快慶・定慶展が開幕!慶派仏師の名品すべてが尊い!「聖☆おにいさん」とのコラボグッズも(2/3)

2018/10/5 16:38 鹿野ハル 鹿野ハル


■東大寺大仏殿と同じ規模!?かつて存在していた巨大建造物「北野経王堂」
【大報恩寺の歴史と寺宝―大報恩寺と北野経王堂】

京都市上京区ににある大報恩寺は鎌倉時代1220年(承久2年)に義空上人により開創された古刹です。京都では千本釈迦堂の名で親しまれています。
本堂は応仁の乱など、幾多の戦火を免れ、洛中(京都市内)最古の木造建造物として国宝に指定されています。





会場ではじめに目に入る千手観音菩薩立像。
作者は不明、平安時代10世紀のもので、大報恩寺創建よりも古い木像です。



▲千手観音菩薩立像(重要文化財)


大報恩寺に隣接し、北野天満宮の南にあった、足利義満により建てられ仏堂「北野経王堂」は、東大寺大仏殿と同じ規模で、当時洛中屈指の巨大建造物でした。
室町時代後期に大報恩寺の管轄下になり、その宝物の多くは大報恩寺に伝えられており、「傅大士坐像および二童子立像」や「北野経王堂一切経」なども今回展示されています。


さらに進んだ先のコーナーにはライトで神々しい「誕生釈迦仏立像」が!



▲誕生釈迦仏立像(重要文化財)


片方の手で天を指し、もう片方の手で地を指すポーズ。
お釈迦様が誕生時、「天上天下唯我独尊」と唱えたというお姿の「誕生釈迦仏立像」です。

小ぶりながら存在感たっぷり。



■秘仏「釈迦如来坐像」と「十大弟子立像」を特別な空間で展示
【聖地の創出―釈迦信仰の隆盛】

次のエリアに入ると、紺色の背景に、ライトで照らされ黄金に輝く「釈迦如来坐像」と、その周りを囲む「十大弟子立像」が浮かびます。





快慶の一番弟子・行快が制作した、大報恩寺の秘仏で本尊である「釈迦如来坐像」は寺外初公開!


▲釈迦如来坐像 行快作(重要文化財)


快慶晩年の名品、釈迦の10人弟子「十大弟子立像」も10体揃っての公開は寺外初!


▲十大弟子立像 快慶作(重要文化財)


現在、「十大弟子立像」は、大報恩寺の霊宝殿に安置されています。今回特別に当初の本堂での安置と同じように「釈迦如来坐像」と「十大弟子立像」が同じ空間で展示されています。
快慶・定慶展だけのスペシャルなフォーメーションです。


「釈迦如来坐像」も「十大弟子立像」10体各像は高い台の上に置かれ、360度回り込んで見られるので、お寺では通常見られない背面や横顔なども見られます。




十大弟子はそれぞれ顔や、手のポーズなどが違っていて個性的。それぞれの違いを見て回ってみてもおもしろいかもしれません。

十大弟子立像(重要文化財):
阿難陀(あなんだ)、羅○羅(らごら)、優婆離(うぱり)、阿那律(あなりつ)、迦旃延(かせんえん)、
富楼那(ふるな)、須菩提(すぼだい)、大迦葉(だいかしょう)、目○連(もくけんれん)、舎利弗(しゃりほつ)





■重要文化財に指定された唯一の六観音
【六観音菩薩像と肥後定慶】

3つ目のエリア【六観音菩薩像と肥後定慶】は、朱色の空間。
ここでは運慶晩年の弟子である定慶作の「六観音菩薩像」(重要文化財)が展示されています。
6体とも保存状態が良く、光背・台座も造像当初の姿がとどめられています。




六観音とは、聖観音、千手観音、馬頭観音、十一面観音、准胝観音(または不空羂索観音)、如意輪観音の総称で、地獄道や餓鬼道をはじめとする六道から人々を救う仏のことです。

大きな6体の像が一堂に並ぶ姿は圧巻です。異次元空間にさまよいこんだようです。
そのどれもが精巧で美しく、遥か昔につくられたとは思えない存在感です。



▲如意輪観音菩薩坐像 肥後定慶作(重要文化財)


六観音菩薩像も360度どの角度からも見られるようになっています。

「六観音菩薩像」の光背が会期の後半10月30日(火)からは外されます。
大報恩寺では通常見られない背中も間近にご覧いただけます。貴重な機会です。



▲馬頭観音菩薩立像 肥後定慶作(重要文化財)


慶派仏師の名品が凝縮した快慶・定慶展。じっくりゆっくり堪能したいところです。

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