小学生ラグビーが今こんなにもアツいって知ってた?
日本中を熱狂の渦に巻き込んだ「ラグビーワールドカップ2015」。
あの南アフリカ戦の奇跡から約2年半が経ち、初のアジア開催となる日本大会が来秋に迫ってきました。南ア戦の感動もまだ記憶に新しいのに、早くも次の大会が。
4年間ってあっという間ですね。
ジェイミー・ジャパン(日本代表)やサンウルブズ(スーパーラグビー参加の日本チーム)が日本のラグビーをリードする一方、すそ野のほうも着実に広がっています。
今回はトップリーグチームのNTTコミュニケーションズ シャイニングアークスが開催した小学生ラグビー大会「シャイニングアークスカップ」を取材。
次世代のラグビー熱をしっかりと感じてきました!
シャイニングアークスカップは、主に関東近郊のラグビースクールが参加費を支払って出場する大会で(今回は震災被災地の岩手、熊本からの招待チームや長野のチームも参加)、小学生ラグビー全国大会の「ヒーローズカップ」などと比べれば、規模はそこまで大きくありません。
しかし、なにせ開催時期が3月。ほとんどの選手にとって「このメンバーで戦える最後の大会」だったり、小学6年生にとっては「小学生時代最後の公式戦」だったりするので、選手の闘志はいやがおうにも燃え上がります。
いわゆるミニ・ラグビー(9人制)で、スクラムが簡略化されていたり、試合時間が短かったり、グラウンドが小さかったり、大人の15人制ラグビーとはルールが異なる点もありますが、「小学生のラグビーって、こんなにもちゃんとラグビーなの!?」と目をみはるような充実の大会内容でした。
この大会で活躍した選手の中から、将来、日本代表の桜ジャージを着る選手が出てくるのかもしれません。
試合では、グラウンドの横幅をいっぱいに使ったアタックや、前に出るディフェンスなど、各チームがみんなで戦略をまっとうしている姿に、ぐっと心をつかまれます。
個人技も見ごたえ十分。右に左に秀逸なコース取りで走り抜けるトライゲッターがいたり、速くて的確なパスでハイテンポなアタックを組み立てる司令塔がいたり。
この日までの努力がひしひしと感じられる好プレーが数多く飛び出しました。
一方、試合中、劣勢に立たされたチームの奮闘ぶりも、この大会では見どころに。
「ドンマイ、次!」「声ないよ!」「笑顔、忘れんな!」
「ライン整えるよ!」「元気出して!」
選手自ら大きな声で仲間と励まし合って次のプレーに全力で向かう姿は、どんな好プレーよりも輝いて見えました。
試合後に両チームで試合を振り返るアフターマッチファンクションも胸アツ。
両チーム整然と並んで、両キャプテンとレフリーのコメントがあって、マン・オブ・ザ・マッチ(その試合のMVP)が選ばれ称えられて、全員で握手を交わして――、そこまできちんと終えた直後でした。
接戦で敗れたチームの選手たちの目から、ふいに涙があふれ出しました。
ちなみに、その試合は予選のグループ戦。そのチームにとって大会最初の試合です。相手は優勝候補(のちに見事、圧倒的な戦績で優勝しました)。
決勝でもなければ最後の試合でもなく、ライバルとの一戦というわけでもない。
ただ頑張ったからこみ上げた涙だったと思います。
相手チームとのセレモニーをやり遂げるまではこらえた小学生なりの矜持と合わせて、感動的なシーンでした。
激戦の後に行われた閉会式では、表彰された選手の一人が言いました。
「中学では全国大会を制したいです。僕らのラグビースクールは中等部もありますので、選手の皆さん、よろしくお願いします!」
子どもたちや父兄から、笑いと拍手が沸き起こりました。
ラグビーを続けていれば、各世代・地域の代表チームに選ばれたり強豪校にスカウトされたりしてチームメイトになる可能性もあるし、対戦相手として再会する機会もある。だから、同世代の競技者はみんな仲間。
そんな感覚をみんなが当たり前に持っているのが、ラグビーの世界です。
もっと競技人口が増えると、また違った感覚になっていくのかもしれません。
そんなふうに大きく発展したラグビー界の姿もぜひ見てみたいものですが、今のラグビーの世界にも、特有の温かさやフレンドシップというかけがえのない魅力があるものだとあらためて感じました。
ラグビーって、本当にいいものですよ!