浮世絵から宝塚ポスターまでお宝満載の阪急文化アーカイブズが熱い!

2017/4/26 11:50 Tak(タケ) Tak(タケ)


「阪急文化アーカイブズ」が2017年4月1日より新たに開設されました。
http://www.hankyu-bunka.or.jp/archive/



「阪急文化アーカイブズ」は、公益財団法人阪急文化財団が運営する池田文庫、逸翁美術館の所蔵品ネット上に公開し誰でも気軽に検索・閲覧できるようにしたシステムです。

池田文庫や逸翁美術館の存在は知らなくても「阪急」という名前にピンときた方は多いのではないでしょうか。そう、阪急といえば宝塚です!

阪急電鉄の事業や沿線イベントや宝塚歌劇に関するポスター約15,000点が「阪急文化アーカイブズ」(阪急・宝塚ポスター)には収録されているのです。最も古いポスターだと1910年のものも含まれています。



新たに開設されたアーカイブスだけあり、詳細な条件での検索も可能です。路線図や年代、被撮影者、演目のみならず宝塚の「組」での検索もできる優れものです。

池田文庫が所蔵する歌舞伎・演劇史料のうち、役者絵・絵看板・番付など約30,000点を検索可能な「浮世絵・番付」も目玉のひとつです。

「浮世絵・番付」カテゴリーには、江戸時代の歌舞伎だけではなく、明治以降に生まれた新しい演劇に関するものも含まれています。



一点、一点見ていくと何時間あっても時間が足りません。画像検索もサクサク進むのでストレスなく次から次へと作品やポスターをエンドレスで見てしまう時間泥棒なアーカイブです。

宝塚のポスターや浮世絵の検索も「画像表示」「画像・テキスト表示」「テキスト表示」の3種類から選べるなど、かゆいところに手が届くこころにくい配慮がなされています。



とても使い勝手のよいデジタルアーカイブスです。

宝塚、浮世絵の他にも「宝塚歌劇団郷土芸能研究会」が1950~70年代に取材した全国の民俗芸能の録画資料・録音資料・レポートなど約3,000点(池田文庫所蔵)も「民俗芸能資料」カテゴリーに収録されています。

自分が学生時代にこうした資料や文献を調べるとなると一日がかりで図書館にこもってしらみつぶしに探していったものですが、これさえあれば数分でお目当てのものにたどり着けます。宝塚ポスター同様にこちらも詳細な条件検索が可能です。



更に、設定されたテーマごとに資料の情報と画像を閲覧できる、インターネット上の展覧会が「特集」として設けられています。

現在は「プレイバック2016春夏展<前編>」と題し、逸翁美術館が2016年の春夏展に開催した「茶碗抄 ー茶碗を楽しむ10の法則ー」で展示された作品をネット上で観られます。



展覧会の公式サイトは会期が終了してしまうと著作権や様々な問題からサイトを閉じてしまうことが一般的ですが、阪急文化アーカイブズでの逸翁美術館の取り組みはその真逆。

終了後もweb上で作品を楽しんでもらい、次回の展覧会に足を運んでもらうきっかけとしてもらう長期的な視座がそこにはあるように思えます。

所蔵している作品を秘匿する時代はとうの昔に終わり、現在は積極的に公開していく美術館・博物館が日本でもやっと増えてきました。

それでもまだまだ二次利用の壁をクリアしているところは僅かで、アムステルダム国立博物館などには遠く及びませんが、急いては事をし存じるとも言います。徐々に徐々にこうした取り組みを広げていって欲しいものですね。

http://www.hankyu-bunka.or.jp/archive/

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