【昭和30年頃の日本】ほのぼの幸せそうな光景に心が癒やされるカラー映像
どうも服部です。昭和の動画を紐解いていくシリーズ、今回はYouTubeに投稿されている「Japan fifty years ago 日本五十年前」というタイトルの映像をピックアップしました。米国で制作された日本の文化や現状を紹介する教育フィルムのようです。
まずは京都清水寺の三重塔から始まります。結構退色していますが(特にシアン《青系》)、カラー映像です。
こちらは同じく京都の平安神宮の大鳥居。オート三輪(三輪自動車)が鳥居をくぐって向かってきます。
鎌倉の大仏です。挿入されている英語のナレーションでは、日本には太古からの遺産がそこここに残っていることについて触れています。
それとは対照的に、近代化は日に日に進んでいるという意図で映されるネオンサイン。東京・銀座の「すずらん通り」周辺のもののようです。クラブの店名などが見えます。
上は、抗・結核剤として田辺製薬が販売していた「ニッパス」のネオンサイン。公益財団法人結核予防会の資料によると、これら薬剤の効果もあり昭和22年から昭和30年の間で結核による死亡率が4分の1ほどまでに減っています。
下に見える「酒は新進(進は旧字体)」という広告は、大和醸造(1961年にメルシャンが買収)の合成清酒(日本酒風味のアルコール飲料)のブランド。「二日酔いしない酒」といううたい文句で売っていた時期もあったようです(参考資料)。メルシャンに買収されると共にブランドは消滅しています。
おなじみの不二家ミルキーのサインも。
ネオンサインに続いて映るこちらは、西部劇映画の「ララミーから来た男 -THE MAN FROM LAEAMIE-」の看板。1955年(昭和30年)8月31日公開なので、少なくともこの場面は昭和30年頃(約60年前)のようです。
次に捉えるのは、サンドイッチマンと呼ばれる広告を身に着ける職業の人です。「むし風呂温泉 金三百円也」という文字が読み取れます。「東京銭湯」のサイトによると、昭和30年当時の東京都内での銭湯入浴料は大人が15円なので、それより20倍の値段。英語ナレーションでは「日本式のトルコ風呂」と紹介しています。
場面は田園風景に変わります。日本は山がちで平地が少ないこと、カリフォルニア州ほどの面積に米国の半分近い9000万に近くの人口を抱えていること、米国の農家の平均的な広さである90エーカー(0.36平方キロメートル)を150人ほどで耕しているなど、日本の国土と農業事情が紹介されていきます。
稲刈りの時期のようです。お母さんに代わって、おばあさんが子供たちの面倒を見ています。
こちらの村ではまだ機械化はされておらず、手作業で行われています。一方でナレーションは、今では収穫した穀物は実際に作業をした農家の所有になっていると、GHQの指導の下、地主制度を解体した農地改革による成果を伝えています。
農家のお宅では会合が開かれているようです。奥さん(?)がお茶を持ってきて深々とお辞儀していきます。
この日集まったのは、共同出資でトラクターを購入するための話し合いのためのようです。
そして後日、幌に「スピー」と書いてある車から下ろされるのは、
これまた「スピー」の文字が入った耕うん機でしょうか。「スピー」は岡山県倉敷市にある農業用機械メーカーのようです。
この村では、このようにみんなでお金を出し合い、共同で物事を決める経験がなかったそうで、みなさんとても慎重に吟味しています。
お母さんたちも心配そうに見ています。
メーカーは購入してもらおうと、(あくまでも)デモンストレーションとして広範囲を耕うんしてくれることもあるのだそう。助かりますが、購入を断りづらくなりそうです。
悩ましいところです。
立派な五重塔が映ります。ナレーションで「国分寺」と紹介されているこの塔は、岡山県総社市の「備中国分寺」のようです。
こちらは、その国分寺近くの保育園だそうです。日本の親たちにとっては教育が最も大切なことである、とナレーション。
女の子たちはおかっぱに刈り上げと、漫画「サザエさん」のワカメちゃんのような髪型をしています。
再び農家に戻り、今度は収穫祭の準備と掃除をしているところです。日本人は隅から隅まで奇麗にすると紹介しています。
鍋に入っているのは米糊のようです。
現代では体験したことがない方も多いでしょう、障子の張り替えをしています。ナレーションは、障子を「世界で最も優れた窓」と紹介しています。嬉しいですね。
お祭り当日がやってきました。大皿にご飯を盛っています。
近隣から親戚なども集まってきているのでしょう、大賑わいです。
セーラー服を着たお姉さんも、丸刈りの僕も皆幸せそう。親戚が一堂に会する機会が減ったといわれる現代からすると、なんとも羨ましい光景ですね。
映像は引き続き、日本の漁業の現状について紹介していきますが、ここでは割愛させていただきます。 引き続き、歴史の1ページを紐解いていければと思います。
(服部淳@編集ライター、脚本家) ‐ 服部淳の記事一覧
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【動画】「Japan fifty years ago 日本五十年前」