入場料1500円!? うわさの本屋に行ってみた

2019/1/6 21:10 虹

あけましておめでとうございます。

新しい年を迎え、「今年こそは!」という目標のある方、また、具体的な目標は無くとも「新しい何かに出会ってみたい」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなときにぴったりの場所があるのです。


▲「LIBRO」ホームページより


その名も「文喫(ぶんきつ)」。
2018年12月に六本木に誕生、入場料1,500円の本屋としてニュースなどで紹介されたのを見かけた方も多いのでは?
「本を買うのに入場料が1,500円もかかるの?」という声が聞こえてきそうですが、かく言う私もそう思っておりました。だって1,500円あったら本が買えるし……。
しかし実際に訪れてみると、この1,500円という値段が単純に書店を利用するための金額ではないことがわかったのです。


噂の「文喫」に行ってみた

そんなわけで百聞は一見に如かず、噂の文喫へ行ってみました。
文喫六本木は六本木交差点のほど近く、2018年6月に閉店した青山ブックセンターの跡地に位置します。
入ってすぐには展示スペースと雑誌のディスプレイスペース、そしてカウンターがあり、カウンターで会計を済ませて番号のふられたタグを受け取ると入場可能に。


▲展示スペース



▲雑誌のコーナー。図書館で見かける雑誌の棚ですが、中を開けるとそこにはバックナンバーではなく、関連書籍が入っています。


ちなみにこちらのスペースまでは入場無料
また、一度入場料を払えば再入場が可能です。つまり店内で過ごし、一度六本木ヒルズに映画や展覧会を観に行ってから戻ってきてもOKなんですね。

ではさっそく中に入ってみましょう。
店内は大まかにジャンル分けされていますが、書籍ばかりのコーナーに急に漫画が出現したり、ただ積み上げられていたりと、普段通っている本屋さんとは少し違う雰囲気。





試しに友人の写真集を探してみたのですが、なかなか見つかりません。

それもそのはず、実はわざとこのような並べ方がされているのです。

そもそも文喫は「買いたい本が決まっている人」のための本屋ではなく、「本と出会うため」の本屋。まさにセレンディピティ(偶然の素敵な出会い)を作り出す場なんですね。
いつも読んでいるジャンルの棚に行くと、そのジャンルに関連するけれど今まで手に取ったことがないタイプの本と出会える仕掛けになっているのです。
実際に友人の写真集を見つけるまでに、いくつか気になる本を手に取っていました。


▲作家も出版社もバラバラだけれど、つい手に取ってしまうラインアップが続く


「なるほど、こういう使い方をする書店なのか」と思いながらページをめくっていると、かなり好みの内容。たしかに買うものが決まっていたり、いつも通りのブラウジングでは出会うことのない本です。

ちなみに文喫にはどの本も1冊しか置かれていません。ベストセラーも、マニアックな本も、全て1冊のみ。
あなたがふと目を離した隙に他の誰かがその本に恋してしまったら……? もうその本とは出会うことができないという、なんともドラマティックでスリリングな場になっているのです。

▲通常ならフェアが行われる場所。おすすめ本コーナーになっているけれど、置いてあるのは全て1冊ずつです。



究極の出会いじっくり探そう

さて、「運命の出会い」と言っても難しいですよね。
仕事や結婚と同じように、ある程度向き合ってみないと本当に自分と相性が良いかはわかりません。
全部読むつもりはないけど、少し腰を据えて確かめたい。
そういった時のために、文喫には閲覧席が設けられています。

▲Wi-Fi完備。電源を備えた席も


さらにはお茶(煎茶)とコーヒーがお代わり自由。
この本ははたして自分の運命の相手だろうか? そんな究極の出会いをじっくり確かめることができるようになっているのです。

▲コーヒーとお茶(煎茶)はお代わり自由。それぞれアイスとホットが選べます。


なお、途中でお腹がすいてしまった人のために食事のメニューもありますよ! こちらは有料ですが、かなりしっかり食べることができるので、一旦お店から出ることで集中力が切れてしまうのが心配な人にも嬉しいですね。






本と本気で向き合ってみる

インターネットを見ていると、賛否両論の声がたくさんあがっています。
ネガティブな意見では「本が探しにくい」「漫画喫茶と変わらないのでは?」「本との出会いはネットで十分」などがありました。
うん、わかる。その気持ち、とてもよくわかります。
ただ、実際に足を運んでみると、既存の施設と同じものとして考えるのではなく、あくまで新しいスタイルとして「本と向き合う体験を楽しむ」ことを目的としているのではないかなという気がしました。

▲ポジティブな意見の中で多かったのは、「こんなに本とじっくり向き合えたのは久しぶりだ」という意見でした。


また、普段通っている本屋さんと使い分けることで読書の幅が一気に充実するなと感じたのも事実です。

日々に新しい風を吹き込みたいときは文喫へ。
そこでの出会いを広げたり深めたりするときには、いつもの本屋さんの力を借りる。

そうすることで知識はどんどん広がっていきますし、いつものお世話になっている本屋さんとの付き合い方もさらに深まるような気がします。

はじめは高いなあと思った入場料1,500円も、帰るころには運命の本と向き合うための覚悟の対価なのかもしれないと思うようになりました。



なお、店内には会議ができる「研究室」と呼ばれるスペースもあります。
本好きが集まってそれぞれ運命の本を探し、ここでプレゼンし合うのも楽しそう。いろいろな使い方ができそうです。
また、3日前までに連絡を入れれば、スタッフがあなたのために本を選んでくれるという「選書サービス」を受けることもできます。自分へのギフトにするのも良いですし、プレゼント用にイメージを伝えて選んでもらうのも面白いですね。


2019年。
もしかしたら文喫をきっかけに、あなたの人生が大きく変わるかもしれませんよ!


文喫(ぶんきつ)
所在地:東京都港区六本木6-1-20  六本木電気ビル1F
電話:03-6438-9120
時間:9:00~23:00(L.O.22:30)
休館日:不定休
席数:90席
入場料:1,500円(税抜)
▶「文喫」ホームページ