【鬼ヒット】岡田准一「また呼ばれることが目標」次の野望は修羅?映画「関ヶ原」舞台挨拶レポ
8月26日(土)の公開からわずか二日間で観客動員数31万人超え、興行収入も3億9587万100円と、並み居る話題作を押しのけて初登場1位に輝いた映画「関ヶ原」。
この大ヒットを記念し、石田三成を演じた主演・岡田准一、小早川秀秋を演じた東出昌大、そして原田眞人監督の3人が登壇。
さらに、主演・岡田が演じた武将、石田三成の末裔石田秀雄氏(石田三成第15代目子孫)が、大ヒットを祝してスペシャルゲストとして登場。
映画上映直後に行われた舞台挨拶は、さらに盛り上がりをみせた。
■映画「関ヶ原」鬼ヒット記念!舞台挨拶
9月5日(火)東京・有楽町「TOHOシネマズ日劇」で、上映後に行われた舞台挨拶。スーツ姿の岡田、東出、原田監督の姿が見えると歓声が上がる劇場。
「みなさんこんばんは。ありがとうございます。こうして大ヒット、鬼ヒットということで、今回、鬼をテーマにやっていましたけれど。鬼ヒットということでこの場所に立てることすごく嬉しく思っております。えー、東出くんになりたい岡田准一です」
冒頭の挨拶から笑いをとった岡田。小早川秀秋を演じた東出と原田監督の間に立ち、和やかな雰囲気で進行していく。
大ヒットスタートとなった映画「関ヶ原」明日には100万人を突破する予定だという。
舞台挨拶のトップバッターは岡田。
「本当にこの映画というのは、年齢層広く観ていただいているというのを聞いていますし、すごい面白いという人もいれば、歴史わからないと云う方がいると思いますが、好きだという方は何回も見に来ていただいているという報告を聞いています。いいと思ってくださった方は、またぜひ、たくさん見ていただければ嬉しいなと思っています。
続いて東出。岡田がじーっと東出の目を見つめる。
「いま、裏でずっと、『何かないの?記事になりそうな面白いネタ何かないの?』と(岡田から)すごい詰められてですね……」
今日来てくれた記者やカメラに鬼ヒットだけじゃ…と岡田のむちゃ振りに、「えーーないよ」と動揺する東出。
「ちょっとずつエンジンあっためて行くので楽しんで行ってください、よろしくお願いします」
原田監督は、劇場を見渡して「何回も劇場に足を運んで、岡田三成と東出秀秋を楽しんでください」
女性客が多いことを「すごく心強い」として鬼ヒットを喜んだ。
鬼ヒットの反響を聞かれると、
岡田「最近ですけど、街を歩いていたんです。そしたらよく「公開おめでとうございます」と言われるんで、これどういう現象なのかな?って。観にいきますじゃなくて映画公開おめでとうございますと言われるようになって、よく街を歩くとほとんどが関係者なんじゃないかってすごい声をかけてもらえたりとか。熱がある作品だと思いますので、熱を浴びてきました、浴びるという言葉を使われることが多いです」
東出「歴史好きの友達が、自然と類は友を呼ぶで増えてきて、そういう何回も見に行ってるし。関ヶ原映画化しれくれてよかった、関ヶ原でよかったと言ってくれるのは、出ている自身としてもすごい嬉しい言葉ですし、出ている僕も関ヶ原でよかったと思います」
再び東出の目を見つめる岡田。
「東出スマイルしてる??」
「東出スマイルっていうのがあるんですよ。業界内で有名な。目は笑ってないけど口だけ笑う。怖いやつ(笑)」
岡田の振りに再び東出スマイルを見せる東出。隣で見つめた岡田は、
「僕は車で、できるように練習するって約束をしたので、いつかどこかでやりたいと思います」
いつかどこかで観られるかも?
原田監督は、「この先5年くらいが仕事は続きそうだなっていう(笑)。業界の反応はすごくいいですね」
鬼ヒット達成で、次なる目標を聞かれると、
岡田「大人の方が楽しめる作品を原田監督が作られていることで、僕たちがまた呼ばれることを目標にやりたいですし。鬼ヒット、その上に修羅ヒットっていうのがあるんですけど、なんとか修羅までいけたらなって思っているんです」
原田「次の現場で修羅になっていいってこと?」
岡田「監督の修羅は勘弁してもらいたいです(笑)これ以上怒鳴っているとね現場はもう…でも、修羅も見てみたいかな」
東出は「今回の関ヶ原という映画で多くの人に見ていただいて、歴史っていうものに興味を持っていただいたと思うので、今後も日本古来の時代劇、超大作に興味をより一層持っていただければ、あわよくば僕もその隅っこに写っていたいと思います」
監督は「とりあえずはアカデミー賞に持っていきたい」
今月、外国部門の映画賞の選考会が行われるという。
「関ヶ原はいけるかな」、「どういう伝でもいいから応援して!」
原田監督の次なる野望に、会場からは大きな拍手が送られた。
■三成の末裔と対話!スペシャルゲスト登場で盛り上がる会場
「36年前ぐらい前、テレビで…岡田さんが1歳かな。テレビで見て初めてそれが壮大なドラマになっていて。何年かのちに映画化されたらいいなって思ってました。将来、監督になれば私が撮ってみたいなと、原田監督が見事達成してくれて感謝します」
戦闘シーン、人物描写、スケールの大きい大画面から飛び出すような人物が、そういう映画になっていて素晴らしい作品と、映画の完成を喜ぶとともに感激の気持ちを添えた。
これまで描かれて来た石田三成、小早川秀秋はほぼ同じような捉え方をされてきたことで、マイナスイメージがつきまとっていたと石田氏。
それを見事払拭した仕上がり、と熱い思いをぶつけた。
「三成は人間味のある幅の広い人間、秀秋は利発な武将ということで安心しました。将来、これをスタートに再評価が始まると思います。いい意味での客観的な再評価ですので、皆さんも感じとっていただいたと思いますので、これからも三成と秀秋をよろしくお願いします。原田監督にいい映画を撮っていただいてこれで私も死んでも死に切れます」
これまでの三成像を書き換える、新たな挑戦となった岡田。
「イメージがいい意味で変わればと思っていましたが、個人的にはギリギリな三成を演じたつもりなんですよね。原作はお腹が痛いっていうことがずっとある人なので、人間らしい三成をとう表現をずっとして来ましたけれど、天下を動かす時代に耐えきれる人ではなかった。ギリギリ感というのを個人的には演じてたので、そこが伝わればなと」
笑顔から一変、演技に対しては真剣な眼差しで語った。
子々孫々と伝わる石田三成像について聞いた東出。
「DNAが濃くて、正義感がもろに出る場面があるので極力セーブしている」
過敏性胃腸症、通称“三成腹”が15代続いているという。
岡田は、
「お腹痛いっていう表現が台本にはないのですが、耐えきれないっていう表現している中で、(演技を)心の中で水で顔を洗っている時も実はお腹が痛いんだ、と思いながらやっていました」
「ほんと?」驚く監督。誰も気づかないところでお腹が痛いという裏テーマを密かに演じていた岡田。
カットされているシーンもあるようだが、ある人物との会話のシーンで、
「目をつぶっているところ、あれはお腹痛いんですよ」といえば、場内から「ああ」と声が漏れる。岡田自身も「絶対伝わらない」と思いながら演じていたシーンも、しっかりと伝わっていた。
好きな三成のエピソードを聞かれると岡田は、
「柿は胆の毒だっていう。最後連れていかれている時に、(三成が)水ないかっていうと柿ならあるぞ…(柿をも拒否するシーン)これから死のうとする人が何を言ってるんだ、っていう逸話が残っているんです。一応撮ったんですよ、でもカットされちゃった(笑)」
東出は、「わかりやすくいうと太閤検地っていう…まずこれ、わかりにくいんですけど(笑)国家プロジェクトがあったんです。土地の大きさを測るっていうプロジェクトを三成が数学的才能が天才だったんで頑張って。戦に勝ったからあげるっていうんじゃなくて、プロジェクトを頑張ったから九州にいってめちゃくちゃいい暮らしをしてこいって大阪に残る方を選んだ。当時としてはボーナスやるよ城主になれと言われればヒャッハーってなるのに、上司のお世話をしますよと。官僚っぽくもあるのですが、義の人」
監督は「朝鮮からの撤退の船の手配ですよね。大救出作戦なんですけど。彼が一人で全部で300曹になるんですよ。何往復すればどれだけの人数を運べるか…それは描きたかったですけどお金がかかるので(笑)」
柿の話はよく伝わる逸話だが、それにこそ三成が顕著に出ていると石田氏。
「命をやたらに粗末にしちゃいけない。命だけは無駄にしないで、自分の志を最後達成するまでは生き延びて行こうということだから、何分か後には首を切られるのに命を大事にしましたね。それは三成の一つの生存哲学です」
岡田が東出に無茶振りをするなど、笑いに溢れるひとときだったが、時折みせる真剣な表情に会場がグッと引きこまれる瞬間があった。
最後は岡田の挨拶で舞台挨拶を締めくくった。
「今日はありがとうございます。この規模で時代劇を作るというのは、本当にすごい意義のあることだと思っております。こういう作品がどんどん作られて、たくさんの方に観てもらえたら嬉しいなと思いますし、こういう時代劇は日本の文化です。また足を運んでいただいて、これがよかった、あれがよかった、ここが好きだった、こうじゃないかと語れるのが歴史だと思いますし、映画もそうだと思います。いろいろ語ってください」
世代を超えて熱烈なファンを数多く持つ歴史小説界の巨匠・司馬遼太郎原作「関ケ原」。大ベストセラーを名匠・原田眞人監督の手によって完全実写化。
9月4日(月)現在で、観客動員数96万7000人、興行収入11億8000万円と、「鬼ヒット」の名にふさわしい圧倒的な記録を叩き出している。
映画「関ヶ原」は大ヒット上映中。
©2017「関ヶ原」製作委員会
★「関ヶ原」公式サイト
http://sekigahara-movie.com/
配給:東宝=アスミック・エース
監督・脚本:原田眞人
(取材・文/柚月裕実)