あえて言おう。「カプセルホテルは最高!」であると。

2018/7/17 11:00 吉村智樹 吉村智樹



こんにちは。
関西在住のライター、吉村智樹です。


この連載では、僕が住む関西の耳寄りな情報をお伝えしてゆきます。
今回はその第30回目となります。





■取材先から取材先へ、カプセルホテルを泊まり歩く日々


今回は閑話休題。
この連載の取材のあいまに感じていることをコラムでお届けいたします。


記念すべき30回を迎えたこの連載の取材を筆頭に、僕はほぼ毎日、関西・近畿地方のどこかに出没して取材をおこなっています


バレーボール用品のメーカー「MIKASA」がつくった大きな大きなキャリーバッグに、一眼レフカメラを2台、脚立や三脚、ICレコーダやノートパソコン、着替えや課題図書などを詰め込み、ごろごろごろごろ転がしながら旅をしているのです。


「旅だなんて、ンな大げさな。住んでいる場所と同じ近畿地方のなかを取材しているだけだろ?」

そう思われるかもしれません。


しかし近畿と言えど二府四県もあり、なかなかに広うござんす。
「東京なら日帰りできるけれど、同じ関西・近畿なのに宿泊しなければ取材できない」
そんな場所はごまんとあるのです。
それに最近は東海地方を取材する仕事も加わったため、家へ帰れない日が増えてきました。


では、どこへ泊るのか。
僕は旅へ出ると、もっぱら「カプセルホテル」に泊まります。
最低でも週に一度はカプセルに寝泊りするペース。
多い時で週に四日はカプセルにすっぽり収まっています。
いつか「カプセルホテル・ミシュラン」がやりたいほどのカプセルホテルユーザーです。


■安くでゴージャス。さらにサービス過剰なカプセルホテルも


「カプセルホテルって狭くないのか? 苦痛はないのか?」
いえいえ、そんなことはありません。
馴れてしまうと、むしろ一般的なホテルの床スペースが無駄に感じてしまうのです。
いやもう、カプセルホテル、大好きなんです。


まず安い
単純にビジネスホテルの半額ですしね。


それでいて外出は自由。
アメニティはひと揃えあるし、充電できるし、サービスはビジネスホテルとなんら変わらない。
いや、たいてい広い浴室やサウナが併設されているから、むしろビジネスホテルよりゴージャスなひと時が味わえます。


名古屋は特に素晴らしい。


過当競争からくるサービス合戦で、ちゃんと板前さんがいて館内で本格的な割烹料理がいただけたり、グランドホテルのモーニング並みに種類が豊富な朝食サービスがあったり、泳げる大浴場まであったり、過剰なまでにくつろげるのなんの。
このあいだなど股間のストレスを全開放にして平泳ぎしてきました。





ああ、大好き、名古屋カプセル。
なんの用事もないけれどカプセルホテルに泊まるためだけに名古屋へ行きたいほど。


■カプセルホテルの狭さに馴れると、ほかのホテルが広すぎて落ち着かない


それに「狭さ」がいい


もともと幼い頃から押入れの暗闇のなかにひとりで何時間もすごしたり、裏山の洞穴を秘密基地にしたり、テレビやステレオの裏へ入り込んだりなど、狭い場所が落ち着く子供でした。
カプセル特有の、寝返りもままならない狭~い寝床に横たわっていると、幼少期に夢見た「仮面ライダーに改造されるベッド」を思いだしてワクワクします。





■おんぼろだけど味がある地方のカプセルホテル


そして最大に魅力的な点は「昭和レトロ」なところ。


この頃は女性旅行者を対象としたデザイナーズカプセルや、インバウンド向けに畳敷きにした「和カプセル」など新しいスタイルのカプセルホテルが増えています。


しかし地方へ行くと、昭和生まれで年季が入ったおんぼろカプセルがまだまだ頑張っているのです。


どこかカラーリングがもっさりしていたり、休憩所のシートが真っ赤なチンチラ張りだったり。
でもそういった時代遅れな光景に愛すべきを感じてやみません。


■スヌーピーの目覚まし時計を手渡される気取らなさ


このあいだ泊まった神戸の某カプセルホテルはすごかった。
湧き出る水の「神性」「聖性」をうたっていてスピリチュアル全開
館内は80年代の清里のペンションを思わせるパステルグリーン一色。


そしてカプセルのなかが、禁煙のはずなのに、たばこ臭い。
いつの頃の寝たばこなのかわからないけれど、においが沁みついているんです。
こういう部分に僕はなぜか憎めない旅愁を感じてしまいます。


さらに目覚まし時計は故障のまま。
フロントへそのむねを告げると、当たり前のように○ッ○ーマウスの目覚まし時計を渡されました
その時計の秒針分針の音が、でかいのなんの!
○ッキーの腕が動くたびにギリギリガリガリ音を立てます
周囲のカプセルからクレームが入るんじゃないかと、気が気ではなかったです(と言いつつ、3分後には深い眠りに落ちていましたが)。





誤解なきよう。
これは批判ではありません。
こういった非日常体験が、すべて楽しい。
旅の醍醐味です。


そして現役でやっていけているということは、カプセルホテルには変わらずマーケットがあるということ。
これからも、こんなマッドカプセルを泊まり歩きながら取材を続けてまいります。


イラスト:せろりあん


(吉村智樹)
https://twitter.com/tomokiy