【西園寺C子の日々】店長にいきなりキスされ...恐怖のバイト体験

2018/3/1 23:33 西園寺C子 西園寺C子





西園寺C子。(さいおんじしいこ)
30歳。女。独身。
なぜか"変わった人や事件"に遭遇する事が多い人生を歩んでいます。

本連載では、私を取り巻く珍事や性癖などについて書いてみることになりました。
どうぞよろしくお願いします。







前回のコラムで、ボーカルインストラクターのアルバイトについて書いたが、今回は人生で1番最初のバイト経験について書いてみようと思う。

わたしが初めてバイトをしたのは高校生の頃。
ジンギスカン店でのバイトだった。




バイト情報誌でバイトを探していたわたしは、家から割と近いという事と、「オープニングスタッフ」という点に惹かれて、あるジンギスカン店の求人に応募した。




今でこそ少しマシになったが、人見知り度合いが尋常ではなかった当時のわたしにとって、バイトの面接がまず最初の関門だった。








面接でわたしはとにかく緊張していて、何を話したのか全く覚えていないほどだった。

唯一覚えていたのは、店長が年齢30代後半くらいのトヨエツ(豊川悦司 )似で、影がある感じだったということぐらい。

トヨエツ似といっても、お洒落な雰囲気は全くなかったし、表情豊かなタイプでもなかった。

少なくとも、一念発起してお店を切り盛りするんだ!というような気概は全く感じられなかったし、一言で言えば覇気がない感じの人。




そんな状態だったので、会話も一切盛り上がらず(わたしのスキルのせいでもあるが)

「これは落ちたな…」と諦め掛けていたが、面接からほどなくして、なんと採用の連絡があった。




奇跡的に面接に受かったことで、わたしは大喜びしていた。

しかし、これが後に起こる「恐怖」の始まりであることは知る由もなかった。




オープニングスタッフ同士で和気あいあいと働く様子をイメージし、わくわくしながら初出勤の日をむかえた。

お店がオープンするのは少し先だったので、それに向けて店長から業務の説明を受け、制服をもらった。

どんなアルバイトも初日はこのような業務連絡がほとんどだと思う。

その点においては特におかしな部分はなかったのだが、ひとつだけ不思議に思うことがあった。

「オープニングスタッフ募集」で雇われたはずなのに肝心の他のスタッフがいない。

なぜか店長とわたしの二人きりなのだ。

「遅れてくるのかな?」などと思いながら他のスタッフの到着を期待していたが、結局その日は他のスタッフに会うことなく「店長と二人きり」で1日目が終わってしまった。




その後も、週に数日は出勤していたにもかかわらず なぜか他のスタッフに会うことは一度もなかった。

毎回、毎回「店長と二人きり」なのだ。




たまに、ビラ配りやポスティングに行ってきて、と店長に言われ、薄暗い商店街でビラ配りをしたり、近隣のマンションやアパートにチラシを入れに行った。

特にポスティングは悪いことをしているようで、1番嫌な仕事であった。

思っていたのとなんか違うな...と思いながらやっていた。

普通のバイトは、どこもこんな感じなんだろうか...?

不安に思っても、聞ける他のスタッフがいないのでどうすることもできなかった。




ある日、ビラ配りをしていたら、同じ制服を着た人が2人近くでビラを配っていた。

驚いたが、話しかける勇気はなく、店に戻った時に軽く挨拶をした。

他のスタッフを見かけたのはこの時が初めてだった。

そもそもわたしはこのバイトで、シフト表をもらった記憶がない。

常に店長から、「いついつ入って」というメールをもらっていただけだったし、この人たちが同じビラを持っていても、同じ時間帯でシフトに入っているかさえもわからなかった。




他のスタッフがいることはわかったが、働き出して一ヶ月経っても、シフトは依然として「店長と2人きり」だった。

店長との会話は相変わらず弾まなかった。
笑うときもニヤッと微笑むだけ、という感じの静かな人だったので正直気まずく、接し方も分からなかった。

でも、最初の頃よりも店長がニヤニヤ笑う数は増えていたのを覚えている。




仕事には多少慣れつつあったが、当初わたしが思い描いていた「オープニングスタッフで和気あいあいと働く」というイメージからはかけ離れた、寝てもさめても「店長と二人きり」という謎のバイトライフを送っていた。




そんな中、事件は起こった。




その日は店長が「歓迎会をしよう」と言ってくれたので スタッフ同士の親睦会もかねた歓迎会だと思い、わたしは期待しながら店に向かった。

が、やはり他のスタッフはいない。

「別の店で歓迎会をする」との事だったので、そこで集合なのかな?と思いながら、店長と一緒にそのお店に向かった。


着いた場所はなんと「ホテル」だった。※ラブホテルじゃなく普通のホテル




結局、店長と2人きりでランチをすることに…。

頭の中に「?」がいっぱいだった。

ビラを配っていたあの人たちは一体どこに?

この人はわたしと2人だけで店を頑張るつもりなのか?

それにしてはシフトの回数が少ないけど...。




ここでようやく本気で「いつも店長と2人きり」という状況に疑問を持った。




なんの話をすればいいかも分からず、店長の話に乗っかる感じで会話していたと思うが、「メニューを一緒に考えよう」とか、「どこどこのお店が美味しいからまた行こう」とか言われたと思う。

ついでに、なぜか顔を褒められた。




そのまま夜はバイトだったので、モヤモヤした気持ちを抱えたまま、わたしは店長と店に戻った。




店の奥で着替えようとしていると、突然店長が入ってきた。



そして、いきなりわたしに抱きついてきたのだ。

は?!!!!!

わけがわからない展開。




抱きつく時に何か言っていたようだったが出来事があまりに唐突で衝撃的すぎて全く耳に入らなかった。




そしてさらに、そのままキス………。







ファーストキスではなかったけど、好きでもない人とキスするのは初めてだったので、そういう意味ではファーストキスかもしれない。




あまりの出来事にショックを受け、抵抗する暇もなかった。

その後どうやって切り抜けたのか、今となっては全然思い出せない。




当然だと思うが、店長の事が怖くなり、「今日は帰ります」と言って帰り、結局そのままわたしはバイトをやめた。




後日談。

バイトをやめて数ヶ月経った頃、電車内で店長を見かけた。

完全に目があったので、怖くなったわたしは、車両を変えようと歩き出した。

その間ずっと、店長はニヤついた顔で微笑みながらわたしを見ていた。





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今回のコラムはちょっとホラー寄りでしたね。

バイト先で店長にしか会ったことない...!という方は、お気をつけて。

西園寺でした。



西園寺C子



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