【絶景&夜景】台湾の六甲山!?日本人にはマイナーな台北の「猫空」が楽しい

2018/3/31 23:30 スージー小江戸 スージー小江戸



日本人に大人気の海外旅行先、台湾。しかし日本人はあまり行かず観光ガイドでも扱いが小さい、けれど実は手軽に行ける絶景スポットが台北市内にあるというではないですか。その名も

猫空(マオコン)



こちらは台北北部・淡水という街のニャンコですが、「猫空」というからにはたくさんの猫さんが喉をゴロゴロいわせて出迎えてくれるんでしょうか。

聞けば「猫空」はロープウェイで簡単に上がれる低山地帯。上には茶畑が広がり茶芸館やお茶カフェが建ち並ぶ有名な茶処だとか。アクセス至便・絶景・夜景・グルメの4拍子が揃う…何たる弾丸ツアーへのやさしさよ。気づけば筆者は猫空めざして飛行機に乗っていたのでした。

■右折するロープウェイ!? 30分超のロング空中散歩

まずは台北の電車(MRT)の文湖線(通称・ブラウンライン)で終点まで、台北市南東部に位置する動物園駅へ。台北駅からは25分くらいで片道35元(2018年3月末のレートで約126円)。



MRTは驚きの乗りやすさ!主な5路線は色別で、行先表示は大きく見やすく、通路は広々、改札内が飲食禁止(罰金が高額)なこともあり駅全体がとてもキレイ。電車も5~6分間隔でどんどん来ます。

ちなみにプラットフォームでうっかりペットボトルの水を飲もうとしたら、警備員のお母さんがそろ~っと後ろから近づいてきて静かに両腕でバツ印出されました。。。旅行者と思ってかそれ以上のお咎めと罰金はナシ。



駅の2番出口を出て、左手へ向かうとロープウェイの猫覧動物園駅が。



逆方向には広大な「台北市立動物園」があってパンダの親子が人気。そのせいか猫じゃなくて周辺はやたらとパンダ推し。でも中国語でパンダは大熊猫(台湾では大猫熊)だから、軽く猫つながりではあるよね。



1階入口でチケットを買うか、台湾版PASMOみたいな悠遊(ユウユウ)カード(別名EASY CARD)という交通ICカードを持っていれば乗車直前の改札にかざすだけなので便利。

あと、台北ってどこにでもLEDの文字看板が付いてるのね。歴史ある寺院とか近所の児童公園とかでもお構いなしに付けてあるのがスゴイ。



右下が悠遊カード。最初に100元の手数料が必要だけどMRT運賃が常に2割引き! 移動がMRTメインの人は買って損なし、ただ猫空のロープウェイは平日のみ割引なのが残念。

ロープウェイの駅に置いてある日本語のリーフレットは散策に便利なのでぜひもらっていきましょう。



土日は混雑ぎみだけど、エスカレーターで乗り場までどんどん上っていきます。



ゆるキャラ流行りの台湾、ゴンドラもカワイイ仕様で来た~!定員は8名。地元の家族連れ、カップルと計7人の乗り合いで空中散歩スタート。



毎秒3~5mという思ったより速いスピードでスイスイ上昇。あっという間に駅があんなに小さく…。

かわりに山の向こうに見えてきたのが



台北101。地上101階建て、高さ508mの超高層ビルは、2007年にドバイのブルジュ・ハリファに抜かれるまでは世界一高かった、というアレです。近くで見ると…



圧巻の高さと存在感!「竹」モチーフの建築デザインから漂うのは、濃厚なアジア感とおめでたい感。

さて、ロープウェイはどんどん進みつつ、これから行く先を見てビックリ!



見えますか?行く手のゴンドラが左から右へ水平に進路を取り、山の向こうへ消えていくのを…

な、長い!!

そうなんです、猫空ロープウェイは2つの山を越え、約4kmを30分以上かけて移動し



途中に乗降できる動物園南駅指南宮駅があって、その2駅間で

ほぼ直角、80度の方向転換をするという

なかなか日本ではお目にかからないコース取り!



なので方向転換専用の駅も存在。

右折した後は、街を一望する絶景がパノラミックに広がります。



コレ、ずっと眺めてられるやつ~!低山であることを忘れそうなスケール感です。



運賃は120元(432円くらい)。ちょうど同じくらいの時間と距離を乗る「箱根ロープウェイ」全区間1370円の3分の1以下とはコスパ良すぎ



山を越えたときは斜面に沿って下るので、けっこうスリリング。



何でしょう?もはやスリルしかないようなゴンドラとすれ違う…



「維修車」と書いてあったのでメンテナンス用みたい。当然、一般客は乗れません。

でも、一般客用ゴンドラの中には床が強化ガラス張りでスッケスケの「クリスタルゴンドラ」があって、2~4分に1台やってくるようなので勇者は専用列に並んでぜひ!



絶景の空中散歩を堪能して、終点・猫空駅(標高299m)に到着~!


■天空の癒やしの茶処で、果たして猫さんに会えるか?

いざ、お茶の里の散策へ。もらってきたリーフレットのマップを見てみましょう。
左上から紫色の直線のロープウェイ に乗って一番下の「猫空駅」にちょうど着いたところです。



どうやら左右の緑・赤2つのコースを、20人乗りくらいの猫空遊園バスが15分おきくらいで走っていて、悠遊カードでロープウェイに乗った人は当日に限り無料で乗れるもよう。

緑色の線で書かれているのが 猫空遊園バス<右ライン> で、行く手はこんな感じ。



一方、赤い線で書かれているのが 猫空遊園バス<左ライン>

街から自転車で来たっぽい人とか、カップル、家族連れ、友人グループなんかでごった返してます。原宿か!



バスを待つのも面倒なので、とりあえず原宿方面へ歩いて行ってみることに。



人の群れは食べ物の屋台の行列だっただけで、抜けるとすぐ空いちゃいました。

それにしてもロードバイク多いな~。台北市民は原付バイクを1人1台持ちと聞いたけど、最近は自転車も流行ってるっぽいです。



たまに道標があり、1本道なので迷う心配ナシ。ふと道端を見ると…猫!?



かと思いきや、どこからどう見ても犬でした。台湾は野良犬が多いらしい。

猫空駅から徒歩10分ほどでお茶カフェ&レストランが建ち並ぶエリアに到着です。



山の斜面や畑の中にも絶景なお茶カフェがわんさか。





さすがお茶処。実は猫空には、台湾式作法で台湾茶が飲める有名な「邀月茶坊」などの茶芸館も20軒近く点在しているらしく、いまトピのsatominさんのような「お茶好きガチ勢」の間では有名な場所だそう。

ガチ勢の旅は狙った茶芸館へダイレクトに下からバスやタクシーで上がって来るらしいんだけど、筆者は絶景優先。しかも噂の夜景を見ながらお茶が飲みたいので時間潰しも兼ねてもう少し先へ進むことに。



お!道路に寝そべる黒く小さな生き物発見。今度こそ猫さんでは…?



と思ったらワンコ。屍なみに不動&完全に気配を消してるのは何の修行ですかね?



道端に茶畑が現われはじめ、いよいよ“天空の茶処”っぽい風景に。

遠くの山腹に見えるエキゾチックな建築物は、ロープウェイの3つ目の駅で降りてすぐの指南宮。約120年前にひらかれた台湾道教の総本山にしてパワースポットで、仏教と儒教も受け入れて祀り、三つの廟がある何とも寛容な場所なのだとか。



それにしても、猫空遊園バス<左ライン>コースを20分くらい歩いたのに、終点の指南宮があれほど遠いとは…。

道端にカフェもなくなってきたので台北市鉄観音包種茶研究開発推進センターで引き返すことに。



ここは茶葉の製造過程や飲み方などを紹介する資料館だそうで、「蛇口をひねると鉄観音」という愛媛のポンジュース並みのコーナーがあって無料で試飲可能!らしいのですが…この日は完全にクローズしてました。

さて戻ろうとすると、何やら散策コースへと誘う看板が。



目の前の「健康歩道」を下りて他の歩道に入って進んでいくと壺穴という不思議な地形に出られるとあります。



でも、どれくらい時間がかかるのか全く書いていない!
さらに、夕焼けは迫るは、息が上がりまくった観光客グループが上がってくるはのトリプルパンチで、今回は見送ることに。

しかし、「壺穴」こそが実は「猫空」の地名の由来という説が。



川底の凹みにハマった小石が水流で回転してドリルのように川底を削り、無数の穴があいた「壺穴」地形。これは地質用語で甌穴(ポットホール)と呼ばれる現象で、日本でも四万や屋久島など有名な甌穴はあちこちにあり、筆者は埼玉県・長瀞のを高校時代に見に行きました。

で、猫空の由来には主に3つあるようで…

由来①
壺穴が、猫が引っ掻いてできた穴(=空)に似ている

由来②
壺穴の、平滑ではない地形を表す台湾語「ナーオ カン」の発音に近い当て字で「マオ コン」と書いたから(猫は一切関係ない)

由来③
昔、ある人がここに茶屋を開いたが客が来ず、飼い猫さえ愛想をつかして逃げてしまい「猫がいない(=空)」状態になったから

「壺穴」由来の説は①と②だけど、こんな狭い範囲に小型の甌穴がポコポコあいてるのは「猫さんのしわざ」と思いたいので、個人的には①に1票!です


さて、そろそろいい感じに夕日が傾いてきたので



お茶カフェ街で最初に見えた「紅木屋」さんへ行くことに。



凍頂烏龍、鉄観音などが並ぶなか、あまり聞いたことのない包種茶(パオチョンチャー)にトライ。



すっきり&さっぱり味!緑茶に近いけどもっと爽やかな風味です。かすかにジャスミンティーのような芳香があってスッと鼻に抜けていく感じ。



お湯のお代わり自由なので3杯も飲んでしまい…



絶景が夜景に変わっていくのを、ただボーッと眺めてました。あぁ幸せ。



猫空には 24時間営業のお茶カフェやお茶レストランもあって、特に暑い夏には夜から上がってきて涼むのも人気だそう。ロープウェイも金・土・祝日と祝前日は22:00まで営業してるし。

ということで、この日の帰りのロープウェイから見えた1000万元(!?)の美しい夜景を動画でどうぞ。


時折、画面を横切る黒い物体はこれから登っていくゴンドラや支柱の影。風の音がすごいのはゴンドラ上部ある小窓が開きっぱなしだからと思われます。実はゴンドラ内には空調がなく、真夏はうだるほど暑いので扇子や虫よけスプレーが便利とのこと。春先に行って正解だった。。。


そうそう、猫空の地名の由来を知ってしまってから「あぁ、猫空に猫さんはいないんですね」とすっかり猫のことを忘れていた頃に…



奇跡的に、紅木屋の窓辺の屋根に猫さん登場!レアキャラだけど、いるみたい。

それとロープウェイ駅の売店にも



大量のニャンコが。



「マウーコン」て!筆者のように猫のイメージが頭から離れない日本人へのサービスでしょうか。


猫空でブラブラ&まったりと癒やしの時間を過ごしたけれど…予想以上に広い!どうりでバスが走っている理由が分かりました。自然散策路もふんだんにあって、満喫し尽くすには丸1日でも足りないくらいかも。

都心からすぐ行けて自然が豊か、広いエリアにはロープウェイあり、グルメあり、絶景&夜景にハイキングと盛りだくさん…まるで六甲山のよう。地元のみんなからも愛されている「猫空」を、今度の台湾旅行ではプランに加えてみてはいかがですか。




■旅々台北.com - 猫空ロープウェイのページ
http://www.tabitabi-taipei.com/html/data/10500.html

■猫空覧車 公式サイト(台湾語・英語)
https://www.gondola.taipei/


(スージー小江戸)