話題の「平成最後のポテトチップス」はなぜローソン限定?ヒントは「昭和の終わり」にあった

2019/1/30 10:00 DJGB DJGB
こんばんは、バブル時代研究家DJGBです。

1月29日から全国のローソン限定で「湖池屋 平成最後のポテトチップス 濃いめのり塩」が発売されました。賞味期限は平成31年4月30日。そう、平成が終わる日です。



パッケージには巨大な賞味期限のほか、「バブル経済」「地域振興券」「ゆとり教育」などなど平成の30年間を象徴するキーワードがあしらわれています。

ふだんは裏面に小さく印字されるだけの賞味期限を話題づくりに活用するとは、乱発気味の「平成最後」商戦の中でも出色のナイスアイデア。

今日はこのコラボを実現した湖池屋とローソン、2社それぞれの「昭和の終わり」を通じて、平成30年間の「ポテチ」を取り巻く変化をふり返りましょう。


■湖池屋とローソン、それぞれの「昭和の終わり」

まずは湖池屋。何を隠そう、1967年に日本で初めポテトチップスの量産化に成功した会社です。もともと関東を拠点としてた湖池屋は、1984年に発売した「カラムーチョ」がヒットすると、1986年には京都工場を設立し関西への本格進出を果たします。そんな湖池屋の知名度を飛躍的に高めたのが、ちょうど30年前の昭和の末期に放映されたこのCMでした。

●湖池屋 スコーン「社交ダンス」篇(昭和63年)



耳に残る印象的なCMを企画したのは、当時朝日広告賞を受賞したばかりの新進気鋭のCMプランナー、佐藤雅彦氏(当時電通)。のちに同じく湖池屋の「ポリンキー」「ドンタコス」や、NEC「バザールでござーる」、トヨタ「カローラ2」「スパシオ」、そしてNHK Eテレの「ピタゴラスイッチ」を手掛ける人物です。





波に乗る湖池屋は、本丸であるポテトチップスでも新ブランド「ジャガッツ」を投入。ここでも佐藤雅彦氏のCMメソッドが冴えわたります。

●コイケヤ 「ジャガッツ」(昭和63年)



翌年の平成元年(1989年)、湖池屋は「ポテチ」という単語の商標登録を出願、認可されています。お菓子としての「ポテトチップス」は一般名称ですが、「ポテチ」と呼べるのは湖池屋のポテトチップスだけ、なのです。


いっぽう、もともと大手スーパー・ダイエーの子会社として設立されたローソンは80年代、関西エリアを中心に店舗を拡大してきました。

●ローソン(昭和62年)



昭和63年(1988年)には、同じくダイエー傘下にあり、関東中心に1,000店舗を誇っていたサンチェーンと合計で3,000店舗を構える一大勢力に(翌平成元年に正式に合併)。

●サンチェーン 1000店突破キャンペーン(昭和63年)



日本フランチャイズチェーン協会による「フランチャイズチェーン統計調査」によればこの年の年末、主要7チェーンのコンビニ店舗数は初めて1万店超え(11,617店)。コンビニは、地方から都会に集まってくる若者の食のよりどころとして、またアルバイト先としても根付きつつありました。

そして「ポテチ」に代表されるスナック菓子は、カップ麺とともに、その店頭に欠かせないアイテムのひとつでした。


■“若者のスナック離れ”に向き合う湖池屋

当時の若者とコンビニの関係を描いた湖池屋のCMがこちら。最初の数秒、動画エラーじゃないですよ。

●コイケヤ「ポップナウ」(昭和63年)



かつて子供のための「3時のおやつ」だったスナック菓子は、このころ(いささかパロディ気味ではありますが、)「俺たちヤングのフィーリングにピッタシ」なアイテムへと変貌を遂げていました。

この年に1万店を超えたコンビニ主要7チェーンの店舗数は、30年後、55,322店(2018年6月時点)にまで拡大しています。

全国菓子工業組合連合会(全菓連)の統計によれば、昭和59年(1984年)に3,230円だった一世帯当たりのスナック菓子の年間支出金額は、平成元年(1989年)には4,252円へ、平成4年(1993年)には5,107円へと右肩上がりの成長を遂げました。

ところが、その後は微減傾向が続き、平成18年には3,378円まで低下。翌19年から再び増加に転じ平成27年時点では4,513円にまで回復していますが、前述のとおりコンビニの店舗数がこの30年間に5倍に成長していることを踏まえれば、伸び悩み感は否めません。

ちなみにローソングループの店舗数は2018年2月末時点で13,992店(国内のみ)。つまり30年前の主要コンビニチェーンの店舗数を、ローソンだけで上回っているのです。

そりゃ、「湖池屋 平成最後のポテトチップス 濃いめのり塩」もローソン限定で発売されるワケです。




ほかならぬ湖池屋が2018年11月に発表した調査によれば、10代の約34%が1年前と比べてスナックの購入頻度が「減った・やや減った」と回答。20代前半は約22%、20代後半は約16%と、若年層になればなるほど“若者のスナック離れ”は深刻です。背景には、スナック菓子を食べた手でスマホやタブレットを操作すると、画面が汚れてしまう、という不満があるようです。

そういえばここ数年、「カール(東日本での販売終了)」「ピックアップ」(ともに明治製菓)、「森永チョコフレーク」(森永製菓)など、昭和の時代から愛されてきたスナック菓子の生産終了のニュースが相次ぎました。

スナック菓子を再び「俺たちヤングのフィーリングにピッタシ」な存在にするための湖池屋の挑戦は続きます。湖池屋さん、これからもますます我々のインサイトをえぐってください!



(バブル時代研究家DJGB)