東京国立博物館にガンを飛ばす「尋常でない目付きの鶏」がいた!
新年明けましておめでとうございます。
今年も身近なアート情報を隔週でお届けして参ります。
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さて、お正月早々に美術館・博物館へ足を運ぶ奇特な人なんて、なかなかいないと思われがちですが、実は最近ではそうでもないのです。
今から14年前の2003年、上野にある東京国立博物館が「博物館に初もうで」と銘打って1月2日より開館し、お正月を博物館で過ごそうという当時としては斬新な試みをスタートさせました。
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エントランスを飾るいけばな:池坊・蔵重伸氏
継続は力なりとよく言いますが、干支も一周し、来場者も年々増加し、昨年(2016年)の正月2日・3日で約1万3千人、期間中を通して約6万人が東京国立博物館(トーハク)へ足を運びました。
日本の伝統文化に触れる機会として、また、ご家族やカップルでも楽しめるお正月のお出かけ定番スポットとしてトーハクが定着しました。
今年も早速1月2日に新年の挨拶を兼ねて「博物館に初もうで」に行ってきました。この期間限定で公開されているトーハク所蔵のお宝が一番の目的であるのは言うまでもありません。
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長谷川等伯 国宝「松林図屏風」安土桃山時代・16世紀
以下、会場にあった担当研究員:松嶋雅人氏による解説です。
白い和紙の上に墨の濃淡だけで、風と光の情景が生み出されています。画面に近づいて松の葉をみると、その激しい筆勢に押され、後ずさりするくらいです。松を描く筆は、穂先をいくつも重ねたもの、竹の先を細かく砕いたもの、あるいは藁を束ねたものを使ったと考えられており、明らかではありません。繊細でありながら迷いなく筆を進め、一気に線を引いていることが見てとれます。離れてみると、松の幹はまるで能を舞うかのよううに風に揺られています。
四つほどの大きなグループに描かれた松林は、木々の間を風が通り抜けるように配置されています。そして墨のグラデーションによって光の強弱をあらわして、霧に包まれた松林を生み出しているのです。
さまざまな工夫と技法によってあらわにされたこの松林には、霧の晴れ間から柔らかな墨の色と相まって、風の流れや森の清清しい香りまで実感できるでしょう。
等伯は松林という日本の伝統的なモティーフを、中国絵画から学んだ水墨表現によって描き出し、日本の風土の豊かな形象をみごとにあらわしているのです。
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現在の迎賓館の花鳥の間(大食堂)の壁面を飾る七宝焼の花鳥画の下絵として採用された渡辺省亭「赤坂離宮花鳥図画帖」1906年 も見逃せない作品です。3月18日より「SEITEI ~ 渡辺省亭蘇る!孤高の神絵師」展も開催される今年最も注目される日本画家のひとりです。
この他にも、国宝「扇面法華経冊子」平安時代・12世紀や円山応挙「雪景山水図」(旧 帰雲院障壁画)江戸時代・1787年などなど選りすぐりの作品を期間限定で特別公開するほか、2017年の干支・「酉(とり)」を題材にした作品や、松竹梅や鶴、富士山など、吉祥をテーマにしたお正月らしいめでたい作品の数々が展示されています。
さて、その中で今年一番の「何だこれは!」と思ったのが、蘿窓 重要文化財「竹鶏図」 中国 南宋時代・13世紀 です。
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ご覧ください!新年早々この目付き!!完全に喧嘩売っています。
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会場の解説には「蘿窓(らそう)は南宋末の禅僧で、日本の水墨画に大きな影響を与えた牧谿(もっけい)と画意が等しいともいわれた。五更(午前4時)の未だ夜があける前の幽暗の竹下に潜み、文武勇仁信の五徳を備えているという鶏を描いている。」と随分と褒め称えられていますが、徳を備えている鶏には見えませんよね。
「尋常でない目付きの鶏は、悟りを得た禅僧のようにもみえる。」博物館に初もうでに行き、初笑いさせてもらいました。悟りを得た禅僧と来ましたか!その発想はなかったww
博物館というとちょっとお堅いイメージがあるかもしれませんが、実際に行って観ると、可愛らしいものや、面白可笑しいものもたくさんあります。
お正月のトーハクには睨みをきかせる鶏だけではなく、もちろんちゃんとした?!トリやその他名品もたくさん展示されています。ツイート幾つか紹介しておきますね。皆さん目の付け所がよろしい!
博物館に初もうで@ 東京国立博物館。今年も色々と貴重な作品が出ております。干支に因む特集展示も楽しい。若冲の松梅群鶏図屏風が一番人気でした。また本館でも例の松林図屏風や古今和歌集(元永本)らの特別公開もある。昨年も2日に来ましたが、より賑わっているように感じました。 pic.twitter.com/klni6g0YjX
— はろるど (@harold_1234) 2017年1月2日
博物館に初もうで@東博で面白かったのが盤物の「闘鶏香」。闘鶏の形の駒の将棋かチェスを思わせるけど、実は香遊びの一つで、香を聞き分けては駒(立物)を動かすというもの。雅やかなゲームなんだろうけど、この遊び心がたまらない。 pic.twitter.com/eennB98IAN
— Conrad (@Conrrrrad) 2017年1月2日
東京国立博物館、比較的地味な内容が多い第15室に入り、振り返ったら、李迪『紅白芙蓉図』国宝があってびっくり。明治21年に発足した臨時全国宝物取調局の全国宝物調査の様子が資料で解説されており、分厚い宝物台帳など極めて興味深い内容だった。『紅白芙蓉図』の展示は1月9日までの限定です pic.twitter.com/aUVzCNQJPX
— 在華坊 (@zaikabou) 2017年1月2日
次はトーハク(@TNM_PR)の「博物館で初もうで」に。干支にちなんだ展示品の中から気に入ったものを。4枚目のは作品紹介は印籠についてでしたが、根付の福良雀かわいかった。 pic.twitter.com/2G7WMtrnON
— 牧野友衛 Tomoe Makino (@tomoe) 2017年1月2日
トーハクで獅子舞見物!!
— ぱかぱん (@misa_koro) 2017年1月2日
頭カプッっとしてもらえた。帰り道で別の獅子舞に出会ってもう一度カプッっとしてもらえた。
こいつは春から縁起がいいねぇ!! pic.twitter.com/5oZlzk7I4i
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東京国立博物館の新春企画「博物館に初もうで」
開催期間:2017年1月2日(月・休)~1月29日(日)
営業時間:9:30~17:00
※金曜、土曜は20時まで開館(特別展を除く
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、2016年12月24日(土)~2017年1月1日(日・祝)
※1月2日(月・休)、9日(月・祝)は開館、10日(火)は休館
http://www.tnm.jp/
今年は海外からのお客さんも例年以上に多かったです。(英語版のチラシがあるのはとても親切ですね。)