これが美術を好きになる近道。ちくま新書『いちばんやさしい美術鑑賞』はアートファン必見です!
専門家ではないアートブロガーが書いた、素人による素人のための美術鑑賞に関する指南書。これはアートファン必見の本です。
ちくま新書『いちばんやさしい美術鑑賞』(著 青い日記帳)
まずはこの本の特徴をご紹介!
・作品の見かたのヒントを判りやすい例えで伝えてくれる。
・取り上げている15作品はすべて日本で見ることが出来る。
・西洋から日本美術、絵画から工芸まで、時代を追って現代アートまで幅広く。
・専門家が書いた美術解説ではなくて、一美術ファンが書いた美術鑑賞の手引き。
・美術好き初心者に読みやすい書き方や例え方。
・そして美術好き中級者でも新しい発見がある様な切り口。
青い日記帳『いちばんやさしい美術鑑賞』
— ちくま新書 (@ChikumaShinsho) 2018年8月7日
「「わからない」にさようなら! 1年に300以上の展覧会を見るカリスマブロガーが、目からウロコの美術の楽しみ方を教えます。アート鑑賞の質が変わる必読の書」 pic.twitter.com/OXEAfGZHUf
そう、この本は有名アートブログ「青い日記帳」のTakさんが書いた「素人による素人のための指南書」。Takさんはご存知のとおり、いまトピでも執筆されています。
http://bluediary2.jugem.jp/
いまトピ ライター Tak(タケ)
https://ima.goo.ne.jp/column/writer/49.html
専門家が書いた知識や解説、批評などの美術本では無いことは判りましたので、美術の鑑賞術の具体例をこの本から挙げて説明したいと思います。
美術の鑑賞術って具体的には?
さて、ここで一人の美術好きの男性に登場してもらいましょう。彼は現代アートや日本美術が大好きですが、西洋美術はちょっと苦手なんです。だって、西洋絵画の時代背景とか聖書の内容とか覚えるの面倒ですよね。(注、これは現実の男性ではありません、ましてや私のはずはありませんから!)
その彼がこの本を手に取り、その内容を活用していくのを見てみましょう。
美術館に彼女と出かけた彼。西洋美術のコーナーは彼女が好きな絵が多い。ここは苦手ながらも最低限の対応はしたいところ。本の内容を会話に取り入れてみたようです。
「印象派のこの抜け感。特にモネの絵はざっくりとした抜け感だけで構成されているのに人の目を通すと水に見えるというのが不思議だよね。」
女性誌のファッション用語である、この抜け感と言う表現をモネの絵に使っているのは本に書いてあった例えです。こう言う美術用語ではない例えをするところがまたスッと入ってくるところですよね。
「全体の基調が青なのに、ここ入っている刺し色が赤、そしてこの輪郭をなぞっていく線も赤。この絵は赤で締めているよね。」
この、一つの「色」を意識してみると良いと言うのも本に書いてあったのことです。例えば赤色だけに注目してみると全体の印象などとは違う今まで気がつかない所に気づくかもしれないと本にありました。
#いちやさ 読了。作品そのものの良さ、作者のこと、作品の題材、絵の技法、時代背景などわかりやすく解説している本です。アートファンはもちろん、これから美術館巡りをしようと考えている方にもおススメです!
— YAMA@SANのぶらり散歩道 (@yn600301) 2018年8月11日
筑摩書房 いちばんやさしい美術鑑賞 青い日記帳 ちくま新書 https://t.co/CINPWtHIRR
さて、日本美術のコーナーでも、いつもなら専門的な解説を語っている彼の様子が少し違います。
「若冲の裏彩色の効果はハッキリしているよ。トマトパスタのソースが跳ねた染みがあれだけハッキリしてるんだからさ。」
この、パスタソースのくだりも本からの受け売りです。裏彩色の説明でパスタソースを例えに出すのは、まぁ、美術専門家にはいないでしょう。
「狩野派の派手さは仕事として絵を描くことで産まれたものだよね。ベルニーニの躍動感のある彫刻を思い出すよね。」
この日本美術と西洋美術の類似点の例え、彼女が日本美術が苦手なので効くはずです。もちろんこれも本から借用した例えです。
「いちばんやさしい美術鑑賞」@ ちくま新書。まだ序盤を読み始めたばかりですが、「takさん、こんなこと考えられながら、書かれたのかなあ」と想像しながら読み進めようと思います。2年越しの労作、全250ページ、カラー図版あり、ボリュームもあります。是非! https://t.co/lwZpWBv9VR pic.twitter.com/MvSuyG5Zs2
— はろるど (@harold_1234) 2018年8月6日
こう言う違った視点での例えや、日本と西洋美術との対比などを入れることで判りやすく受け入れることが出来るのですが、美術の専門書ではなかなかそうはいかない。専門家でない、幅の広さや柔軟な視点、良い意味でのユルさがこの本の特徴です。わかりやすいですよね。
青い日記帳『いちばんやさしい美術鑑賞』筑摩書房を賜りました。とっても、わかりやすそう。毎日、展覧会について書くって半端じゃないことを長年やってこられた方がどういう風に書いているのか、じっくり読みたい。たのしみ。 pic.twitter.com/GpSJ42wl6x
— Momo Kanazawa (@momokanazawa) 2018年8月5日
「ふーん、彼もあの本もう読んだのね。勉強しているのは良いけど、受け売りが多すぎ。もう少しひねって欲しかったなぁ。」
と彼女が最後に呟いたのは彼には聞こえなかったみたいです。
そう、彼の失敗はアートファンである彼女も同じ本を読んでいたということを想定しきれなかった事ですね。まぁ、初めは受け売りでもいいと思います。そうやって自分の見かたと言うものを見つけていくのです。
青い日記帳『いちばんやさしい美術鑑賞』(ちくま新書)を読み始めて、美術館に行きたい欲が入道雲のようにむくむくと。この半年はほぼすべての展示やイベントを涙をのんで見送ったので、秋はこの本を持っていろんなところに行きたいな。
— 牟田都子 Satoko Muta (@s_mogura) 2018年8月10日
最後に改めてこの本をご紹介
ちくま新書『いちばんやさしい美術鑑賞』(著 青い日記帳)
【目次(作家など)】
1.聞いたこともない画家の作品を鑑賞する時は(作家、グエルチーノ)
2.フェルメールは何がすごいのか?(フェルメール)
3.作品の世界に溺れてみよう!(作家、モネ)
4.なぜセザンヌは「近代絵画の父」なのか?(作家、セザンヌ)
5.使う場面を想像しながら観る(作家、ガレ)
6.これが名画? はい、そうです!(作家、ピカソ)
7.美術鑑賞は格闘技だ!(作家、デュシャン)
8.水墨画を味わうために(作家、雪舟)
9.教科書に出ている狩野派の味わい方(作家、狩野永徳)
10.デザインを語るなら観ておくべし(作家、尾形光琳)
11.「なぜその作品を作ったか」で観る(作家、伊藤若冲)
12.観られない作品ほど観たい(茶碗、曜変天目)
13.今、話題の超絶技法に驚く!(作家、並河靖之)
14.女性ならではの美の表現とは?(作家、上村松園)
15.同時代のアーティストを応援しよう(作家、池永康晟)
この本が1つのきっかけになって、美術が少しでも面白いと思ったら絵の前に立って欲しい。一人でも多くの人に美術展へ足を運んで欲しい。そう言うTakさんの思いが伝わる本でした。
筑摩書房『いちばんやさしい美術鑑賞』 青い日記帳 ちくま新書 https://t.co/OapEqRyUYJ 素敵な特集ページ作ってもらいました。試し読みも出来ます!
— Tak(たけ) @『カフェのある美術館』 (@taktwi) 2018年8月10日
美術を観る楽しみを皆に知ってもらう為に、美術や展覧会の良いところを伝える読後感の良い内容。学者やライターではなく、アートが好きな人が書いた美術に気軽に接するための本。これはアートが好きになる近道です。
幾つかのブログでこの本に関する紹介やレビューなどが上がっています。こちらも参照までに。
ブログ「青い日記帳」Takさんにいろいろインタビューしてみた!~新書『いちばんやさしい美術鑑賞』出版によせて~(前編):ブログ あいむあらいぶ
ブログ「青い日記帳」Takさんにいろいろインタビューしてみた!~新書『いちばんやさしい美術鑑賞』出版によせて~(後編):ブログ あいむあらいぶ
これは良書!アート鑑賞入門書のオススメ決定版:『いちばんやさしい美術鑑賞』(ちくま新書):ブログ あいむあらいぶ
「いちばんやさしい美術鑑賞」 青い日記帳:ブログ はろるど
全アートファン必見!『いちばんやさしい美術鑑賞』ってどんな本?(ついに来週発売!):ブログ 今日の献立ev.
『いちばんやさしい美術鑑賞』 (ちくま新書)
青い日記帳