梅雨や夏に多い「むくみ」には○○が薬膳的に最高だった!【お手軽コンビニ薬膳】

2018/7/5 11:20 satomin satomin


こんにちは、国際中医薬膳師のsatominです。
特別な食材を使わなくても、コンビニやスーパーにもある身近な食材を使って薬膳を実践するコンビニ薬膳。
今回はむくみの薬膳です。




「足がむくんで~」とか「顔がむくでる」とか、むくみを気にしている人も多いですよね。


中医学では、むくみは「水腫(すいしゅ)」と言われ、代謝の低下により、体内に余分な水液が溜まって次第に皮膚まで浸み込んであふれだし、まぶたや顔、両手両足、腹や背中、そして全身が水腫となる。主に腎、肺、脾と関係があるとされます。



■むくみには○○を食すべし

特に梅雨の時期は湿邪が体内に入りやすいのでむくみやすいと言えます。冷たい物や水分を多く摂りがちな夏にもむくみの症状がでやすいもの。
改善するには、まずは冷たい飲食は控えます。生ものや塩分、お酒も控えめに。夏に食べたくなるかき氷やキンキンに冷えたビールも、むくんでいる時は封印しましょう。

薬膳としてはむくみ改善には「健脾利湿」を施膳方針となります。
「健脾利湿」は、体内に停滞した湿邪を尿として体外に排出し、消化器系の脾の働きを正常にするよう整えるという意味です。

中薬では利水滲湿薬を、食物では利水と健脾の働きのある物を使います


食材では身近なものがむくみにとても良いのです。
夏祭りの屋台などでも見かける黄色いアレです。



それは、トウモロコシ!




トウモロコシの旬は5月から9月頃で、7月頃が最盛期。ちょうどむくみやすい時期にも調達しやすいのもいいですね。

湿邪を対外に出し脾の働きを向上させる利水健脾の効能があります。

さらに、トウモロコシの実以上にむくみに効くのがトウモロコシのヒゲ!




トウモロコシは玉蜀黍と書きますが、中薬の利水滲湿薬に「玉米髭(ぎょくべいしゅ)」というのがあり、これはトウモロコシのヒゲを乾燥させたものです。



他にも、玉米髭と同じ利水滲湿薬のヨクイニン(よく[くさかんむりに意]苡仁)もむくみに適しています。




ヨクイニンはハトムギのことで、ハトムギ茶というと、ピンとくる方も多いかもしれません。
なお、妊娠初期は禁忌です。




利水滲湿の他に、健脾除痺、清熱排膿の効能があり、イボやニキビなどにも効き、美肌にもよく、ハトムギエキス配合の化粧品もあるほどです。


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■むくみ薬膳を日々の食事で実践!

むくみが気になっている時は、バターコーンやコーンスープなどトウモロコシを使ったメニューを意識的に摂るようにしましょう。
Twitterでも話題になっているトウモロコシを皮ごとレンジにかけて、端を切ってニュル~スポンと押し出して食べるのもお手軽でよいですね。

筆者はヒゲ付きのトウモロコシを買ってきて、ヒゲ部分を乾燥させてお茶にしたことがあります。お茶に煮出しても味はほとんどしないので飲みやすいです。


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手軽にいつものご飯をアレンジ。
トウモロコシを白米と一緒に混ぜて炊くトウモロコシご飯は、トウモロコシが甘い旬の時期には作りたい品です。
ハトムギご飯や、トウモロコシとハトムギご飯もおすすめです。
作るのも炊飯器任せなのでラクチン。時期的にフレッシュなコーンがなければ缶詰でも可。




トウモロコシはと麦ご飯をハト麦茶と一緒に食べると効果倍増!むくみに困ってる方はぜひおためしください。


もっと手軽に普段の飲み物をコーン茶やハトムギ茶に替えてもいいでしょう。市販でも煮出すタイプやペットボトルなど販売されています。
ちなみに、麦茶は、六条大麦(二条大麦)などを使ったものもあります…というか「麦茶」とだけ記載されているものは大麦が原料のことが多いのでご注意を。


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■他にもある、むくんでる時に食べておきたい食材、控えたい食材

トウモロコシやハトムギの他に、むくみに適している利水食材としては、冬瓜やキュウリ、高菜、ナス、葡萄、昆布、小豆、黒豆、緑豆などがあります。これらの食材を意識的に摂ってみてください。


また、「芳香化湿」といって香りのよい食材は湿をとるので、紫蘇や薄荷(ミント)、バジル、香菜(パクチー)、カルダモンなどを摂りましょう。
バジル、香菜(パクチー)がよく使われているタイなどの東南アジア料理もおすすめ。


今回紹介した食材を食べるだけでなく、むくんでいる時の食事で気をつけたいことがあります。

「甘は湿を産む」と言われています。
むくみやすい人は、甘いお菓子や、食味が甘味の食材は、摂りすぎないように注意しましょう。
薬膳で補気として棗(大棗)を使うことも多いですが、脾胃に良い(健脾)といって棗を大量に使うのは慎重に。


デスクワークで足のむくみが気になっている時は、会社の昼休み、コンビニで昼食を買う時にも「食べたいものないな~」と思うことってありますよね。
そんな時「最近むくんでるからむくみに良いものにしよう」と薬膳を思い出してメニューを選んでみてください。


例えばこんなかんじ。

コーンの入ったサラダ、コーンポタージュ、梅こんぶおにぎり、ピリ辛高菜炒めのおにぎり。




特別な食材がなくても薬膳メニューになるコンビニ薬膳です。
コンビニはお店という意味だけでなく、英語の「convenience」の訳「手に入れやすい、近づきやすい、便利にできる」といった意味もあります。



■むくみといっても原因はいくつかある

むくみといっても原因は様々で、いくつかタイプがあります。
急性のむくみ(陽水)と慢性のむくみ(陰水)に大別され、その中でもさらに分かれます。急性の場合は腰より上に、慢性の場合は腰より下の水腫が多い。

急性のむくみでは、梅雨の時期や、冷たい物や水分を摂り過ぎる夏に多い水湿浸漬。
津液(体の中の水分)の代謝がおいつかない湿困脾胃により、全身のむくみ、倦怠、頭が重い、尿が少ないなどの症状があります。
ほかに、風邪やできもの(湿毒)、湿熱によるむくみなどがあります。

慢性的なむくみは、脾胃が弱く津液がさばけない脾陽虚衰と、腎の働きの低下による腎陽衰微があります。

今回は梅雨や夏に多いむくみ(水湿浸漬)の薬膳をご紹介しましたが、どのタイプのむくみでも利水することは大切なので参考にしてください。



■薬膳ってなに?

薬膳というと難しそう、専門的な材料がいるんでしょ?と思う方もいるかと思いますが、すべての食物に効能があり、身近な食材でもできます。

さらに、薬膳は特別な食材のことではなく、食材の選び方、食べ方のことです。バイオハックのひとつとも言えるのではないでしょうか。
体質や体調(内的要因)、あるいは季節や気候(外的要因)などによって適した食材を摂る食養生法です。

毎日の食の積み重ねが数日後、数年後のあなたの身体を作っていきます。

家で食事を毎日作っているという方はもちろん、料理を作らないという人でも、外食でレストランでのメニュー選びや、コンビニやお弁当屋さんで食事を選ぶ時など、日々の食事に薬膳の考えを取り入れてみてはいかがですか。


・食物
トウモロコシ[甘/平、大腸胃、健脾、補気、和胃、調中、利水、利胆]
トウモロコシのヒゲ[甘/平、肝腎膀胱、利水、消腫、利胆、通乳]
ハトムギ[甘淡/涼、脾肺腎、利水、滲湿、健脾、止瀉、清熱]
・中薬
玉米髭[甘/平、肝腎膀胱心小腸、利水消腫、退黄]
ヨクイニン[甘淡/微寒、脾胃肺、利水滲湿、健脾除痺、清熱排膿]
[性味、帰経、効能]
出典:『現代の食卓に生かす食物性味表』


(satomin@国際中医薬膳師)