日本一理想的な展示空間を備えた上原美術館へ行ってみよう!

2017/12/5 12:00 Tak(タケ) Tak(タケ)

上原美術館をご存じでしょうか。 静岡県下田市の山間にある、こぢんまりとした美術館ですが、仏教美術と近代絵画の優品を多く抱える知る人ぞ知る通好みの美術館です。



歴史もそれほど深いわけではありません。「上原仏教美術館」として開館したのが今から30数年前の1983年のことです。人間に喩えるなら仕事も覚えまさに働き盛り真っ最中といった頃合いでしょうか。

「ファイト一発」のCMでお馴染みのリポビタンDなどを扱う大正製薬株式会社の名誉会長を務めた上原正吉・小枝夫妻の寄付により下田の地に開館しました。因みに、下田は奥さまの生まれ故郷だそうです。



平安・鎌倉期の貴重な仏像や、奈良時代の写経など仏教美術が上原美術館のひとつの大きなコレクションの柱となっています。

また、もうひとつ、モネやピカソ、黒田清輝、小林古径といった西洋絵画と日本の近代絵画のコレクションも充実しています。粒ぞろいの作品が多く個人コレクションの良さが出ています。



1983年当初は「上原仏教美術館」だけでしたが、2000年に「上原近代美術館」が開館。ふたつの美術館から成っていたものを、今回(2017年)のリニューアルオープンより一つに統合し「上原美術館」として新たな一歩を踏み出しました。

建築当初から30年が経過したことや、所蔵品も増え新たな展示スペースの確保が必要になったこと。そして何よりも文化財を展示するのに相応しい充実した展示収蔵施設となるべく、2015年から改修工事に入ったそうです。



2017年11月3日文化の日がリニューアルオープンの日ということで、善は急げとオープン初日に上原美術館まで行ってきました。すぐにでも観に行きたかったのには理由があります。

美術館・博物館の空間設計を数多く手掛けてきた尾崎文雄氏に加え、美術業界でその名を知らない人はいない照明のプロ藤原工氏、そして世界一の展示ケースを作り上げる山内佳弘氏が、上原美術館リニューアルオープンに際し関わっているとなれば観に行かずにはいられません。

美術館・博物館関係者の皆さま。上原美術館へどうぞ視察へ行かれてみて下さい。最新技術を駆使しながらも美術品に対する人の想いあたたかさが感じられる理想的な展示空間となっています。



美術館はただ作品を展示するだけだった段階から、いかに美しくストレスなく見せる(魅せる)かといった次のフェーズに数年前から以降しています。上原美術館の仏教美術を展示する空間は現時点で考え得る最良最高の展示室となっています。

伊豆急下田駅からバスで20分の山間にある小さな美術館が、日本で今最も優れた展示環境を有しているなんてにわかに信じられないかもしれません。しかしあるところにはあるものなのです。ギメ美術館のスタッフにも是非見てもらいたいものです。


「華厳経」紫紙金字 奈良時代(8世紀)

現在、リニューアルを記念した名品展を開催しています。ちょっとびっくりしちゃうような優品が公開されています。


オーギュスト・ルノワール「アルジャントゥイユの橋」1873年 油彩、カンヴァス

また、鷲(ワシ)を描いた作品が何点かあるのは推して知るべし。個人コレクターのお宅に招かれたような気分を味わえる上原美術館へ是非足を運んでみて下さい。

そうそう、伊豆急下田駅周辺には近海の新鮮な魚をお手頃価格で提供してくれるお店もあります。金目鯛の煮つけ美味しかったな~




リニューアル記念
「上原コレクション名品選
―印象派の絵画から平安の仏像、写経まで―」


会期:2017年11月3日~2018年4月8日
会期中無休
開館時間:午前9時~午後5時(入館は4時30分まで)

上原美術館
公益財団法人上原美術館
〒413-0715 静岡県下田市宇土金341
Tel. 0558-28-1228 / Fax. 0558-28-1227


上原美術館一部写真撮影可能エリアもあります。


またこんな素敵な無料休憩スペースも用意されており、至れり尽くせりです。




学芸員のための展示照明ハンドブック
藤原工(著)