インスタグラムで話題! ひたすら「顔ハメしている姿」を自撮りし続ける謎の美女

2019/3/18 14:00 吉村智樹 吉村智樹

▲OLの「らんちゃん」さんは、休日を利用して全国を旅し、ひたすら「顔ハメしている姿」を自撮りしている


こんにちは。
関西在住のライター、吉村智樹です。


この連載では、僕が住む関西の耳寄りな情報をお伝えしてゆきます。
今回はその第59回目となります。





■Instagramで話題。「自撮り」なのに「顔出しNG」の美女がいた!


SNSの花形と言えば、いまはやはり「Instagram」。
Instagramには、キラキラした日常を送る、インスタ映えする人たちの幸せそうな自画撮りで溢れています。


京都のとある企業で秘書として働くOLの「らんちゃん」さんも、Instagramで自撮りを載せ続けるひとり。


しかし!


らんちゃんさんの自撮りは、かなりユニーク。
なんと自撮りでありながら「顔出しNG」なのです。



▲「顔出しNG」を条件に取材に応じてくれたらんちゃんさんは、お顔を隠すのがもったいない美女


「自撮り」なのに、「顔出しNG」とは……。


顔を出せないらんちゃんさんは、いったいなにを自撮りしているのか。
それは、観光地などによくある顔ハメ看板に「顔をつっこんでいる様子」なのです。
しかもそれを、「背後」から。つまり「裏」から。



▲Instagramには、旅先で出会った顔ハメ看板を、表ではなく裏側から撮影してアップし続けている


顔ハメ看板って、基本的に表側を撮るものですよね?
だからこそ、その地を訪問した記念になるのです。


ところが、らんちゃんさんは本来の目的に反し、三脚でカメラを固定しつつ、セルフタイマーで背後や横から撮ります
その姿はキラキラからはほど遠く、なんともセンチメンタル。



▲「顔ハメしている姿」を三脚を立ててカメラで背後から撮影する























今回、特別に「匿名」「個人情報を明かさない」を条件に取材を受けてくださることになった、らんちゃんさん。
現れた彼女は、長身でスマート、顔を隠すなんてもったいない美女。
“裏社会”で生きている人には、まったく見えません。


謎が謎を呼び、謎の桜吹雪が舞う「裏ハメの女王」に、いったいなぜそんなことをしているのかをお訊きしました。


■「顔ハメ看板がある街を旅する」という名付けて「ハメ活」


――Instagramを拝見し、本当に顔ハメ看板を後ろから自撮りしている写真ばかりがズラリと並んでいて驚きました。なぜ裏側からしか撮影しないのですか?


らんちゃん
「あ、ごめんなさい。誤解されているかも。実は表側からもちゃんと撮っているんです。でも私、顔出しNGなので、裏から撮影した画像しか載せていないんです。ヘンで面白い顔ハメ看板もたくさん撮っているのですが、それはどこにも公開せずに、プライベートで楽しんでいます


――顔ハメ看板の両面を撮影していながら「顔出しNGだから裏だけ公表する」って、それはそれですごいですよ! これまで何枚の顔ハメを撮影してこられましたか?


らんちゃん
「私、少ないんですよ。まだ1000種類くらい。だから、取材を受けるのが本当に私でいいのかなって……」


――1000種類も! めっちゃ多いじゃないですか!


らんちゃん
「いえいえ。顔ハメ界には3000、4000枚以上を撮っていらっしゃる先輩方がたくさんいらっしゃるので、私なんてまだまだ」


――「顔ハメ界」ですか……。いやぁ、たとえ4000枚も撮っていても、撮っている自分の姿まで自撮りしている方は少ないでしょう。これまで日本ではどれくらいの範囲をお撮りになりましたか?


らんちゃん
「残り山梨と熊本へ行けば全都道府県制覇ですね。できるだけ早く訪れて、2周目のハメ活に入りたいです」


――顔ハメを撮る活動を「ハメ活」っていうんですか。会社にお勤めになりながらだと、お休みの日を顔ハメ撮影に費やすことになりますね。


らんちゃん
「そうですね。それだけではなく、会社を休んで行くことも(笑)。以前は旅先で顔ハメ看板を見つけたら撮るという感じでしたが、最近では『顔ハメ看板があるからその街を旅する』というふうに旅の目的が変わってきてしまいました。友達がついてきてくれる日もありますが、珍スポット的な場所はやはりひとりで訪れることが多いですね。そういう場所は、私以外は行きたがりませんし














■卑猥なメールに悩み、大半の裏ハメ画像を削除


――顔ハメ看板がある場所は、どうやったらわかるんですか?


らんちゃん
「一応、事前に調べるんです。顔ハメで検索して、『あ、ここまだハメてない』っていう場所をチェックします。多い日だと6カ所で撮影したこともありますが、一枚も撮れない日も少なくはないです。そこにあるという情報を得て辿りついても、撤去されているんですよ。顔ハメ看板は建造物ではないだけに、見つけたら撮っておかないと、すぐなくなりますね


――そんな無駄足を踏む日もありながらの1000枚は、なおさらすごいです。そのなかで裏側から自撮りしているハメ画像は何枚あるのですか?


らんちゃん
「現在も残している裏ハメ画像は300枚くらい……。それ以前の裏ハメ画像は、消しちゃったんです


――け、消した? な、なんでまた。


らんちゃん
「う~ん……。卑猥なメールが来るようになって。それで心が折れたんです。でも次第に『なんで少数の人たちのせいで、私の行動が制限されなきゃいけないの?』と悔しく思うようになり、再びアップするようになりました」


――無粋でけしからん人っていますよね。


■説明してわかってもらえる感覚ではない


――そもそも、いつ頃から顔ハメ看板をお撮りになっているのですか?


らんちゃん
「顔ハメ画像を集めるつもりで意識して撮るようになったのは4、5年前。裏側からも撮るようになって2年ですね。もともと旅行が好きだったんです。そして、はじめの頃は、たとえば友人たちと沖縄へ行ってキティちゃんの顔ハメ看板を撮るといったふうに、わりと普通の記念写真でした。ただ、那須を旅していた時、手描きしたドラキュラの顔ハメ看板があって、作風に不思議な温かみを感じたんです。おそらくプロの方が描いたものではないと思います。それを見て『あ、好き! 顔ハメっていいな。全国の顔ハメ看板を集めたいな』と思ったきっかけですね」


――地方のチープな観光地へ行くと、絵心がないゆえに独特な温かみをかもしだす顔ハメ看板って、ありますよね。その完成度が低いドラキュラ顔ハメの画像は公表されているのですか?


らんちゃん
「いいえ。顔出しNGなので(笑)」


――なるほど、そうですよね!


らんちゃん
素性は隠しているんです。私が顔ハメをしていることは仲のよい友人2、3人にしかカミングアウトしていないし、学生時代の友人も知らないんです。私自身は人からどう思われようと、別にいいんです。けれど、『なんでそんなことしてるの? なんの意味があるの?』って訊かれて、それを説明するのが本当につらくて。もともと理解されたくてやっている活動ではないですし。誰に頼まれているわけでもないのに『撮らなきゃ』って自分に謎のノルマを課してしまうのって、説明してわかってもらえる感覚ではないものですから


――確かにおっしゃる通り、マニアの方にインタビューすると、「なぜそんなに愛しているんですか?」という質問に対して、明確な答が返ってこない場合が多いんです。「なぜって言われても……。理由は別に……」って。でも、あえてお訊きします。なぜ顔ハメを撮っているのですか?


らんちゃん
「う~ん。やりたいから(笑)。そこに顔ハメ看板があるから……かな」


――「そこに山があるから」みたいですね。


らんちゃん
「そうですね。ただ、続けていることに対しては理由があるんです。ある日、Instagramに『毎日つらい日々を送っていましたが、らんちゃんさんの投稿を見て、希望が持てました』というダイレクトメールをいただいたんです。私の裏ハメ画像をどう見ると希望が持てるのかはわからないけれど、それが嬉しくて。『誰かのためになってるんだ』と思うと、続けられますね。ただ、はじめにメールをくださった方のアカウントは、もう消えていましたが(苦笑)」


















































――きっとらんちゃんさんから希望を与えられて羽ばたいていかれたのですよ。


■裏ハメするときはわざわざ着替える


――では、顔ハメ看板を裏側から自撮りするようになったきっかけは、なんですか?


らんちゃん
「初めて撮ったのは宮崎県ででした。ハメ活をしていると、撮影が困難な場所によく出くわすんです。顔をハメる穴の位置が低すぎたり、看板と壁の位置が近すぎたり。置かれている台があまりにも適当でぐらぐらだったり、老朽化していたり。そもそも顔ハメって中腰で撮影するから、ただでさえつらいのに、そのうえにさまざまな努力をしないと顔が穴に辿りつけない。そういうつらい態勢でいる姿を撮るのも面白いんじゃないかと、ちょっと自虐的な気分になり、友人に撮ってもらったのが始まりです。友人は『はあ?』って首をかしげていましたが」
































――らんちゃんさんが撮る裏ハメ画像って、ファッションに特徴があると思うんです。旅をしているふうには見えないんですよね。ヒールを履いていらっしゃるなど、「オフィスレディー」という雰囲気。


らんちゃん
「あれは、旅先に着替えを持っていっているんです。ハイヒールと一緒に。衣装替えをして撮っているんです。靴も履きなおして」


――ええ! わざわざ着替えているんですか!


らんちゃん
「そうなんです。はじめは中腰でいるつらさを伝えたくて裏から撮っていたのに、だんだん目的がブレてきて(笑)」


――顔ハメする前に着替えるのは、なぜなのですか?


らんちゃん
「たまたま仕事の出張の合間に顔ハメ看板を見つけ、ヒールをはいてワンピースを着たまま裏ハメしたら、その画像がなんとも言えない不思議な感じがして、『アートみたい』と思ったんです。私、ヨハネス・フェルメールが好きなんです。『牛乳を注ぐ女』とか『手紙を書く女』とか。そのときふと、フェルメールのタッチで『裏からハメる女』というタイトルを思いついたんです(笑)。それ以来、名画のモデルをするような意識で着替えるようになりました」














――そうだったのですか。言われてみれば、らんちゃんさんの裏ハメ画像にはフェルメールの画風である哀愁や憂愁を思わせる部分はありますね。OLさんがせっかくのお休みの日に、顔ハメをするために旅へ出る。そうせざるを得ない人間の業というか、サガというか。そんなメランコリックな感じがたまらないです。


らんちゃん
「ありがとうございます。哀愁を感じると言われるのがもっとも嬉しいんです。これからも『この人、いったいなにやってるんだろう』と思われながらハメ活を続けていきたいですね



らんちゃん Instagram
https://www.instagram.com/l_anchamin/



▲らんちゃんさんは、貴重な休日を顔ハメに費やしてしまう自分の画像にコピーをつけて、ポストカードにもしている。写真集も自費出版したが先ごろ開催された「マニアフェスタ2019」で即完売してしまった






吉村智樹
https://twitter.com/tomokiy