4年で300軒以上のカフェを訪れた女性ライターがつくる「味噌汁がおいしいカフェ」ガイド

2019/2/4 11:00 吉村智樹 吉村智樹

▲カフェ大好きライターのデブ子デラックスさんが自主制作するフリーペーパー「#チャラオバごはんみそ汁部 ~京都西部編~」。なんと「味噌汁がおいしいカフェ」という視点で編集されているのだ


こんにちは。
関西在住のライター、吉村智樹です。


この連載では、僕が住む関西の耳寄りな情報をお伝えしてゆきます。
今回はその第54回目となります。





■「味噌汁のおいしさ」でカフェを選ぶ人がいた!


「カフェ」を選ぶとき、なにを重要視しますか?


北欧のファニチャー?
インスタ映えするパンケーキ?
グッドなセレクトのボッサのBGM?
リノベーションした古民家の築の古さ?
猫がいること?


こんなふうに、カフェを選ぶ観点は、人それぞれ。


今回ご登場いただく、京都市右京区にお住いのデブ子デラックスさん(46歳)は、カフェにひときわ強い愛着を持つひとり。



▲数々のWebメディアで活躍する人気ライターのデブ子デラックスさん。怒涛のカフェマニアとしても名を馳せている


そして彼女がカフェ選びに重きを置く点は、なんと「味噌汁」
さらにデブ子デラックスさんは「味噌汁がおいしいカフェ」を集めたフリーペーパー「#チャラオバごはんみそ汁部 ~京都西部編~」をひとりで編集しているのです。



▲「味噌汁がおいしいカフェ」を集めたフリーペーパー「#チャラオバごはんみそ汁部 ~京都西部編~」


デブ子デラックスさんは『Kyotopi(キョウトピ)』や『しがトコ:滋賀のええトコ』など多くのWebメディアで健筆をふるうフリーライター。写真の腕前にも定評があります。
さらに「大のカフェ好き」としても名を馳せ、探訪したカフェの膨大な記録をInstagramやTwitterなどSNSでアップし続けています(なかには『よくその建物がカフェだとわかりましたね!』と驚くような異次元級物件も!)。


かつて旅館で働いていた頃に「お客さんから街に関する質問をされたときに答えなければならないから」と始めたカフェの情報収集。
それが、現在はデブ子デラックスさん(以下 デブ子さん)のライフワークに。
4年前から猛然と「カフェ巡り」を始められたのだそう。


そんなデブ子さんが、いったいなぜ「カフェの味噌汁」にハマっていったのか。
「味噌汁がおいしいカフェ」とご指定いただいた「食堂souffle」にて、お話をうかがいました。


*今回ご覧いただくカフェの写真は、デブ子デラックスさんがお撮りになられたものです。こちらもぜひご堪能ください。


■4年間で300軒以上のカフェを発掘!





――デブ子さんは、この4年間で何軒のカフェを巡られたのですか?


デブ子
「私、訪問したカフェの画像などをファイルにまとめて記録しているんですが、このあいだファイルの番号を数えてみたら、300軒以上ありました


――さ、さ、300軒! ですか! しかもわずか4年で?


デブ子
「カフェに入っても『あ、ここはちゃうかな。私の心に響かないな』と感じて記録に残さない場合も少なくないので、実際はもっとたくさん行ってると思います


――4年で300軒もカフェへ行く人って、ほかにいないんじゃないですか?


デブ子
「いえいえ、私なんて、まっだまだですよ! 重度のカフェマニアを『ヘンタイカフェマニア(以下ヘンタイ)って呼ぶんですが、そういう方々に較べると、私なんてぜんぜん行けていないです。ヘンタイのレベルになるとメニューに使っている文字のフォントがなんなのかまでチェックするんです。私はそこまでの境地には達することができていないですね」


――「ヘンタイカフェマニア」と呼ばれる人たちがいらっしゃるのですか。カフェマニアの世界って深いな……。デブ子さんの行動範囲はどのあたりまでですか?


デブ子
「主に自分が住んでいる京都ですね。あと、滋賀と奈良にもええカフェが多くありますから、よう行きます。ほかは大阪と神戸がちょいちょいって感じかな」





■汗だく! 行動経費を浮かすためカフェへは「走っていく」


――京都といえども広いですから、飲食代だけではなく移動のための費用もけっこうかかるのではないですか?


デブ子
「そうなんです。電車賃を使っていたらお金がいくらあっても足らへんから、片道1時間くらいなら、たいてい自転車で行きます。スポーツ用の自転車なので、坂道でも山道でもどんどん漕いで登っていきますよ


――ええ! 自転車で1時間かけてカフェへ行ってらっしゃるのですか。途中で雨に降られるときってないのですか?


デブ子
「ありますよー。もしも雨が降ってきたら、どこかカフェを見つけて雨宿りします。だからたとえ天候が悪くても、そんなにいやじゃないかな」


――お目当てのカフェへの行き帰りで雨が降ったら、別のカフェで休まれるのですか。一石二鳥なんですね。カフェは毎日、開拓していらっしゃるのですか?


デブ子
「いやあ、さすがにそれはないです。仕事もありますし。なので『今日はカフェへ行く日!』って決めて、4軒くらいハシゴをします。まとめてまわれるコースを作って、その間をランニングするんです


――なんですって? 走ってカフェへ行かれるんですか!


デブ子
「はい。カフェとカフェのあいだをランニングする『カフェ巡りRUN』をよくやるんです。郊外のカフェなんかは、川辺や山あいにあることが多いから、空気もおいしいし、景色もいい。走っていてすがすがしい気持ちになります。それに途中でカフェへ立ち寄る楽しみがあるから、けっこうな距離であっても走れてしまいますしね。カフェへ行くだけで健康になれて最高です


――ランニングの途中途中でカフェへ立ち寄るって、もはや給水所感覚ですね。汗だくになりませんか?


デブ子
「なるんですよ。『こんなに汗まみれでお店へ入ったら、さすがに迷惑やんな~』というときは、テイクアウトにしてもらって





――そこまでしてでもカフェへ……。本当にカフェを愛していらっしゃるんですね。カフェ巡りをするときは、どういう気分なのですか?


デブ子
「最近はだいぶ落ち着きましたけれど、カフェ巡りを始めた頃は、ニューオープンのお店へ行く日は向かう道中ですでに緊張するほどでした。『どんな店なんやろ~』って考えだしたらワクワクしてしまってね。しかも、まだカフェ仲間にも知られていないお店だったら、ドアを開ける前に心臓がドキドキします。カフェって、ゆったりした雰囲気で、リラックスできるでしょう。疲れが取れて、癒されるんです。音楽や内装のセンスが素敵やったり、かわいい雑貨を売っていたり、そこで過ごす1時間がほんまに夢のようで、心地いいんです


――自転車でがっつり走っていって「ゆっくりしたい」って、矛盾していませんか?


デブ子
「ヘンですよね(笑)どうやら私、ほかの人より“ほっとしたい欲”が強いみたい。ほっとするためだったら、まあまあしんどいことでもできるんです





■カフェ飯には店主さんの想いが反映されえている


――デブ子さんが「いいカフェ」だと考えるポイントって、どこですか?


デブ子
「あくまで私の好みなんですが、『ごはんものがおいしい』と最高ですね。飲食って私のなかですごく重要なんです。もうね、食べることがほんま大好きで。食い意地が張ってるもんで(笑)」


――飲食って、カフェ飯ですか。カフェ飯って「ちまちましていて食べた気がしない」という意見もありますよね。


デブ子
「とんでもない! カフェ飯って過小評価なんですよ。カフェ飯ほど栄養のバランスがとれていて、ランチタイムに旬のお野菜をしっかりたっぷり摂れる飲食店って、ほかにないと思う。しかも使っているお野菜も品質がいいんです。店主さんが生産者さんから直接分けてもらっていたり、オーガニックなものを使っておられたり、畑を持っていて自家栽培しているお店もあって本当においしい!」



▲野菜をたくさん食べられる店が多いのがカフェ飯のいいところ


――おっしゃるとおり、僕も「カフェ飯ってずいぶん進化したな」と感じます。いい食材を使っていて、しっかり食べごたえもあっておいしくて、しかも意外と値段が安い。


デブ子
「味だけではなく、盛り付け方や、器の色あいやカトラリーのチョイスなど、ごはんものには店主さんの想いが反映されている気がするんです。出てきたランチがきれいやと、思わず『わあっ』と声が出ちゃいます。見ているだけで心が豊かになるんです。私は、カフェ飯はひとつのアート作品やと思っていただいているんです





■「カフェの味噌汁のおいしさ」を知らしめる使命感が芽生えた


――デブ子さんは昨年11月に“カフェの味噌汁”にフォーカスした「#チャラオバごはんみそ汁部 ~京都西部編~」というフリーペーパーを編集発行されましたが、なぜこれをリリースしようと思われたのですか?


デブ子
「京都の西の方って、雑誌などマスコミに採りあげられる機会が少なくて、ずっと不満やったんです。特にカフェは、ごはんとお味噌汁がおいしいお店が多いのに。それで『誰もせえへんのやったら私が紹介せなあかん!』と。使命感が芽生えて、内容を“西縛り”で編集して、右京区で開催された地域イベントで配布しました」


――読ませていただき、驚きました。「味噌汁がおいしい」という観点でセレクトされたカフェガイドなんて初めて見ましたよ。なぜカフェの味噌汁に注目されたのですか?


デブ子
「今日、取材に使わせていただいているこの『食堂souffle(スーフル)さんのお味噌汁がきっかけです。定食を頼んだとき、お味噌汁がすっごくおいしくてびっくりしたんです。店長のさゆりさんに『どこのメーカーのお味噌を使っているんですか?』と訊いたら、これが自家製で。味噌づくりのワークショップもやっていらしてね。そこで気がついたんです。『あ、センスがいいカフェって、どこもお味噌汁がおいしいわ』って」



*食堂souffle
京都の西部に位置する「円町」の小さな食堂カフェ。
「スーフル」とはフランス語で「息」。
ほっとしたり、「ふぅー」っとため息のつける場所にしたいという想いから、この名がつけられた。
使われる野菜や米は京都や滋賀の近郊で採れたもの。
顔なじみの生産者から安心できる食材を仕入れている。
お昼の「きまぐれ定食」(800円)や夜の「おまかせ定食」(1200円)で、自家製の味噌を使った絶品のお味噌汁がいただける(その日のメニューに味噌汁があるかどうかは要確認)

http://souffle-shokudo.com/



▲自家製の味噌汁がおいしいカフェ「食堂souffle」



▲献立がすべて画角に入るようカメラを高く掲げて撮る



▲フードや器によってカメラを変える凝りよう


――確かにsouffleさんの味噌汁、とてもおいしいです。雰囲気がいいカフェって、味噌汁にも手を抜いていないなという気がします。むしろ大衆食堂のほうが「味噌汁が残念だ」というときがありますね。


デブ子
「味噌汁ないがしろ、みたいなね。あれ、哀しくなりますよね」





■「どこのお味噌を使っているんですか?」のひとことから交流が生まれる


――「どこのメーカーのお味噌を使っているんですか?」という質問は、ほかの店でもなさいますか?


デブ子
「しますね。お味噌汁が店主さんとの会話の糸口になることもあるんです。『お味噌汁、おいしいですね』と声をかけたり、こだわりポイントを訊いたりすることで店主さんと親しくなれるんです。ここsouffleさんでも、お箸の先が細く使いやすかったので、売っている場所を訊いてすぐに買いに行きましたもの。そういう交流が広がるんです。そしていっそう店主さんのファンになってゆきますね」





――カフェの味噌汁がおいしいのは、「京都だから」というゆえんもあるのでしょうか?


デブ子
「ああ、それもあるかもしれませんね。京都っていうのも、お味噌汁がおいしい理由のひとつなのかな。京都のカフェの定食って、土地柄なのか和食ベースが多いんです。がっちがちの割烹料理屋さんよりもずっと敷居が低いのに、お出汁をちゃんととっていて、本格的な味を緊張せずに味わえます。これは京都ならではのカフェの魅力やないかなと思います」





■「味噌汁がおいしいカフェ」のおかげで暮らしにも変化が


――そういったおいしい味噌汁をカフェでいただくことで、ご自身の暮らしが変化した部分はありますか。


デブ子
「あります、あります。これまでお味噌ってスーパーマーケットで適当に買っていたんですが、『ちゃんと見極めなあかんな』と考えるようになりました。お味噌に限らず、素材はできるだけいいものを使うようになりました」


――いやあ、デブ子さんのお話を聞いて、僕も味噌汁がおいしいカフェを巡ってみたくなりました。いつも昼はチェーン店で「丼メニュー/大盛り」をがっついておしまいな日が多かったのですが、栄養のバランスが考慮されたカフェ飯をゆっくり味わってみたいです。


デブ子
「まあ私も、カフェで『大盛りで』って頼むときもあるんですけど(笑)





「カフェ魂」と呼んで大げさではない、デブ子さんのデラックスサイズなカフェへの愛情。
絶品な味噌汁とともに、しみじみ堪能しました。
デブ子さん、味噌汁と同じく、いい味していらっしゃいました。



味噌汁がおいしいカフェを案内したフリーペーパー「#チャラオバごはんみそ汁部 ~京都西部編~」は大好評につき品切れしていましたが、このたび増刷が決定。今後まず京都の「食堂souffle」(中京区)「壬生モクレン」(中京区)「SoupDining PanBoo」(右京区)「cafe HOME」(右京区)「季節のお菓子 つきよみ」(亀岡市)「Saji」(亀岡市)に置かれる予定。


「以降、さらに設置店が増える可能性がある」とのこと。ぜひカフェの最新情報が日々アップされ続けるデブ子さんのSNSをチェックしてみてください。


デブ子デラックス/京都西部南丹滋賀奈良の良きカフェ広め隊
https://twitter.com/debu_52
https://www.instagram.com/debukodx/


Special Thanks:江角悠子、食堂souffle



取材・執筆 吉村智樹
https://twitter.com/tomokiy