ソバージュの貴公子KATSUMI「It's my JAL」にみるCMタイアップの時代
銀座の名所と言えば三越でも和光でもギンザシックスでもなく「じゅわいよ・くちゅーるマキ」だろうという皆さんこんばんは。バブル時代研究家のDJGBです。
残念ながら、現在都内では「じゅわいよ・くちゅーるマキ アルカキット錦糸町店」と「ジュエリーマキ グランデュオ蒲田店」の2店舗のみが営業中。
銀座に行っても「カメリア・ダイヤモンド」は買えないので気を付けて。
ところでバブル後期~90年代半ばにかけ、多くの新進ミュージシャンが「カメリア・ダイヤモンド」のCMソングに起用されたことで名を上げました。
今日はその先駆け的存在で、ハスキーなハイトーンボイスとソバージュヘアが印象的だったKATSUMIと、CMタイアップの時代をふりかえります。
■若手アーティストの登竜門的CMでスマッシュヒット
KATSUMIのデビューは1990年。バンド活動中に音楽関係者の目に留まり、4月25日、パイオニアLDC初の日本人歌手としてアルバム「SHINING」でデビューします。この時点では、まだソバージュではありません。
バブル華やかなりし時代。少し甘さのあるKATSUMIの伸びやかな声は、15秒、30秒で強い印象を残すことが求められるCMソングにピッタリでした。レコード会社の売り込みが功を奏したのでしょうか、まったくの新人のデビューアルバムにも関わらず、最終的にアルバム全10曲中、なんと6曲がCMソング/TV番組・映画のテーマソングとして使用されます。
中でも多くの人々の耳に残ったのは「カメリア・ダイヤモンド」のCMに採用されたこの曲。
●「危険な女神」(90年7月25日発売)
90年ごろ、ふと深夜に目を覚ますと、つけっぱなしだったテレビから「ハウス食品」「コルゲンコーワ」そして「カメリア・ダイヤモンド」のいずれかのCMがループしていた、という記憶をお持ちの方も多いハズ。テレビから繰り返し流れたキャッチーなサビが話題となり、7月にはアルバムからシングルカット。
この年「カメリア・ダイヤモンド」のCMからは、あのB’zも「EASY COME EASY GO」でブレイクしています。
■自動車、シャンプー、航空会社…怒涛のタイアップ攻勢
●「YES, 抱きしめて」(90年11月21日発売)
3rdシングルはダイハツ「ロッキー」のCMソングに採用。当初CMソングは相原勇のデビュー曲「ボクはパワー」でしたが、すぐにKATSUMIのアップテンポな新曲に。
●「Just Time Girl」(91年4月25日)
続く4thシングル「Just Time GIrl」はシャンプー「花王ピュアエチュール」のCMソングに起用され、初のオリコンベスト10入り(最高5位)を記録。熊沢千絵の笑顔とKATSUMIのボーカルがマッチしたさわやかなCMで女性の心をつかみます。半年後のCMでも同じキャスティングが継続、CMソングには6thシングルが採用されました。
●「Come On」(91年10月30日)
■これぞタイアップソングの真骨頂!「It's my JAL」
●「It's my JAL」 (91年6月25日)
90年、JALは長年親しまれてきた鶴丸ロゴを刷新し、あのジャネット・ジャクソンを起用したCMでイメージアップを図っていました。また沖縄線のCMに使った米米CLUBの「浪漫飛行」も大ヒット。そんなJALが91年の企業イメージを託したのが、タイアップのスペシャリストとしてヒットを連発していたKATSUMIでした。
ソバージュを振り乱しながら歌うKATSUMI版PVもいいですが、こちらのJAL版のPVのほうがよりバブル感が高くオススメです。明日から東京は、美人が三人へるゾ~(棒)。
【ニコニコ動画】KATSUMI 【I's my JAL】 PV
企業名そのものをズバリ曲名に持ってくる大胆なタイアップぶりは当時ですら話題となりましたが、「It’s my JAL」はオリコン最高3位、累計22万枚を超えるヒット曲に。JALのCAさん(当時はスチュワーデス)と合コンしてカラオケでこれ歌ったらウザがられたでしょうね。
実は、この年のJALのタイアップはこれだけではありません。
●JAL 「I'll(アイル)」川村かおり(91年)
「ジャルパック」からリブランディングした若者向けパックツアー「I'll(アイル)」のCMに起用されたのはミュージシャンの川村かおり。この時彼女が発売したのは、CMソングにもなった「アイル・ビー・ゼア」と、「翼をください」の両A面(!)でした。
■オリコン1位獲得&“月9”で役者デビューも
おっと、話をKATSUMIに戻します。 94年にリリースした5thアルバム「SUPER BALANCE」では、木村拓哉の出演した「オロナミンC」のCMソング「笑顔がいいね」をはじめ全11曲のうち9曲がタイアップ。オリコンチャートでもシングル・アルバムあわせて自身初の1位を獲得。ソバージュにもますますヒネリがかかります。
You are Special - SUPER BALANCE by KATSUMI #NowPlaying https://t.co/1Hu7w91jHn pic.twitter.com/ZiKPjvmALk
— 春樹 (@Haluki_K) 2017年2月21日
このころには本人のメディア露出も増え、そのイケメンぶりが知られたからか、和久井映見主演の月9ドラマでは本名の「渡辺克己」名義で役者デビューも果たします。実生活ではオリコン1位のシンガーでしたが、ドラマ中では鶴田真由演じる資産家の娘と同棲するヒモのミュージシャンという役どころでした。
●「妹よ」(94年)(85年ころ)
■KATSUMIとCMタイアップの時代
CMはおろか「ザ・ベストテン」にすら出演しないミュージシャンもいた80年代が終わり、90年、彗星のごとく現れたのがKATSUMIでした。「危険な女神」のヒット後、再発売された1stアルバム「SHINING」のオビには、こんなキャッチフレーズがありました。
「'90・スペシャリストの時代。僕らは、こんなボーカリストを待っていた。」
やっぱり若いなぁ…。1990年発売の僕のファーストCD。色々とあってこのジャケットに差し替わりましたが、実は初版はこのジャケットではないのです(^^;) Eary days....… https://t.co/cv3qBlU0P3 pic.twitter.com/7XFjZZ8ZnH
— KATSUMI (@katsumi_one) 2017年2月4日
そう、彼はスペシャリスト、ボーカリストであり、CMソングを魅力的な楽曲に昇華させ、わずかな時間に託されたメッセージを人々に届けることのできるプロフェッショナルでした。
企業と音楽業界がタイアップすること自体は、新しい話ではありません。
先ごろオープンしたギンザシックスでは、椎名林檎とトータス松本による書き下ろしのテーマソング「目抜き通り」が話題となりましたが、70年前、有楽町そごうのCMソングとして「有楽町で逢いましょう」(フランク永井)が誕生したのは有名なエピソードです。
バブル期のタイアップの新しさは、音楽業界側からの積極的な“売り込み”が始まったことと、クライアントのニーズにあわせ15秒・30秒の印象的なサビを先行して開発するスタイルが定着したことでしょう。
すでに91年3月にはバブル経済は崩壊していましたが、CMタイアップという新しいプロモーション手法が発明されたことで、ミリオンヒット連発のCDバブルは少し遅れて到来します。KATSUMIはその時代を切り拓いたスペシャリストの一人でした。
■ソバージュの貴公子、KATSUMIは今…。
そんなKATSUMIさん、51才を迎える現在もハイトーンボイスは健在です。ソバージュヘアからは少しイメチェンしていますが、現在も歌にDJに、そして地元の茨城県を盛り上げる活動にも積極的です。
今夜は原宿ラドンナにて今期初ライブ。楽しげな新曲もご披露(^o^) https://t.co/0vRKndrgSC pic.twitter.com/0PdvgARoSi
— KATSUMI (@katsumi_one) 2017年4月23日
昨年には「花王ピュアエチュール」以来、およそ四半世紀ぶりに花王のCMソング(「花王ビオレ 美肌ケアできる汗ふきシート」)を歌ったことも(主に私の中で)大きな話題となりました。
2014年からは、全国各地のライブハウスで「Voice From The Heart」というツアーを実施中。当初「ゆるい日程でツアーやります」と宣言したことから「ゆるツアー」が名称として定着しています。
KATSUMI 公式ブログを更新しました。 『ゆるツアーEXTRA EDITIONは第2弾も!』 https://t.co/szGKbuYf3R
— KATSUMI (@katsumi_one) 2017年4月27日
直近では、
5/25(木)「ゆるツアー」Extra Edition Part 1 @ZIMAGINE (表参道)
6/10(土)「ゆるツアー」Extra Edition Part 2 @江古田マーキー(江古田)
をはじめ、すでに10月まで予定がぎっしり。
CMで聴いていたあのハイトーンボイスを、身近な距離で堪能できる時代になりました。私も近日中に伺って、「It’s my JAL」が始まったら客席から紙飛行機を飛ばしてきます!
ツアーの詳細、そしてあのKATSUMIに直接指導してもらえるボイストレーニング教室の案内はオフィシャルサイトとTwitterで!
・BRIGHT-DAYS KATSUMI OFFICIAL WEBSITE
・公式Twitter
(バブル時代研究家DJGB)