【44年前の静岡】見ているこっちがヒヤっとする昭和47年の交通安全指南映像

2016/10/21 20:28 服部淳 服部淳


どうも服部です。昭和の動画を紐解いていくシリーズ、今回は昭和26年からの県政ニュースや広報映像などを大量に公開している、静岡県の公式YouTubeチャンネルから「昭和47年 あぶない!! 飛び出すな」というタイトルを取り上げました。
※動画はページ下部にあります。




「歩行者の事故が絶えない。その多くは老人と子供である」。ちょっと恐ろしげなBGMとともにナレーションが入り、お年寄りやベビーカーを押した親子連れの姿が映ります。ベビーカーは現代のものと比べるととてもシンプルに見えます。


昭和47年7月に静岡市上足洗で起きた、子供の交通事故に関して、警察にインタビューをしているところです。車の陰から飛び出した女児が轢かれて亡くなったのだそう。


確かに、駐車車両がちらほらあり、道幅も広くありません。急に飛び出してきたら、衝突を避けるのは難しいでしょう。車の台数と人口が右肩上がりに増えていった時代でしたが、安全対策がそれに追いついていかない状況だったのです。


現在と変わらぬ「歩行者横断禁止」の標識(昭和38年3月制定)のある道路を横断していく男性の姿。大人が横断禁止の道路を横断するのは、残念ながら現在も見られる光景です。




大人だけでなく、子供たちも横断歩道ではないところを渡っていきます。見ているこちらがヒヤヒヤしてしまいます。


話が逸れますが、この翌年である1973年に変更されるペプシのマークが映っています(参考ページ:Gigazin)。




そして再び、子供たちが近づいてくる車を前に道路を横断していきます。が、よく見ると、渡っている子供たちは、服装やカバンから先程渡っていたのと同じ子たちです。停止する車の方も同じナンバープレートの同じ車でした。危険な横断を再現していたようです。






道路や街並みだけを見ると、それほど時代の変化を感じませんが、自動車のスタイルに44年の時の差がうかがえます。




再び、大人が道路を横断する姿を捉えています。こちらは再現ではないと思いますが、見ていてヒヤヒヤする危ぶなさです。


先を走る女性が道路を斜めに渡ると、そのお子さんと思われる子供が全く同じルートで後を追っていきます。「子供はなんでも親の真似をします」とナレーション。


「お父さん、お母さんが自らが正しいマナーを示したいものです」と続きます。まさにその通りですね。


児童の後ろに「これよりスクール・ゾーン」という看板が見えます。昭和48年の警察白書によると、「全国的にスクール・ゾーンの設定が推進された」のは、この映像の年、昭和47年のことだったそうです。


こちらで子供たちが覗き込んでいるのは……、


信号のない横断歩道や見通しの悪い交差点などに付けられた「ストップマーク」。円の中に足型だけが描かれたタイプは見たことありますが、「左」「右」の漢字と矢印が入っているのは静岡県特有のものなのでしょうか。




きちんと足型の上に足を乗せ、左右確認してから道路を横断します。


場面は変わり、停車する自動車の下から道路を捉えています。見えにくいですが、緑色のトラックの右手に子供たちの集団がいます。


なかなか見なくなった光景ですが、道路脇に座って遊んでいるようです。


こちらは道路で自転車の追いかけっこをしている子供たち。「道路は遊ぶ場所ではありません。子供は公園や空き地で遊ぶよう指導してください」とナレーション。


道路脇で三輪車に乗る幼児の姿もあります。




混雑した道路で、まだ補助輪が取れない子供たちだけでの自転車併走は結構危ないですね。


急に倒れた自転車を避けるのがどれだけ困難であるか、運転免許証の教習ビデオに出てくるような人形を突然倒してデモンストレーションをしています。相当運転に慣れた人でないと避けられなさそうです。


道路でボール投げをしている男の子たち。一人が投げたボールが遠くへ飛んでいきます。


それを追いかけて道路に出た男の子の前には自動車が…。これは演出のようなので大丈夫でしたが、子供の死傷事故の70%は飛び出しが原因だったそう。


当時の車は前方に飛び出してきたもの(子供など)を発見してから止まるまで、17mを要したようです。


必要距離より手前から現れた人形は、この通り。人形と分かっていてもショッキングな光景です。


「一に確認、二にも確認、左右をよく見て横断しよう。かけがえのない命を奪われないために」というナレーションをもって映像は終了します。



この映像が制作された2年前、1970年には交通事故死者数が過去最悪となる1万6765人に達し、交通戦争(第一次交通戦争)と呼ばれた時代でした。スクール・ゾーンやストップマークの設置、そしてこのような啓蒙映像を制作するなどの努力がみのり、交通事故死者数はその後減少していきました。

(服部淳@編集ライター、脚本家) ‐ 服部淳の記事一覧

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【動画】「昭和47年 あぶない!! 飛び出すな」


<参考文献>
昭和48年警察白書
平成9年警察白書
平成17年警察白書
NHKスペシャル 「第一次」も「第二次」もあった!「交通戦争」