もう行きました?「江之浦測候所」が凄かった!アート&建築、歴史好きにオススメ。
「江之浦測候所」行って来ました!今更ながらですが、しかし、凄いです、素晴らしいです!アートファン、建築ファン、歴史ファン、そして石マニアも必見です。
海に張り出す「冬至光遥拝隧道」と「光学硝子舞台」
江之浦測候所って何?
ここは現代美術作家の杉本博司を中心にした小田原文化財団が小田原に近い江之浦と言う場所に作った施設。2017年10月に一般公開を開始。俗に言う「美術館」ではありません(登録上はそうのようですが)。測候所?何かを観測するような施設名ですね。いったいどんな施設なんでしょう?
「冬至光遥拝隧道」と「光学硝子舞台」
杉本博司と言えば写真を中心に様々な表現を展開している現代美術作家ですが、古美術品の収集家としても有名です。また建築家の榊田倫之と共に様々な建築作品を手がけてもいます。現代美術作品と古美術コレクション、そして建築を組み合わせ、日本古代からの信仰にあったような自然を観測する、そしてその中での自身の場を確認する、そんな場所がここ、江之浦測候所なのです。その一部をご紹介したいと思います。
「冬至光遥拝隧道」内側から海を望む
この施設のテーマとして「人類とアートの起源」と言うものがあります。人は生活の原点として春分、夏至、秋分、冬至など季節の節目を意識して生きてきました。この施設の一部もその節目の太陽の軌道を設定して作られているのが特徴です。
「夏至光遥拝100メートルギャラリー」
片側の壁面がガラス、もう片側が大谷石で出来た全長100メートルのギャラリー棟。建物の先は海側へ持ち出しになっている。
この建築は夏至の時の太陽の登る方向に向いているそうです。建物の先からは正面に夏至の日の出を見ることが出来るという設定です。
ギャラリーでは現在は杉本博司の写真作品「海景」シリーズの展示をしています。
建物の先から海を望む時に、撮りたくなりますよね……海景シリーズ的なこれ。
「冬至光遥拝隧道」
こちらは冬至に朝日が昇る方角に向いているトンネル。一年の終点でもあり、起点でもある冬至の朝、水平線から太陽が昇ると陽の光がトンネルの奥まで差し込んでくるということです。
トンネルの途中には採光のための空間があり、そこには光学硝子を敷き詰めた光井戸があります。
雨が降ると天井の開口から井戸の中の硝子に降り注ぐ雨粒を見ることが出来るとのこと。
茶室「雨聴天」
この茶室は千利休作と伝えられる「待庵」の本歌取り。寸法はそのまま写しながらも、この土地にあった蜜柑小屋のトタン屋根を茶室の屋根にしています。雨が降るとこのトタン屋根に雨音が響き、それを聴くことから名前が付けられました。
茶室のにじり口から石鳥居を望む方向が春分秋分の日の日の出の方向です。
掛け軸の書「日々是口実」は杉本博司の作品。洒落だけに洒落ていますね、笑。他にも光学硝子の踏石や裏側の竹箒の垣根なども要チェックです。
各種石組み
海に向かう三角塚の石組み。この頂点は春分秋分の正午の太陽の方向を指しています。別の場所には都(首都)の方向を向く亀石なども。
能舞台の寸法を基本にした石舞台。石橋の軸線は春分秋分の日の出の方向を向いています。
「光学硝子舞台」
先の石舞台の軸線の先にあるのは古代ローマ円形劇場遺跡の写しだという観客席と硝子舞台。
光学硝子の舞台と釘を一本も使わない懸造りと言う工法で作ったその土台。海に張り出している金属製の構造物は先ほどの「冬至光遥拝隧道」。
舞台の天板は硝子です。高所恐怖症の私には近寄るのが精一杯(見学時はこの上に乗るのは禁止です)。
舞台の横に伸びる「冬至光遥拝隧道」の屋根の部分。止め石(これより前に行かないように、の目印)はありますが、それに近寄ることも出来ず。
「待合棟」
この施設についての説明を受ける待合棟。ガラスで囲まれた現代的な建築です。
中央のテーブルには樹齢1000年を超える屋久杉の天板。そこに高野山 大観寺にあった水鉢を埋め込んでいます。
歴史ある建造物や石
入口近くにある「明月門」は鎌倉の臨済宗建長寺派 明月院の正門だったもの。最近まで根津美術館の正門として使用されていました。
施設のあちこちに貴重な古い塔や門、水鉢、井戸、礎石などが配されています。平安時代の日吉大社の礎石、鎌倉時代の塔、京都市電の敷石など時代も様々。
またこの施設の見所の一つでもある石も歴史のあるものばかり。藤原京の石橋や地元で採掘され海に沈んだ巨石など。など。他にもベニスにあった生命の樹の大理石レリーフやフランス旧家の石の階段などもあります。
ガラスや石などの素材、様々な時代の日本の建築様式、自然の法則、すべてが一つの作品でもあり、杉本博司の作り上げた集大成的な世界でした。
「冬至光遥拝隧道」の先にある止め石(これより先に入らないようにという目印)
最寄り駅は小田原から二駅先の根府川駅。海の見えるみかん畑のある斜面に作られたこの施設、基本はWEBから事前予約制(有料)です。申込み時に根府川の駅から送迎バスを使うか、車で行くかを選択します。
また、2018年の10月1日より見学時間や料金などが変更します。化石窟や竹林なども公開され見学エリアが広がるとのことです。天候や季節によって様々な表情を見せてくれるこの施設、定期的に訪れて人の生活を包み込む自然の営みを観測したいです。
海に張り出す「冬至光遥拝隧道」と「光学硝子舞台」
江之浦測候所って何?
ここは現代美術作家の杉本博司を中心にした小田原文化財団が小田原に近い江之浦と言う場所に作った施設。2017年10月に一般公開を開始。俗に言う「美術館」ではありません(登録上はそうのようですが)。測候所?何かを観測するような施設名ですね。いったいどんな施設なんでしょう?
「冬至光遥拝隧道」と「光学硝子舞台」
杉本博司と言えば写真を中心に様々な表現を展開している現代美術作家ですが、古美術品の収集家としても有名です。また建築家の榊田倫之と共に様々な建築作品を手がけてもいます。現代美術作品と古美術コレクション、そして建築を組み合わせ、日本古代からの信仰にあったような自然を観測する、そしてその中での自身の場を確認する、そんな場所がここ、江之浦測候所なのです。その一部をご紹介したいと思います。
「冬至光遥拝隧道」内側から海を望む
この施設のテーマとして「人類とアートの起源」と言うものがあります。人は生活の原点として春分、夏至、秋分、冬至など季節の節目を意識して生きてきました。この施設の一部もその節目の太陽の軌道を設定して作られているのが特徴です。
「夏至光遥拝100メートルギャラリー」
片側の壁面がガラス、もう片側が大谷石で出来た全長100メートルのギャラリー棟。建物の先は海側へ持ち出しになっている。
この建築は夏至の時の太陽の登る方向に向いているそうです。建物の先からは正面に夏至の日の出を見ることが出来るという設定です。
ギャラリーでは現在は杉本博司の写真作品「海景」シリーズの展示をしています。
建物の先から海を望む時に、撮りたくなりますよね……海景シリーズ的なこれ。
「冬至光遥拝隧道」
こちらは冬至に朝日が昇る方角に向いているトンネル。一年の終点でもあり、起点でもある冬至の朝、水平線から太陽が昇ると陽の光がトンネルの奥まで差し込んでくるということです。
トンネルの途中には採光のための空間があり、そこには光学硝子を敷き詰めた光井戸があります。
雨が降ると天井の開口から井戸の中の硝子に降り注ぐ雨粒を見ることが出来るとのこと。
茶室「雨聴天」
この茶室は千利休作と伝えられる「待庵」の本歌取り。寸法はそのまま写しながらも、この土地にあった蜜柑小屋のトタン屋根を茶室の屋根にしています。雨が降るとこのトタン屋根に雨音が響き、それを聴くことから名前が付けられました。
茶室のにじり口から石鳥居を望む方向が春分秋分の日の日の出の方向です。
掛け軸の書「日々是口実」は杉本博司の作品。洒落だけに洒落ていますね、笑。他にも光学硝子の踏石や裏側の竹箒の垣根なども要チェックです。
各種石組み
海に向かう三角塚の石組み。この頂点は春分秋分の正午の太陽の方向を指しています。別の場所には都(首都)の方向を向く亀石なども。
能舞台の寸法を基本にした石舞台。石橋の軸線は春分秋分の日の出の方向を向いています。
「光学硝子舞台」
先の石舞台の軸線の先にあるのは古代ローマ円形劇場遺跡の写しだという観客席と硝子舞台。
光学硝子の舞台と釘を一本も使わない懸造りと言う工法で作ったその土台。海に張り出している金属製の構造物は先ほどの「冬至光遥拝隧道」。
舞台の天板は硝子です。高所恐怖症の私には近寄るのが精一杯(見学時はこの上に乗るのは禁止です)。
舞台の横に伸びる「冬至光遥拝隧道」の屋根の部分。止め石(これより前に行かないように、の目印)はありますが、それに近寄ることも出来ず。
「待合棟」
この施設についての説明を受ける待合棟。ガラスで囲まれた現代的な建築です。
中央のテーブルには樹齢1000年を超える屋久杉の天板。そこに高野山 大観寺にあった水鉢を埋め込んでいます。
歴史ある建造物や石
入口近くにある「明月門」は鎌倉の臨済宗建長寺派 明月院の正門だったもの。最近まで根津美術館の正門として使用されていました。
施設のあちこちに貴重な古い塔や門、水鉢、井戸、礎石などが配されています。平安時代の日吉大社の礎石、鎌倉時代の塔、京都市電の敷石など時代も様々。
またこの施設の見所の一つでもある石も歴史のあるものばかり。藤原京の石橋や地元で採掘され海に沈んだ巨石など。など。他にもベニスにあった生命の樹の大理石レリーフやフランス旧家の石の階段などもあります。
ガラスや石などの素材、様々な時代の日本の建築様式、自然の法則、すべてが一つの作品でもあり、杉本博司の作り上げた集大成的な世界でした。
「冬至光遥拝隧道」の先にある止め石(これより先に入らないようにという目印)
最寄り駅は小田原から二駅先の根府川駅。海の見えるみかん畑のある斜面に作られたこの施設、基本はWEBから事前予約制(有料)です。申込み時に根府川の駅から送迎バスを使うか、車で行くかを選択します。
また、2018年の10月1日より見学時間や料金などが変更します。化石窟や竹林なども公開され見学エリアが広がるとのことです。天候や季節によって様々な表情を見せてくれるこの施設、定期的に訪れて人の生活を包み込む自然の営みを観測したいです。
江之浦測候所 | 小田原文化財団
神奈川県小田原市江之浦362番地1
TEL: 0465-42-9170(代表)
事前予約・入れ替え制、有料(詳細はWEBを確認)
休館日:火曜日・水曜日、年末年始および臨時休館日
https://www.odawara-af.com/ja/enoura/
神奈川県小田原市江之浦362番地1
TEL: 0465-42-9170(代表)
事前予約・入れ替え制、有料(詳細はWEBを確認)
休館日:火曜日・水曜日、年末年始および臨時休館日
https://www.odawara-af.com/ja/enoura/