ストレスを抱えた現代人にぴったり「ナビ派で塗り絵」やってみた

2017/3/2 13:00 Tak(タケ) Tak(タケ)


突然ですが、皆さん「塗り絵」やってますか?!そう、子供のころ夢中になってやったあの塗り絵です。

輪郭線だけの真っ白な絵に自分の好きな色を塗るだけの誰にでも簡単に出来る作業でありながら、実に奥が深く楽しめるものだったはずです。

絵を描くのは苦手でも塗り絵でしたら、絵心がなくても存分に愉しめますよね。思いついたままの色を置いていくだけでよいのですから。



書店に行くと「大人の塗り絵」と称した本が沢山並んでいます。中には『自律神経を整えるぬり絵』なんてタイトルを冠した塗り絵もあります。

今、塗り絵は子どもが楽しく遊ぶだけのものではなく、仕事や毎日の生活に疲れた大人が癒しを求めするものになっているのです。

様々な効果が期待できると「大人の塗り絵」について言われています。ストレス解消から自立神経を整える効果まで。

すぐに薬に頼ってしまう前に、脳をリラックスさせヒーリング効果も得られる「大人の塗り絵」を試してみる価値は十分過ぎるほどあります。



さぁ、今すぐにでも「大人の塗り絵」やってみたいですよね。『“かわいい"の魔法にかかる 夢色プリンセス塗り絵 (大人の塗り絵) 』や『やさしい大人の塗り絵 やすらぎの風景編』など様々な「大人の塗り絵」本が出ていますが、今回注目するのは三菱一号館美術館で開催中の「オルセーのナビ派展」です。

はて?展覧会と塗り絵どう関係が??と不思議に思われますよね。まさか展覧会会場で塗り絵が出来る…なんてことは流石にありません。

でも、それと同じくらいに画期的なものが「オルセーのナビ派展」ミュージアムショップに並んでいるのです。それが今アートファンの間で話題となっている「塗り絵付きナビ派ポストカード」です。



通常のポストカードにもれなく一枚「塗り絵」がついてくるのです。お値段は通常通り(150円)で2枚セットで販売されている超お買い得商品!

ところで、ナビ派って聞いたことありませんよね。あのゴッホと少しだけ仲良しだったゴーギャン(ゴーガン)の影響を受けた画家たちの作品をナビ派と呼んでいます。


「19世紀末パリ、ゴーガンの美学から影響を受け、自らを新たな美の『ナビ(ヘブライ語で"預言者"の意味)』と称した前衛的な若き芸術家グループ。平面性・装飾性を重視した画面構成により、20世紀美術を予兆する革新的な芸術活動を行った」




「オルセーのナビ派展」展示風景

ゴーギャンは、目で観た景色や物を自分の感性に従い色を塗りなさいと教えました。また浮世絵の影響も受けているので平面的で輪郭線もはっきりしています。

要するに…1)色を好きに塗ってよい。2)立体的でなく平面的。3)はっきりとした輪郭線がある。ナビ派の特徴ってそのまま「塗り絵」の特徴にドンピシャ当てはまりますよね。

19世紀末に活動したナビ派の作品は、21世紀となった今、ストレスを抱えた現代人に癒しを与える「塗り絵」として最も適しているのです。まさに「ナビ(預言者)」です!



ということで、三菱一号館美術館のショップで「塗り絵付きナビ派ポストカード」(2枚セット)を大量購入して、早速塗り絵にチャレンジしてみました。

やってみるとこれが想像の100倍楽しい!元の絵に忠実に塗るのではなく、ゴーギャン先生の教え通り好きな色で塗るのがポイントです。何枚か無心で塗り絵に取り組んでしまいました。

でもでも、おじさんが塗った塗り絵なんてアップしても見苦しいだけなので、女子大学生にお願いして塗ってもらった塗り絵を紹介しますね。(協力してくれてありがとう~)


モーリス・ドニ《ミューズたち》1893年



ドニと比べるとぐっと明るさと暖かみが増しましたね。うんうん、とても良い感じです。


ピエール・ボナール《庭の女性たち》



ボナールのアンニュイな雰囲気から一転、色のコントラストが明快となり、とても新鮮な印象を受けます。それにしてもポストカードサイズの塗り絵細かいところまでとても丁寧に塗られていますね。


ポール・セリュジエ《にわか雨》、モーリス・ドニ《メルリオ一家》



どちらも基本的な色合いはそのままですが、微妙なコントラストをつけることによってまるで違う作品のような印象を受けます。にわか雨もきちんと色が塗られています。

百聞は一見に如かず。実際に塗られたものを目にすると、自分もやってみたくなりますでしょ!楽しくないはずがありませんものね。


「あの木はどのように見える?…」。ゴーガンの教えに基づき、キャンバスに思うままの色を置いていったポール・セリュジエ。そんなナビ派はじまりのエピソードを彷彿とさせる、オリジナルの塗り絵が通常のポストカードにもれなくついてきます。ナビ派の絵画的特徴であるはっきりとした輪郭線を、自分の思うままの色で塗ることができます。


「オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき」

会期:2017年2月4日(土)~5月21日(日)
開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜休館(但し、2017年3月20日、5月1日、15日は開館)
会場:三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2) 
http://mimt.jp/
主催:三菱一号館美術館、読売新聞社、オルセー美術館
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
公式サイト:http://mimt.jp/nabis/



《お知らせ》
編集・執筆を務めた『カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ』を世界文化社より上梓しました。本屋さんで見かけたら手に取ってみて下さい。


カフェのある美術館 素敵な時間を楽しむ