそ自営業者の商用というイメージがついているアメブロ(アメーバブログ)ですが、SNS的な要素があり、SNSが日本人の暮らしに定着するいしずえにもなったかな。それ以前はチャットのルームを起ち上げたり、掲示板を設けたり、あるいは『2ちゃんねる』とか、もうちょっとアンダーグラウンドな雰囲気のものでしたね」





■ブログは「濁り」を入れてはいけない


――この本は「ブログ」に関しても多くの紙幅を割いていますが、個人的にブログはノルマ感があって「しんどい」印象をぬぐえません。読むのは好きなのですが。


今城
「たとえばヘアサロンやお菓子屋さんなど視覚で訴える仕事をしていらっしゃるならば、忙しい合間を縫ってパッと投稿できるInstagramが最適なんです。一時期コンサルの人たちがヘアサロンに『店長からスタッフまで全員がブログを書きなさい』と言いまくった時期があって、それで本業がおろそかになる本末転倒な出来事がたくさんあったんです。ヘアサロンってめちゃめちゃ忙しいじゃないですか。開店前でもお掃除やお洗濯があり、閉店した後も研修があって。それでブログまでやっていたら命が削られちゃう。もったいない使い方をするくらいならば、潔くやらない選択肢もあります


――「もったいないブログ」とは、どういうものでしょうか。


今城
「記事に“濁り”を入れている人。私はブログって一冊の本だと思うんです。特定のテーマについて書き続けてこそ、読者の信頼感が得られ、アフィリエイトをクリックしてもらえる。たとえば毎日コーヒーについて綴っている人のブログだと、そのブログを通じて読者は『フィルターやコーヒー豆を買ってみよう』と思うわけじゃないですか。それなのに『オムライス美味しかった』とか、『ディズニーランドへ行きました』とか身辺雑記で“濁り”を入れてしまうと、なんのブログかがぼやけてしまう。誰も広告をクリックしなくなる。タレントさんのように自分自身をブランディングしてはったら別ですが、そうでないのなら一本のテーマを決め、うんちくを傾けるタイプで運用したほうがいいですね


――ワンテーマを軸にすることで、そのブログ主に信頼感が生まれるのですね。たまたま検索流入で来た人が物を買っていくかというと、現実的ではないですものね。


今城
「もちろん、ブログで稼げるし、ブログの収益で生活している人もいます。でもそうなるためには膨大な時間と労力の投資が必要なんです。しかもそれだけやってなお『普通に働いた方が楽』という程度という場合も。内容が専門的で、しかもとことんテーマを追求していくスタイルでやって、なおかつ『読んでおもしろい』。そういうふうにしていかないと、ブログで食べていくのは難しいでしょうね。おもしろいテレビ番組を作ったら視聴率があがってCMを観てくれる人が増える、というのと同じなんです」


■ブログが続かない人は「見張り」をたてよう


――エッセイ系はどうでしょう。たとえば恋愛エッセイを書きたがる人、多いですよね。


今城
「エッセイ系は、めちゃめちゃ面白くて共感を呼ばないと、読者が広告をクリックすることはないです。おもしろさがただ消費されるだけというか。やるならアフィリエイトよりも出版社から声がかかって書籍化される可能性を狙うか、noteのように記事自体を購入してもらう覚悟で挑まないと」


――「書籍化」や「記事購入」という点においては、むしろライターにとっては必須科目なのだろうと実感するのですが、続かないんですよね……。


今城
「続かないですよね。必須じゃないから。そういうときは同業者でグループを組むといいですよ。つまり、誰かに見張ってもらう。三日坊主防止アプリ『みんチャレ』(みんなでチャレンジ)というものもあります。そんなふうに、ある程度の強制力がないと続かないです


■たとえ長くなってもタイトルのなかに内容をすべて書きこむ


――ブロガーが今日からでもブログの運用を見直せるシンプルな方法ってありますか。


今城
「ブログは『タイトルを読んだだけで記事の内容がわかるようにする』。これが重要です。たとえば記事のタイトルが『今日、起こったことは……』だったら『誰が読むねん』と。いま、書籍やセミナーのタイトルがどんどん長くなっているでしょう。どんなことが書いてあるのか、なにをやるのか、すべてタイトルに収められている。これはマーケティングの結果なんです」


――そうか! おっしゃる通り、新書なんて「これもう読まなくていいんじゃないか」と思うほど書名が長くて、本の内容がぜんぶ書いてありますね。


今城
「その傾向が特に顕著なのがAVタイトルです。現在はポチってダウンロードする時代で、選ぶのも大変だしムダ買いしたくない心理が強くなっているでしょう。だからタイトルに内容がぜんぶ入ってる」


――ますます、よくわかります(笑)。AVの話って、この本に載ってましたっけ。


今城
「いえ、それはさすがに載せてないです(笑)



今城裕実(いまじょう ひろみ)
ひとり起業家のWeb活用をサポートする「4U-Planning」代表。

大阪府出身。
阪急電鉄傘下の食品メーカーにて販売促進部に所属、商品企画・店舗企画・販促企画などの業務に従事するが、出産を機に退職。
専業主婦の期間を経て、イベント会社にて販促物制作・WEB制作・イベント企画等の業務に携わる。
その後、社会人研修会社にて企画広報部チーフとして経営者のブランディング及びWEB全般の管理、情報発信担当を務める傍ら、2011年に「4U-Planning」を開業。
2015年には通信販売を中心としたレディスアパレル企業に転職、自社ブランド設立に伴うECサイト制作や事務フロー立ち上げを担当、業績安定の後に退職。
現在は「4U-Planning」にて個人事業主を主に対象としたインターネットを使ったビジネス発展のサポートに専念。
依頼者のスキル・実績の実情または在りたい姿とウェブ上での見え方とのギャップを埋めるアドバイスと、そのために必要な制作物等を提供している。
複数の企業・個人の情報発信代行(中の人)歴は、約8年間に及ぶ。
https://4u-planning.com/



起業家・フリーランスのための「ブログ・SNS集客」のキホン
今城 裕実 著
税込定価 : 1,620円(本体1,500円)
同文舘出版
https://www.dobunkan.co.jp/books/detail/002963




TEXT/吉村智樹
https://twitter.com/tomokiy


タイトルバナー/辻ヒロミ