パンダだけじゃない! 関西で会える「かわいい動物」

いらっしゃいませ。
旅するライター、吉村智樹です。
おおよそ週イチ連載「特ダネさがし旅」。
特ダネを探し求め、私が全国をめぐります。

■パンダの赤ちゃん「彩浜」にメロメロ
「か、か、かわひん……」
昨年の夏から、僕にはひとつの楽しみができました。
それは和歌山「アドベンチャーワールド」に2018年8月に誕生したジャイアントパンダのメスの赤ちゃん「彩浜(さいひん)」の成長を動画配信で見守ること。
http://pandababy-aws.com/
生後わずか一週間で自力で歩こうとするけなげな姿にハラハラし、体重が無事に1キロを超えたときはホッとし、保育器を卒業したときは拍手をし、木のはしごから転げ落ちたときは心臓が止まりそうになり、お母さんの「良浜(らうひん)」に抱っこされるほのぼのとした姿に涙し……。
このようにアドベンチャーワールドが配信する彩浜の愛らしいしぐさに、日々めろんめろん&でろんでろんに溶けまくっております。
僕がインターネットをやる理由は、もはや「彩浜の成長を見守るため」、ただそれのみ。
いやもういまは「僕が生きている理由」と言っても大げさではありまひん。
いまや和歌山、いや関西、いや近畿、いや日本中の人々をとりこにしている赤ちゃんパンダの彩浜。
しかし、関西にいるかわいい動物は、パンダだけではありません。
今回は関西に棲む、しかもちょっと意外な場所にいる、プリティアニマルたちをご紹介しましょう。
■京都「東本願寺」 ヤギの親子

「東本願寺」の境内に4匹のヤギがいるのをご存知ですか。
居場所は会合や研修会、宿泊、昼食休憩などができる施設「同朋会館」の庭。
名前は、まず大人のほうが「ナンシー」と「ルーシー」。
ともにメスで、とっても仲よしです。
大人と言ってもナンシーは2017年12月生まれ、ルーシーは2018年1月生まれ、まだまだヤング。
2匹は真宗本廟(びょう)奉仕参加者と一緒に除草奉仕(草を食べること)を行ったり、参拝客の写真撮影に応じたりしています。
この2匹は、もともとは除草目的の「特別用務員」としてレンタルされてきたたヤギ。
しかしながら、宿泊のお客さんや職員の方から「見ているだけでなごむ」「癒される」と評判を呼び、いまは寺院のアイドル的存在に。
御影堂、阿弥陀堂など巨大な堂宇の前でゆったりとイチョウやサクラの落ち葉をはむ姿が、参拝者の心をほっとほどけさせています。
そして、あとの2匹は、今年2月18日、ルーシーの子どもとして誕生した双子の赤ちゃんヤギ(オス・メスの兄妹)。
まだ生まれたばかりで名前がついていませんが、立てるようになり、お母さんの足元をよちよち歩いています。
さらにナンシーも妊娠しており、今後さらに家族は増える見込み。
続々と子宝に恵まれるヤギたち。
これもご利益でしょうか。
東本願寺は拝観料が無料なので、どなたでも気軽にヤギの姿を愛でることができます。
レンタルヤギが出産したら「赤ちゃんの飼い主が誰になるのか」も興味深いところです。
■奈良県香芝「ひつじがいる池」 放し飼いの羊

雑草を除去するために動物を飼っているスポットが、もうひとつあります。
それが奈良県香芝市にある農業用の貯水池「長池」。
しかし「長池」と呼ぶ人はそうそういません。
街の人たちはそのものズバリ「ひつじがいる池」と呼び、Googleマップにもそう記されているのです。
池周りにおいしげる雑草は、どこも悩みの種。
そこで香芝市の五位堂農事水利実行組合が、羊に雑草を食べてもらうことにしたのです。
池のほとりに放牧地をつくり、柵を設け、はじめは4頭の羊を飼いはじめました(現在は5頭)。
羊が池のほとりの草を食べることで、これまで雑草の焼却や草刈り機から排出されていた二酸化炭素の量が削減され、環境にやさしい除草作業が行えるのだとか。
そしてその様子を至近距離から眺めることができるため、子どもたち大喜びなのだそう。
大人も「この羊の毛を使って靴下を作ろう!」と盛り上がっている様子。
もともと奈良県は靴下の産地として有名ですから、「池のほとりで生まれた靴下」なんて、エコな印象があっていいのではないでしょうか。
■淡路島「のじまスコーラ」 キスするアルパカ

この頃テレビにもよく登場するので、ご存知の方も多いでしょう。
淡路島にある、小学校の廃校舎を活用した複合観光施設「のじまスコーラ」で飼われているアルパカのオス「ラアル君」は、「女性にしかキスしない」と話題になっています。
女性飼育係に教えられて以来、頬へのキスをおぼえたラアル君。
時には耳に鼻息を吹きかけるというテクニシャン。
実際、キスをするのは女性だけで、男性が頬を差し出すと「ぷいっ」とそっぽを向きます。
なんでも支配人にすらキスを許さないのだとか。
どうやら女性の身体から分泌される「ラクトン」という甘い香りの成分に反応してそうしているらしい。
しかし、ご年輩の女性にもキスをしないとあり「彼、わかってやってるだろ」と話題でもちきりです。
春になり、動物たちの動きも活発になってきました。
人間である我々も、そろそろ、もごもごのダサインナーを脱ぎ捨て、かわいい動物スポットへ遊びに行きましょう。
(この原稿を書くあいだに、彩浜ちゃんの動画を100回は見ました)
イラスト:せろりあん

TEXT/吉村智樹
https://twitter.com/tomokiy
タイトルバナー/辻ヒロミ