岡田准一が登壇「出られたことに涙が出る」、映画「関ヶ原」完成披露イベント

2017/7/18 21:12 柚月裕実 柚月裕実


累計590万部超のベストセラー、司馬遼太郎の原作を映画化した「関ヶ原」の完成披露イベント、舞台挨拶が都内、アーバンドックららぽーと豊洲シーサイドデッキにて17日、行われた。





石田三成を演じた主演の岡田准一に、徳川家康を演じた役所広司をはじめ、有村架純、平岳大、東出昌大、伊藤歩、滝藤賢一、西岡徳馬、監督の原田眞人、総勢9名が登壇。多くのマスコミ、大勢のファンが見守るなか、晴れ晴れとした表情を浮かべ、映画の完成を報告した。




「いざ、出陣です!」の合図で大砲が鳴ると、岡田准一らキャスト、監督が会場後方からゆっくり歩いて登場。悲鳴のような歓声があがる。

主演を務める岡田准一は、挨拶の中で、「原田監督の映画に出たかった」と語る。

「早く時代ものができるようになって欲しいと先輩方にいわれていて、やっと先輩方にみていただきたいと心から思える時代劇というか時代本格エンターテインメント合戦ものを原田監督が撮っていただけた。中身というよりも出れたことに涙が出るという、出てよかったなと思える作品でしたね」

時折、表情を引き締めながら、感激もひとしおという胸の内を明かした。

「雨は大丈夫でしたか?」開口一番、観客を気遣う有村。
昼間の豪雨からおちついたものの、直前まで小雨がずるずると降っていた。登場する直前にすっきりと晴れた。 有村の言葉に、会場からは「かわいい!」と女性からの声援が飛び交う。

初となる時代劇は、刺激的な撮影だったと有村。
「みなさんのキャストや監督の思いを感じていただけたら嬉しいですく」と丁寧にく想いを 伝えた。

続く、平岳大、東出昌大が有村の挨拶を真似ると笑いが漏れる会場。役所広司も「この度V6に入ることになった役所広司です」と冗談を飛ばすなど、楽しい雰囲気のまま進む。


映画の原作となる、司馬遼太郎の「関ケ原」は累計部数590万部を突破する国民的ベストセラー。重みある歴史を新たな視点で描くというく挑戦に挑んだキャスト。舞台挨拶にも緊張感とチームワークが感じられた。

「比叡山の山の中で、豪雨が降ってその中で彼女はももをむき出しにしてがんばってくれました。家康と三成の対面でも雨が効果的に降ってくれて、映画の神様は関ケ原を応援してくれるときは雨降らしてくれるんですよね」

イベント直前に降った豪雨も雷雨も映画の神様の効果だと原田監督ならではの解釈を伝えた。

「なぜいま関ヶ原を撮るのか」、その問いに監督は、
「このキャストが揃うのが今だった。岡田さんが三成を演じられる年になるのをずーっと待ってた、そのいまです」。

開場からはおぉー!と歓声と拍手が送られ、愛たっぷりの言葉に岡田は照れた表情を浮かべる。

三成の物語がなぜ胸を打つのかについても原田監督の言葉が響く。

「それは今の政治家があまりにも情けないから。いま、酷いですよね、言ってることもやってることも、正義がない。純粋に正義ということを考えて、『大一大万大吉』という、ロゴまで生み出した。これ、多分今の日本にこういう人欲しいんだっていう思いに浸ると思います。ですから、いまこそ三成を再評価すべき。家康はもう随分評価されているけど、秀吉ももどうでもいいんですけど(笑)三成はいまこそ、という感じがありますね」


監督の言葉を受けて岡田は、
「そうですね、今の三成の評価というのは今後変わっていけばいいなと、三成公のお墓の前で三成公に喜んでもらえる役柄を演じますと誓ってこの撮影に臨んだので、三成公のイメージがすごく良くなるようになればいいなと思って演じています」





平は「とても美しい映画」、ロケーションも普段は入れない場所でのロケ、この美しい国はどこだろうというくらい美しい映画になっていると評した。
原作ファンの東出は、歴史に興味がない人には拒否反応を示すような名前が多いかもしれないとしながらも、「一人一人の人物造形がすごくこまやかで、一人ひとりが生きてるなという映画になっていますし、僕はいち原作ファンとして2回3回と見たい映画になった」とベタ褒め。

同様に、伊藤歩も大絶賛。
「この作品に出られたことが一生の宝物というくらいスケールが大きい」と馬の数、エキストラが槍を持って戦う姿を見て、そういう方たちの力によって映画ができたと振り返った。

脚本の時点で面白かったと滝藤健一。
「これが映画になってさらに面白くなっていて、駆け引きというか、腹の探り合いがもうすさまじいスピードで進んでいくんですけど、本当に面白かったです」

「原田監督と仕事がしたかった」ーーイベントに続いて行われた舞台挨拶で、西岡徳馬は、現場で怒鳴る原田監督を目にしたという。敵は原田、私の関ケ原でしたと撮影を振り返った。

「あきらかに原田監督が描いた独特の戦国映画になっていると思います」
役所広司が映画を振り返る。
「岡田君が汗水たらして動きまわって、石田三成像をつくりあげてます。映画っていうのは何度見ても新しい発見があるのがいい映画だと思いますけど、おそらくこの映画はそういう映画だと思います」


わずか6時間で終わった関ケ原の戦い。それにちなんで、撮影中の「誰もしらない真実」について質問されると岡田は、滝藤が原田監督に特別な思いがあることを挙げたが、自分のエピソードを話す場面だった。ここで東出から岡田のエピソードが出る。

「夜11時くらいまで撮影をして、山の上だったんですけどロケバスで岡田さんとご一緒して、僕、飲むことしか考えてなくて、岡田さんにこういう晩は帰ったら何をされるんですか?って聞いたら、「いま12時くらいだから帰ったらトレーニングかな」って言ってて。うおー鉄人だって」

役所からも、以前の撮影現場でのエピソードが寄せられる。
「夜中走ってましたね、一人で木刀もって」
岡田は「その時役所さん誘ったんですけど、俺はいいやっていわれて、すごいやさしく断られた(笑)」
岡田の鉄人エピソードはやっぱりすごい。

有村は監督と食事に行ったことなどを披露、また初となる時代劇で、多忙な中でも挑戦する姿勢を岡田らが讃えていた。

また、 本作品に出演したキャストのひとり、7月6日に死去した俳優・中嶋しゅうについて岡田は、「ものすごくカッコよくて憧れの俳優」とし、映画の完成を待たずして世を去った中嶋さんに届けばと胸の内を明かした。


日本の未来を決した、わずか6時間の戦い。だれもが知る「関ヶ原」の誰も知らない真実ーー 司馬遼太郎原作、累計590万部超の“国民的ベストセラー”初の完全映画化。監督・脚本、原田眞人。

映画「関ヶ原」は8月26日(土)より全国ロードショー。


(取材・文/柚月裕実)