【昭和13年の映像】手紙を受け取り満面の笑顔を見せる日本兵たちに癒やされる!
どうも服部です。昭和の映像を紐解いていくシリーズ、今回は8万5000本あまりの歴史的映像を公開しているBritish Pathé社の所有フィルムを取り上げました。
YouTubeに投稿されているタイトルは「Japanese Army Post Office - Soldiers Receiving Letters (1938)」(日本軍の野戦郵便局…手紙を受け取る兵士たち-1938年=著者訳)。1938年は昭和13年で、日中戦争開戦(1937年7月)の翌年、太平洋戦争開戦(1941年12月)の3年前という時代でした。
※動画はページ下部にあります。
毎日新聞の前身である「東京日日新聞」と「大阪毎日新聞」制作のニュース映画のようです。「嬉しい便りが戦線へ届きました-上海」という、戦争の緊迫感は感じられないタイトルとなっています(BGMもポルカのような軽快な音楽)。
日本からの輸送船でしょう、網に入れられた袋が荷卸されています。映像のタイトルから、中国の上海の港と思われます。
それをトラックに積み替えて……、
運ばれてきたのは「上海野戦郵便局」でした。
郵便局の建物内かと思われます。トラックが到着するとみんなで荷降ろし開始。
こちらが郵便局内部。みなさん軍服姿ですが、完全に郵便局職員のお仕事です。
それを配達場所別に仕分けていきます。著者も学生時代にアルバイトで郵便の仕分けをやった経験がありますが、服装以外はほとんど同じ作業光景でした。
仕分けが終わったものは、再びトラックに積み込んだり、
近場の宛先のものは、このように自転車で配達です。
前線近くの中継所なのでしょうか、郵便物を運んだトラックが到着すると、
荷降ろしをして、
車では通行できない道のようで、人力で運んでいきます。
そしていよいよ、前線の兵隊さんたちに郵便物が届けられます。
あっという間に取り囲まれています。
そしてこの喜びよう。携帯電話やインターネットで、即時の連絡が当たり前な時代に育った世代には、待ち続けていた便りが来たこの嬉しさは伝わるのでしょうか。
画面右側の男性の右手には、ナレーションいわく奥さんの写真があり、同僚に見せつけているところだそう。
早速返事を書いて、
封筒を舐めて糊付けし(これもまた見掛けなくなった光景です)、
最後は、今も変わらぬ郵便局マークのある窓口に封書を提出。何事もなく家族の元へ届くのを願うばかりです。
なんとも穏やかな場面ばかりで、本当に戦争中なのかと疑ってしまう内容でしたが、実際には上海周辺では激戦が繰り広げられていました。一方で、1937年(昭和12年)7月の日中戦争開戦以降、政府による言論統制が強化され、戦闘の様子などを捉えたものはなかなか公開許可が出ず、のどかな光景の写真や映像ばかりが伝えられるようになっていたといいます。とはいえ、ほぼ素だと思われる兵隊さんの笑顔のシーンを垣間見ることができ、大変貴重なニュース映像だったのではないでしょうか。引き続き、歴史の1ページを紐解いていければと思います。
(服部淳@編集ライター、脚本家)
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参考文献
・「日中戦争への道 昭和10-12年」講談社、1998年
・「母と子でみる51 20世紀の戦争 日中戦争I」草の根出版会、2001年
【動画】「Japanese Army Post Office - Soldiers Receiving Letters (1938)」