放送ギリギリ?カズレーザーが詠んだ「アウトロー俳句」とは?

2018/4/20 11:00 はやしちひろ はやしちひろ





“少年のように 笑う好々爺 指がない”

アウトローな著者が心配するくらい、かなりエッジの効いた句を詠んだメイプル超合金カズレーザー。 4月19日、メイプル超合金ファン待望の読書企画「なんでこんな本出しちゃったんですか?」(日本テレビ系)が放送されました。

カズさんお気に入りの本を紹介するのではなく、個性あふれる3名の著者が個性あふれる本をプレゼンする番組でしたが、”意外と売れてる変な本”にカズさんも興味津々な様子でした。今回はこちらの番組をレポートしてみようと思います!


〇俳句

新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」 アウトロー俳句
「新宿歌舞伎町 俳句一家・屍派 アウトロー俳句」(北大路翼 著)

歌舞伎町を舞台に、屍派と呼ばれる元ホストやニート、女装家など、社会に馴染めないアウトローたちが日々の想いを俳句に詠み上げた句集。Amazonの句集ランキング1位を維持しているというすごい本です。

アウトローな句を作ってみようというコーナーで、カズさんは新宿で出会った人についてこう詠みます。
“少年のように 笑う好々爺 指がない”

サラリと静かに詠み終わるとスタジオが少しざわつき、「放送がOKならばいいのでは」と、アウトローな著者も心配する程の一句でした。さすがです。著者からの評価は「もう少しがんばりましょう」でしたが、「その人の歴史を感じさせるので性格も分かりますね」とも言われていました。カズさん歌舞伎町近くに住んでいることもあり、空気感が分かるのかもしれない…。


〇痕跡本

痕跡本のすすめ
「痕跡本のすすめ」(古沢和宏 著)


サインの練習や、将来の野望、お祝いメッセージなど、前の持ち主の”痕跡”が残る古本を集め、それを読んだ著者の妄想も綴られている一冊。1万部弱ほどの販売数を誇る本です。

あるダイエット本には、ダイエットメニューのメモ書きが挟まれており、それが娘の小テストの裏紙ということを発見します。本文には「本の持ち主は”熱しやすく冷めやすいお母さん”なのかもしれない」と著者の妄想が書かれているのですが、それを見たカズさんは、「小テスト全然解けてねぇじゃねぇかよ!」と、テストの内容の方が気になっていました。 こちらは、紙の本だからこその楽しみ方ですね。

ところで、ネット書店においては書き込んでしまった本は価値が下がってしまうことから、痕跡本は絶滅の危機にある、という懸念があるようです。しかし、これを聞いて思い出したのは、キングコング西野亮廣さん発信でリリースされた”しるし書店”。

“しるし書店”とは、たとえばSoftbankの孫さんが付箋を貼ったり、線を引いたりした本は、むしろ定価より高い値段でも手に入れたい人がいるのではないか?という発想から生まれたネットサービス。”誰でも古本屋を出店できる”というコンセプトで、今では一般人でもその人の視点や価値観を直接本に書き込み、1万円、3万円で売れる本もあるようです。

1つ例を挙げると、普通の参考書と東大生が書き込みした参考書だったらどちらが欲しいか。東大生ってどんなメモするんだろ?ポイントが書いてあるなら見てみたいな、と思ったら書き込みがある方が価値が高まります。

「誰に見せるでもなく、好きなようにメモをする」のと、「売るためにメモをする」のとで、メモをする際のモチベーションや内容が異なる気はしますが、「書き込みのある本に価値がある」という認識は今後広がってもおかしくないのかもしれません。


既に露になっていた!?カズレーザーの俳句の才能

カズさんの言葉を借りると、「本も面白いけど、変わった本書くだけあって人間の個性が面白かった」番組でした。

ちなみに、俳句と言えば、カズさんが「プレバト!」(TBSテレビ系)に出演した際、その発想を大絶賛されていました。茶畑と新幹線の写真を見て詠んだ一句。

”窓外を 300km/h(キロ)で 青葉行く”

俳人 夏井いつき氏に「この発想ができるのはただ者じゃない!」と言わしめ、見事第1位に輝きました。
放送されたのが2016年5月で、世間的にまだカズさんが「頭がいい」「発想が面白い」という才能が浸透していなかったというのもあり、MCのダウンタウン浜田さんや他共演者から「1位は無理でしょ」という評価を受けていた当時。これより後に、クイズ番組等でカズさんを知った人は、当時のカズさんに対する周りの評価に驚くかもしれません。

また、年間150~200冊の本を読むカズさん。「勉強」ではなく「読書」をする時は、メモはせずに一気に頭にインプットしてそう、と勝手に思っているのですが、カズさんの絶賛するグレッグ・イーガンのSF小説を読む時は、数式がたくさん出て来るのでノートにたくさんメモをしているらしいです。同小説、非常に難しいので、「カズさんの頭の中って本当にどうなっているんだろう?」と感じるには持って来いの本だと思います。

「アメトーーク!」(テレビ朝日系)の「本屋で読書芸人」のような、カズさんお気に入りの本を紹介する番組も恋しくなってきたので、そろそろ放送されることを願うばかり!