お宝中のお宝が惜しげもなく…この春大阪に開館する「中之島香雪美術館」のココがすごい!
2018年春、大阪に新しい美術館が誕生。場所は、大阪市北区中之島に建つ超高層複合ビル「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」。
高級ホテルやオフィスが入居するこのビルの4階に「中之島香雪美術館」が2018年3月21日(水・祝)にオープンします。
美術に詳しい方なら、神戸市にある香雪美術館をご存じでしょう。朝日新聞社の創業者、村山龍平(1850~1933)が蒐集した作品を収蔵・公開しています。
大和文華館や松柏美術館に次ぐ第3目の美術館として大阪天王寺の高層ビルに開館したあべのハルカス美術館と同じような展開かと思いきや、中之島香雪美術館はあくまでも香雪美術館の分館としての位置づけとなるようです。
香雪美術館(神戸)
村山龍平
大阪市内のビル内にあった美術館といえば2006年に閉館した萬野美術館が真っ先に頭に浮かんできます。国宝・重文を含む貴重なコレクションは承天閣美術館(京都)へ寄贈されました。
あれから10年以上の月日が流れ、大阪市内に再び日本美術の優品を鑑賞できる美術館が開館するのです。
中之島香雪美術館展示室
近年新たに開館した美術館同様、展示環境には可能な限りの技術が盛り込まれています。展示ケース、照明、可動壁、空調設備、防災対策等々。
美術館の建物や内装自体は既に完成していますが、すぐに作品を展示出来るわけではありません。「からし」といってコンクリート躯体や内装材から発生するアルカリ性物質および酸性物質などを下げるための期間を要します。
「美術館における空気中のアンモニア濃度の管理値は,30ppb以下が望ましい. 基準として文化庁より示されている」これを怠ると、絵画や美術工芸品などの文化財に変質・劣化を起こすことが懸念されるため美術館・博物館は完成後すぐには展示ができないのです。
3月21日の開館から5回に分けて、中之島香雪美術館 開館記念展「 珠玉の村山コレクション ~愛し、守り、伝えた~ 」が開催されます。
第1期「美術を愛して」から第5期「物語とうたにあそぶ」まで、香雪美術館のお宝中のお宝が惜しげもなく揃います。
美濃「志野茶碗 銘 朝日影」(桃山時代、16~17世紀)
重要文化財「太刀 銘 吉家作」(鎌倉時代、13世紀)
重要美術品 長谷川等伯筆「柳橋水車図屏風」(江戸時代、16~17世紀)
岩佐又兵衛「堀江物語絵巻」(江戸時代、17世紀)
また中之島香雪美術館の見どころに常設展示の茶室「中之島玄庵」があります。これは重要文化財指定を受けている「旧村山家住宅」に建つ茶室「玄庵」を原寸大で美術館の中に再現したものです。
茶室だけを再現した展示は三井記念美術館などにも見られますが、茶室だけでなく「露地」空間全体を再現し展示するのは中之島香雪美術館が初めてです。
元禄元年創業の安井杢工務店による伝統工法で仕上げた茶室「中之島玄庵」拝見するのが今から楽しみですね。
まだまだここで紹介した以外にも中之島香雪美術館ならではの魅力は沢山あります。開館が待ち遠しい大阪市内の新たな文化施設です。
中之島香雪美術館 開館記念展
「 珠玉の村山コレクション ~愛し、守り、伝えた~ 」
I 美術を愛して 2018年3月21日(水・祝) ~ 2018年4月22日(日)
Ⅱ 美しき金に心をよせて 2018年4月28日(土) ~ 6月24日(日)
Ⅲ 茶の道にみちびかれ 2018年7月7日(土) ~ 9月2日(日)
Ⅳ ほとけの世界にたゆたう 2018年10月6日(土) ~ 12月2日(日)
Ⅴ 物語とうたにあそぶ 2018年12月15日(土) ~ 2019年2月11日(月・祝)