一流作家陣が手がけた「ドラえもん」がすごすぎる…「THE ドラえもん展」に行ってきた

2017/11/7 14:55 Tak(タケ) Tak(タケ)

森アーツセンターギャラリーで開催中(他日本各地を巡回)の「THE ドラえもん展」が話題となっています。



子どもから大人まで幅広い年齢層に圧倒的な人気を誇る、日本が生んだ不動の人気キャラクター「ドラえもん」の待ちに待った展覧会です。 でも、ドラえもんの原画の展示や藤子・F・不二雄先生のアトリエ再現を期待して行かれると肩透かしを食らいます。

「THE ドラえもん展」は、日本を代表するアーティスト28組が、「ドラえもん」をテーマに、様々な発想や奇抜ともいえるアイディアで新たに生み出した現代アート作品の展覧会なのです。

「あなたのドラえもんをつくってください」

展覧会の監修者である山下裕二先生(美術史家・明治学院大学教授)の依頼に見事応えた28組のアーティストの作品は、いずれも超個性的でありながら、ドラえもん愛がたっぷりと込められた秀作ばかりです。


村上隆「あんなこといいな 出来たらいいな」2017年

現代アートの展覧会と聞いただけで拒絶反応示す方いるようですが、安心して下さい。「THE ドラえもん展」に出展しているアーティストたちは、皆さんドラえもんの大ファンです。

おかしな、わけのわからない作品を作るはずがありません。ドラえもんは作家たちにとってリスペクトの対象であり、憧れでもあるのです。

今や世界的なアーティストとなった村上隆の新作はずばり直球で攻めてきています。海外のオークションで何十億という高値で飛ぶように落札される村上の作品。ゲスな話ですが、この作品いったい幾らになることやら…いけないいけないそんな夢のないこと、ドラえもん展では御法度ですよね。


町田久美「星霜」2017年

高知和紙に岩絵具という日本画の技法で描かれた町田久美のドラえもん。よく見ると線は細かな細かな点の集積で描かれているのが近くで見ると分かります。

日本画の魅力は現物を生で(できればガラスケース無しで)観ることにあります。その夢がこの展覧会では叶います。ぐっと近寄って町田のドラえもんに目を凝らしてみましょう。

目や髭も単純な線ではありません。そしてなんといってもトレードマークでもある赤い鼻がまるで惑星のように微妙なグラデーションをつけて表現されています。

一見、シンプルなように見えて、微妙なバランスの上に成り立っている作品です。大方描けていたそうですが、自分で納得がいかず、開幕の前日美術館に泊まりこみ、最後の最後に線を加え完成させたそうです。


会田誠「キセイノセイキ~空気~」2017年

ドラえもんに登場するヒロイン「しずかちゃん」といえば入浴シーン!第何話のどこで入浴シーンがあるかといった調査本が存在するともいわれるほど。

お父さんは『水戸黄門』のお銀(特に由美かおる)、息子はしずかちゃんの入浴シーンに当時どれだけ胸を激しく鼓動させたことでしょう。

会田誠もその一人。そして大人になった会田が描いた作品がこちら。若手作家も多い中、これは会田でないと描けない作品です。ふざけているようですが、実物を観ると興奮しますよ。


坂本友由「僕らはいつごろ大人になるのだろう」2017年

1985年公開の劇場映画「のび太の宇宙小戦争」に登場するひとコマを坂本流に描いたかなり大きな作品です。見上げるように大人びたしずかちゃんの前に立つと、会田作品とは別の興奮に駆られます。

小学生の時にこのしずかちゃんを目にしていたら人生変わったかもしれません(笑)。それだけ「ドラえもん」ファンにとってはインパクトのある一枚です。着ている服は原作に基づいて描かれています。

そして、しずかちゃんに興味関心を寄せたのは男の子だけではありません。鴻池朋子もしずかちゃんをテーマに新しい作品を造りました。


鴻池朋子「しずかちゃんの洞窟(へや)」2017年

ラスコー洞窟、アルタミラ洞窟を想起させるインスタレーション作品。牛皮や毛皮に水性クレヨンで描かれたしずかちゃん。

画面左双頭のオオカミ?に連れ去られるしずかちゃんを助けるのは果たして誰なのでしょう?他の登場人物たちはまだこの異変に気付いていないようです。

そうそう、この展示室に入る仕切りに取り付けられた鈴にも注目してくださいね。


西尾康之「OPTICAL APPARITION」2017年

「あなたのドラえもんをつくってください」この一言から生まれた展覧会ですが、いかがでしょうか?ここまでご覧になられてきて。

自分は一周目こそ楽しく、展示されている作品に心奪われつつ素直に観ていけたのですが、二周目からは大きな疑問が頭にこびりついて離れませんでした。

それは「一体この展覧会、幾らかかっているのか?」という点です。一つの作品が何百、何千、下手すれば何億とするような作家に、新作をそれぞれ制作してもらったわけです。こんな元手の取れない展覧会も他にはないのではないでしょうか。

そこは、現実(経費)は置いておき、子どもから大人までに夢を見せるためだ。とはこのご時世中々難しいことではないでしょうか。


増田セバスチャン「さいごのウエポン」2017年

鑑賞者としてはこれほど喜ばしい展覧会も他にはありません。「ドラえもん」をゆりかごとして育った28組のアーティストが、真剣に作り上げた作品群はまさに圧巻です。

そして、何よりも会場全体が楽しさであふれているのです。

気持ちが沈んだり、何か上手くいかないこと、日常生活で多々あります。そんな時にこそ「THE ドラえもん展」に足を運んでみて下さい。そこは異次元ポケットに負けないくらいの「秘密道具」があふれています。

ここで紹介した「秘密道具」はまだまだほんの一部です。作家によっては複数作品を出しているので見応え十分です。ドラえもんはいつも優しくあなたのそばにいてくれます。

六本木を皮切りに、日本全国を巡回するそうです。(巡回先は決まり次第公式サイトに載ります。)まずはモリアーツセンターギャラリーで!!





「THE ドラえもん展 TOKYO 2017」

開催期間:2017年11月1日(水)~2018年1月8日(月・祝)※会期中無休
開館時間:10:00~20:00(火曜日は17:00まで)※入館は閉館の30分前まで
会場:森アーツセンターギャラリー
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
主催:テレビ朝日、朝日新聞社、ADK、小学館、シンエイ動画、 小学館集英社プロダクション、乃村工藝社、森アーツセンター
特別協力:藤子プロ・創立30周年記念事業
協賛:ユニクロ、ミルクランド北海道、KDDI、ショウワノート、セイコーウオッチ、大日本印刷、Tチケット





DORA ART: THE ドラえもん展 TOKYO 2017 公式ガイドブック