「ネシ子が会う」北園みなみ(連載 第七回)

2013/12/12 11:15 フレネシ フレネシ





こんにちは、フレネシです。

昨年の夏、インターネット上に彗星のごとく現れ、SoundCloudにUPした音源が耳の早い音楽ファンの間で話題の的となったアーティスト、北園みなみさんにインタビューをしたいと思います。



●北園みなみさんに50の質問

―――フレネシ(以下フ):はじめまして、フレネシと申します。

北園さんのことを知ったのは、昨年の7月、TwitterのTLに流れてきたSoundCloudのリンクがきっかけでした。

ある人のTweetに、北園さん作「ざくろ」の宅録音源のURLが貼られていたので、何気なく聴いたんですが、音が流れた瞬間「これはただごとではないぞ」と感じまして。


■ ざくろ(宅録ポップス)



年齢が22歳と若いこともあって、とても気になる存在だったんです。

個人的に大ファンの、芸人で漫画家のぼく脳さんと同じ1990年生まれということで……。90(キューゼロ)世代はどうなっているんだ? と。

そして、四本淑三さんによるASCIIのインタビュー記事も読んだのですが、顔出しをされず、多くを語らず、どこか浮世離れしていて、俗っぽさを感じさせない「北園みなみ」というアーティストについて、もっと知りたいと思いました。そこで、今回インタビューをお願いしたところ、快く受けてくださいまして… ありがとうございます。

それでは早速、50の質問に答えていただきます。





―――フ:【質問その1】「北園みなみ」という名前は詩人・北園克衛に由来するそうですが、北園作品との出会いはいつですか?

また、どんなところにご自身との共通点を感じますか?

北園みなみ(以下み):3年ほど前に詩集を貰ったのがきっかけです。こじんまりとした箱っぽい雰囲気が気に入りました。短編も残していますが、ミニチュアの街を上から覗いているような印象です。

シンプルで小さな世界に奥行きを感じさせる作風に共感を覚えます。




―――フ:【質問その2】「みなみ」という名前から、女性をイメージする人も少なくないと思いますが、どんな意図でつけられた名前なのでしょうか。

み:北と南です。



―――フ:【質問その3】SoundCloudには、生楽器で演奏したトラックも多く上げられていますが、北園さんが演奏する楽器には、どういったものがありますか?

み:現在は鍵盤楽器各種、ギター各種、エレキベースをメインに演奏しています。



―――フ:【質問その4】曲を作るとき、まずメロディか歌詞かコードかタイトルか、どこから作り始めますか?

み:曲が先です。浮かんだメロディーを素材として、そこから前後に発展させてゆく感じです。



―――フ:【質問その5】楽曲の組み立てがどことなく鍵盤楽器的だと個人的に感じたのですが、作曲をするときはどの楽器をメインで使っていますか?

み:お察しの通り、作曲は殆ど鍵盤で行っています。ガットギターで弾き語り風に書くこともあります。



―――フ:【質問その6】車を乗り換えるような感覚で楽器を買い換えるプレイヤーもいるのですが、北園さんは楽器にこだわる方でしょうか。また、楽器を選ぶ際には、どんなこだわりがありますか?

み:家にある楽器を見渡しても一番安いやつと貰い物ばかりで、みんな何処かしら故障している(笑)いつか楽器を選んで買うことがあれば、頑丈なやつを選びます。



―――フ:【質問その7】これまでにバンドを組んだことはありますか? それはどんなバンドですか?

み:女性ボーカリストとユニットを組んでいました。

私がシンセ1台でバックトラックを作り、ライブの際はそれを流しながら、各々が演奏する。




―――フ:【質問その8】ASCIIのインタビューでは、400曲を超すという、ご本人も把握しきれないほどの膨大なストックについて触れられていましたが、それほどのストックをお持ちでしたら、まとめてアルバムにするなど、形にしようと考えたことはありませんでしたか?

み:生活が破綻していたので、思いつきもしませんでした。

ASCIIのインタビューを受けた時ですら、機材を売り、友人からの施しを頼りに生きていましたし。




―――フ:【質問その9】世に音源を発表しようと考えたきっかけは?

み:歌を練習し始めて半年ほど経過した時期でした。そろそろ力試しをしてみようと。

そして友人の言葉(酷評を恐れるなという意味合いのこもった)に後押しされるように書き始めました。




―――フ:【質問その10】初めて作った曲はいくつのときで、それはどのような曲でしたか?

み:小学校の真ん中くらいの頃でしたが、エレクトーンで弾いたメロディーをノートにカタカナで残し始めました。

ドーミ、ミ、ソッ…の様に。それはときに不可解な二声アレンジが施されていました(笑)




―――フ:【質問その11】北園さんのご家族は音楽一家なのでしょうか。他に楽器を演奏するご家族はいらっしゃいますか?

み:家族は音楽に縁がなく、私のことを訝っています。何をしてるのか、と。

フ:そうなのですね。私も同じような感じです。制作を始めたころは家族に聞こえないように自室の戸を閉め切って。。



―――フ:【質問その12】学生時代は吹奏楽部に属していたそうですが、担当していた楽器は?

み:アルトサックスとソプラノサックスです。当時ジャズに憧れており、教師からは非常に荒々しい音色だと罵られていました。

フ:私も吹奏楽部に属していまして… 今ではまったく吹けなくなってしまったのですが、中学、高校とクラリネットをやっていました。

み:クラリネット持っていますがあんまり練習していません。



―――フ:【質問その13】初めてご自身で買ったCD(レコード)は?

み:10歳のときに買ったカルチャークラブの再結成盤です。小学生時代は自作したボーイ・ジョージのお面を被って、よく校内を練り歩いていました。気持ち悪かったでしょうね。



―――フ:【質問その14】テレビで、子供のころよく見ていた番組は何かありますか? 北園さんには、あまり俗世的でないイメージがありまして。

み:『どうぶつ奇想天外!』を欠かさず見ていました。あまり好きな番組では無かったんですけど、同時刻に放送されていた『200X』という番組は、小学生の私にとってあまりにも不安要素(紫外線の脅威、地球滅亡、未知のウィルス)が多すぎたので、それを避ける為には仕方がありませんでした。

フ:好きでもないけれど他を避けるためやむを得ず選択した、というのはこれ以外のケースでも当てはまるものがありそうですね。ラジオはいかがでしたか?

み:ラジオは1人でひっそり楽しめる所が好きだったので、ルールを知らないスポーツ放送すら楽しんだ覚えがあります。

夜半はアジア圏の海外放送が入ることもあり、ノイズの向こう側に異国情緒あふれるチープな音楽を聞くこともありました。




―――フ:【質問その15】北園さんの作品は、ルーツに根ざした音楽性でありながら、どこにも属さない自由な印象を受けるのですが、そう感じさせる理由はどのあたりにあるのか…。生楽器の演奏にボーダレスな遊びが散りばめられていることや、デジタルなツールの取り入れ方、詞のモチーフが多様で時間軸を感じさせないことも関係しているのかもしれません。そんなご自身の音楽について、あえてカテゴライズするとしたら、どのようなジャンルになるでしょうか。

み:どこかに属していたいと思う反面、「これは全く新しい」という様な評価への憧れはあります。

作曲する際に、音楽から少し距離を置き、まるで風景を描写するようにして作ることもあり、それが有り触れたポップスの語法に従いながらも、ときにノンジャンル的な印象を醸す理由かもしれません。分類するとしたらJ-AOR、Pop-Jazz、ナンセンスポップ、でしょうか。




―――フ:【質問その16】ご自身のルーツとなっている音楽、最も大きな影響を受けているのはどのようなアーティストですか?

み:しぶしぶビートルズだと認めざるを得ません。最近60年代のポップスは怠惰だと感じ、あまり聞きませんが、やはり良いと感じてしまうのです。

まさにあの時代の恩恵を被ったアーティストたちで、過去にも未来にも存在できなかったグループです。

なので自分も2010年代という、願わくば自分にとって全盛期になるであろう時代と仲良くしていきたいです。




―――フ:【質問その17】楽曲のテイストが細野さんやキリンジに近いといわれることも多いようですが、ご自身では和製AOR、シティポップなどはあまり聴かれないようですね。そうした日本のアーティストを経由せずともアウトプットが近いものとして捉えられるのは、音楽の解釈の仕方にあるのかもしれないと思うのですが、音楽を聴くときに「ここは必ず聴く」というポイントがあったら、教えてください。

み:日本のポップスをあえて聞かないことが多いです。彼らが影響された音楽、そして更に過去を探ることで、自分なりのポップス語法を築こうと。

ストラヴィンスキーの言葉を借りれば「バッハに帰れ」みたいな感じです。

音楽を聞く時に大切にしているのは、楽器やスピーカーが振動した瞬間から生み出される雰囲気、そして影響された自分の感情です。

素晴らしい音楽体験の後は、効果と仕組みの関係を探るようにしています。具体的には全ての音符に耳を傾け、採譜して演奏するといったことです。




―――フ:【質問その18】北園さんの音楽は、曲ごとの質の高さとバリエーションが尋常ではないと思うのです。アレンジで音を詰め込むというよりは引き算で聴き所を作っているような、イントロやアウトロを効果的に使って、1曲の中で異なる物語を作っていくような。

そうしたドラマティックな展開の小曲は、どこか映画音楽的でもあると思いました。そこで、おすすめの映画音楽がありましたら、いくつか教えてください。(マンシーニの「ひまわり」などを挙げていらっしゃいましたが、私も大好きなんです。。。)

み:私にとってアレンジの理想とは、整頓されていて、しかし演奏者たちに自由な会話をする為の余地が与えるられていることです。テンポが一定であることの多いポップスでも、感情の揺らぎから生まれた物語を添えることはできると信じています。

オススメな映画音楽をいくつか…。

『耳をすませば』のワンシーンより、雫の想像内で、天沢聖司の名前が図書カードの罫線を離れて空中へ舞い始めるシーンに流れる、あの何とも言えない、思わせぶりで、高揚感のある音楽は素晴らしいですね。

定番ですけど映画『スタンド・バイ・ミー』に使用されたベン・E・キングの同名曲。 子供の頃を思い出します。線路伝いに死体探しなんて今でもワクワクします。

そしてジャズ・スタンダードとして知られる『Girl Talk』。


■ Julie London「Girl Talk」



これを聞くと、心持ちの良い夕方の印象が過ります。

すみれ色に暮れていて、しかも星まで出ている、胸糞悪い悩みなど無く。




―――フ:【質問その19】SoundCloudはももちのアイコンで、「ももち!許してにゃん体操」をサンプリングした音源をUPされていますが、北園さんはももちのファンなのでしょうか。

み:ももちの可愛らしい姿を初めて知ったとき以来、ももちのファンです。



―――フ:【質問その20】楽曲提供したいソロシンガー、アイドルグループなど、いますか?

み:今日も可愛いももちことベリーズ工房の嗣永桃子さん。ももちです。



―――フ:【質問その21】ご自身でプロデュースするとしたら、どんなアイドルグループがいいですか?

み:私の鑑識眼によるところの美少女3人組。ひょっとすると全員ももちに似ているかもしれません。

曲はヤスタカのパクリ。




―――フ:【質問その22】作曲家として尊敬するのは?

み:ピアソラです。その生き様からも胸を打たれました。

先駆者であり1番でなければという彼の理念には、背中を押されます。

彼の音楽は苦悩のようで、しかし救いと喜びが混在し、複雑な感情が描かれています。




―――フ:【質問その23】声が好きなシンガーは?

み:ジェームス・テイラーの素朴で爽やかな感じは好きです。

それに対してドナルド・フェイゲンの神経質で皮肉っぽい歌声もカッコイイと感じます。

そしてケニー・ランキンの透き通った美声には音楽への愛を感じます。


■ Kenny Rankin「Lost Up In Loving You」





―――フ:【質問その24】演奏家として尊敬するのは?(できましたら、楽器ごとに)

み:ピアノではビル・エヴァンス。高校時代からコピーして弾いていますし、アーティストとして憧れる存在です。

■ Bill Evans「Soiree」



エヴァンスがフェンダーローズも演奏している70年作「From left to right」より。エヴァンスとアール・ジンダース(作曲家)の組み合わせは絶品です。

キーボード奏者ではボブ・ジェームスです。70年代の作品はどれも聴き応えが有ります。曲の構成のアイディアに音楽への愛を感じます。

エレキベースではジャコ・パストリアスとスティーブ・スワロウ。両者とも演奏スタイルには前例が無く、しかも作家性の宿った奏者で尊敬しています。

エレキギターではジョン・スコフィールドとリー・リトナー。やはり作曲家としてのアイディアに満ちた奏者に惹かれるようです。 両者とも数々のリーダー作で存分に作家性を発揮しています。

ウッドベースではスコット・ラファロ。初期のエヴァンストリオで活躍しましたが若くして亡くなってしまいました。

彼以降に、何人かのテクニカルな奏者たちが後任を努めましたが、やはりラファロの響きと推進力、フレーズの妙に天才性、独自性を感じます。




―――フ:【質問その25】北園さんの作品の魅力は、作詞の独特の言葉選びにもあると思います。叙情的で、思わせぶりで… 作詞のモチーフとするものは、どんなものでしょうか。

み:思わせぶり、いいですね。予感を感じさせる文章は好きです。

実体験を都合よく繕ったり、理想の場所へ訪れ、そこでの出来事を描写するように作詞します。




―――フ:【質問その26】作詞家として尊敬するのは?

み:作詞家について深く考えたことはあまりないですね…。

Donald Fagenの歌詞を苦労しながら邦訳して、再び謎に包まれたこともありました。

素直に良いと感じられる作詞家はバカラックと組んでいたハル・デヴィッドです。

聞く人に寄り添ってしみじみとさせてくれるような...スヌーピーの作者の人柄とダブります。

ちょっと意味不明ですみません。


■ Close to You「The Carpenters」





―――フ:【質問その27】イラストや写真などのアートワークもご自身で手がけるそうですが、音楽にしても詞にしてもイラストにしても、世界観にブレがなく一貫していると感じました。それらはご自身の中にあるひとつのイメージが存在するのでしょうか。また、こうした世界観のルーツとなっているものはあるのでしょうか。

み:異種なもの同士をぶつけることで生じる洒脱さというか、例えばアンティークとモダンなものを組み合わせる、という風な発想を大切にしています。

80'sポップスとゴシック建築の組み合わせなど。

自分がいろいろと創作するにあたり、ジョゼフ・コーネルによる箱の作品に理想を感じます。

あちこちから蒐集された品が、1人の人間の鑑識眼によって1つの作品にまとめられたとき、品物たちに新しく宿った表情から意表を突かされるのです。

箱っぽさという感覚、小さな世界に奥行きを感じられるような、当面はそんな音楽作品を目指しています。




―――フ:【質問その28】日本のアーティストで好きな人、注目している人はいますか?

み:中田ヤスタカさんは初期のCapsuleを聞いて以来ファンです。



―――フ:【質問その29】コラボしてみたい異業種の作家はいますか?

み:コラボと言いますか、自分で物語を書けたらなと思うことはあります。

1曲の尺で読める超短編とか。


■ Orangeade (Pf,Rhodes,Gut,Cb)





ここからは、あえて音楽とは関係ない、プライベートな質問に答えていただこうと思います。



―――フ:【質問その30】血液型は?

み:A型



―――フ:【質問その31】誕生日は?

み:1月12日



―――フ:【質問その32】利き手は?

み:もとは左利きでしたが両利き



―――フ:【質問その33】好きな小説は?

み:最近読んだ本ではオースターの『ガラスの街』が抜群でした。



―――フ:【質問その34】好きな漫画は?

み:こどちゃ



―――フ:【質問その35】好きなアニメは?

み:思いつきません



―――フ:【質問その36】好きな映画は?

み:『耳を澄ませば』(これはアニメですね)



―――フ:【質問その37】好きな画家は?

み:フランシス・ベーコン。肉塊ばっかでウケました。



―――フ:【質問その38】行ってみたい国は?

み:ありません



―――フ:【質問その39】あなたの口癖は?

み:許してニャン☆



―――フ:【質問その40】好きな食べ物は?

み:甘酒、炒りぎんなん、そしてチュロスです



―――フ:【質問その41】苦手な食べ物は?

み:ねじれて細長いカラフルなマシュマロ菓子



―――フ:【質問その42】幼少の頃は、どんな男の子でしたか?

み:よく外で遊んでいました。

ある日、林に分け入って迷子になり、勘を効かせた祖父によって隣町で保護されました。

そのときは死を覚悟して涙も枯れていました(笑)




―――フ:【質問その43】得意科目は何でしたか?

み:音楽です。しかし成績は最低だった…。

アルトとソプラノのリコーダーを無理やり繋いで吹いてたのが駄目でしたかね。


―――フ:(笑)その状態でも音が鳴るのか気になります。



―――フ:【質問その44】 今一番欲しいものは何ですか?

み:静寂!および防音設備!!!



―――フ:【質問その45】あなたを動物に例えると?

み:可愛いハムスター



―――フ:【質問その46】好きな色は?

み:あずき色、深緑、淡く落ち着いた水色



―――フ:【質問その47】音楽関連以外の特技は?

み:居留守



―――フ:【質問その48】好きな場所は?

み:自宅から西の方へ行くと、林檎畑の広がる丘があります。 そこを登り切った場所に貯水施設があり、眺めが良くて気に入っています。



―――フ:【質問その49】同世代の作家で気になる人はいますか?(音楽以外でも)

み:坂東祐太さんという作曲家です。氏は91年生まれでクラシック音楽で言うところの現代音楽を専門に書かれています。

サウンドクラウドで知ったのですが、非常に触発され、以来尊敬しています。




―――フ:【質問その50】ファンの皆さんに一言、お願いします。

み:アルバム制作中です、2014年の夏頃にリリースできたらと願っています。

作編曲、演奏に磨きをかけた北園みなみの音楽をお楽しみ下さい。 なかなか笑えるかもしれません。




フ:他にも告知などありましたら、教えてください。

み:この冬にリリースされるLampの新作に参加させて頂きました。

いくつかの曲で管弦アレンジと、各種楽器を担当しています。

こちらの作品もぜひお楽しみ下さい。




フ:CM音楽や映画音楽など、商業音楽としての北園作品も聴いてみたいと思います。将来、作家として手がけてみたいのはどのような作品ですか?

み:CM音楽なんて面白そうですね。ももちが芝生の上を可愛いらしく走り回るシーンが想像されます。

フ:ファンとして、いつかライブを見たいです。予定はないのでしょうか?

み:MC担当の通訳が見つかり次第。



どうもありがとうございました。



(※画像は北園みなみ氏&フレネシの合作。私の描いたイラストを使って北園氏に作っていただきました)



●インタビューを終えて

インタビューを通しての彼の印象をまとめると

・ネット時代のアーティスト

・先人の音楽や文学、芸術作品への敬慕

・尽きない探究心

・創作活動のブレのなさ、迷いのなさ

・ももち大好き

・掴みどころのなさ、正体不明


といったところでしょうか。

それぞれの質問に、ユーモアを交えつつも誠実に答えてくれた北園さん。回答は紳士的でありながら、どこか質問をうまく交わされているようなところもあって、インタビューを終えた今もなお謎多きアーティストであることは変わりなく… ますます気になる存在ですし、ますますファンになりました。

自宅でのレコーディングが安価でできるようになり、セルフプロデュース型のアーティストが増えつつある昨今。もはや「セルフプロデュース」自体が売り文句にはならないくらい、誰でも音源を発表することができ、ミュージシャンを名乗れる「敷居の低い」時代であるわけですが、それゆえにありきたりな作品では埋もれてしまうし、ある意味、以前よりも実力主義になったといえるのかもしれません。しかし、本質的に抜きん出ている才能は、ただネットの片隅にいるだけでも目立ってしまうものです。

北園みなみさんは、10年代にこそ相応しい登場の仕方で突如として現れ、ネット上の音楽ファンの心を鷲掴みにしました。来夏発売予定のアルバムには、どんな驚きが詰まっているのか、今からとても楽しみです。



● 追記(2014年10月24日)

2014年10月22日、ついに1st音源「promenade」がリリースされました。



全5曲入り。SoundCloudで公開されていた音源も、リアレンジバージョンで収録されています。

ドラムで坂田学、パーカッションで尾方伯郎(Minuano)、ブラスで武嶋聡チーム、ストリングスで橋本歩ストリングカルテット、コーラスで永井祐介(Lamp)、榊原香保里(Lamp)、マイカ・ルブテ、井上水晶という豪華メンバーが参加しているそうです。

ジャケットは、アンリ・ルソー。繰り返し何度も聴きたくなる、秋の夜長にぴったりな一枚です。