孫も立つのか?立ちあがるレッサーパンダ風太くんの孫に会ってきた!

▲「こんにちは。風太じいちゃんの孫の”キャラ”です」
こんにちは。
関西のローカル番組を手がける放送作家、吉村智樹です。
ここでは毎回、京都を旅しながらキャッチした情報をお伝えしております。
さて皆さんは、レッサーパンダの風太くんのことを憶えていますか?

2005年、千葉市動物公園にて、人間のようにすくっと直立し、寄りかかることなくごく自然に二足歩行した風太くん。
背筋がピンと伸びた様子を捉えたスナップフォトがネット上にアップされ、そのあまりにもナチュラルなポージングが「凛々しくてかわいい!」と、日本中の動物ファンを萌えに萌えさせ、悶え狂わせました。
確かに、「あのままご近所に買い物にでも行ってしまうんじゃないか?」と思えるほど、フツーに脚が前に出ていましたもんね。
そんな風太くんは、いまも息子たちとともに千葉市動物公園で元気に暮らしています(残念ながら昨年の7月、奥さんのチイチイはお亡くなりになりました)。
歳は12歳。
人間の年齢に換算すると、およそ80歳のおじいさん。
もう風太くんというより風太さん。
高齢ゆえに、少しぎこちなくなってしまったものの、現在もまれに立ちあがることがあるのだとか。
そしてなんと風太くんのお孫さんが京都にいると聞き、わたくし会いに行ってきました。
もしかしたら、じっちゃんの名に懸けて、「すっ」と立ちあがってくれるんじゃないかという期待を込めて。
やってきたのは「福知山市動物園」。
▲桜やつつじの名所「三段池公園」の一画にある小さな動物園。
昭和53年5月に開園。
現在77種、およそ330頭の動物が飼われています。
▲飼育員さんとツレ感覚のテナガザル。
▲「メガネ取ります」。気をつけよう。
▲背景の絵のユルさがたまりません。
▲養豚場ではありません。
▲アーチのなかをリスが通ります。
▲羊やヤギなどおとなしい動物が多い印象。
福知山市動物園は2010年、子猿の「みわちゃん」がイノシシの「ウリ坊」の背中にずっと乗っているので話題となり、その仲睦まじい姿がたびたびニュース番組で採りあげられました。
憶えていらっしゃる方も多いのでは?
▲みわちゃんとウリ坊のコンビは書籍化やDVD化もされる人気だった。
「みわちゃん」も「ウリ坊」も健在で、同居もそのまま。
いまも仲よくここで暮らしています。
ただ、みわちゃんの身体が大きくなり、背中に乗ることはなくなったのだそう。
そんなふうに、象やキリンなど大きな動物こそいませんが、北近畿や山陰で唯一という貴重な動物園。
ことさらにエンタメ性を追わない、ほのぼの、のほほんとした園内のムードにむしろ癒されます。
▲この日はあいにくの雨。
▲静かで穏やか。雨の日の動物園もいいものです。
そしていよいよ目的の、レッサーパンダ舎へ。
レッサーパンダ舎の前には、放し飼いしているケヅメリクガメのプーミンくんとアヒルのまきちゃんの姿も。
▲一瞬「脱走?」と驚いたケヅメリクガメのプーミンくんとアヒルのまきちゃん。
▲仲がよく、ときおりこうして園内を並んで歩いています。
あ、現れました!
孫の「キャラ」くん(オス)です。
▲風太くんの孫「キャラ」くん。
2013年7月10日生まれの3歳。
早くも「冬毛」と呼ばれる色が濃くて光沢がある毛に生えかわり、遠目にもイケメンなオーラが出ています。
父親は風太くんの息子で、現在チリ共和国「フンボルトペンギン生態園~ペンギンヒルズ~」で暮らしている「コウタ」くん。
▲天気は悪いですが、涼しくて嬉しいのか活発に動きまわります。
福知山市動物園では、キャラくんを迎えるにあたり、かつて沼地だった場所に120本もの杭を打ち、約4000万円をかけてこのレッサーパンダ舎を建設したといいます。
屋外ゾーンは広々。
地面に土を敷いて芝を植え、自然に近い状態を再現すべく造成しています。
ちなみに弟の「メル」くんは大阪の天王寺動物園にいます。
「キャラ」と「メル」。
兄弟そろって一般公募で決まった名前なのです。
この方が園長先生の二本松俊邦さん(71歳)。
▲開園以来ずっと温かい目で動物たちを見守り続ける園長の二本松俊邦さん。
福知山市動物園のオープンから21年間、ずっと園長をつとめ、動物たちを見守っています。
どの檻の動物にもまんべんなく話かける姿が印象的でした。
さて、二本松さん、キャラくんは風太おじいさんのようにしゃんと立つことはあるのでしょうか?
「無理に立たせるということはしていません。ただ元気なので自分で立ちあがることはあるんです」
お、立つんですか!
「ええ。でも風太くんのように背筋を伸ばして立つということは難しいようですね。立つときはちょっと前かがみになっています」
なるほど。
確かに風太くん以降、あれほど見事なスタンドアップをしているレッサーパンダを見たことはありません。
おじいちゃんのDNAを汲むお孫さんとて、あれほどの妙技を期待するのはきっと酷なことでしょう。
この方が飼育員の上山亜実さん(24)。
▲レッサーパンダ担当飼育員の上山亜実さん。
一昨年の5月、キャラともに入園した、言わば“同期”。
動物飼育の専門学校を卒業し、すぐにそれまで触れた経験もないレッサーパンダを任され、同じくレッサーパンダを飼う福井県鯖江市の西山動物園へおもむき実習したという勉強家。
「キャラはいまでこそ元気でやんちゃですけれど、はじめは内気でおとなしかったんです。警戒心が強いところがあって、目を合わせてくれなかったし、餌も食べてくれなかった。なので顔を見るたびに声をかけたり、作業はすべて目の前でやったりしているうちに、手に持ったリンゴを食べてくれたんです。あのときは『やっと心を開いてくれたんだ』って、嬉しかったですね」
打ち解けるまでに時間を要したというキャラくん。
いまではすっかり懐き、上山さんの姿を見ると走って駆け寄り、身体によじ登ってくることすらあるといいます。
▲上山さんに近寄るキャラくん。
▲「あのう、折りいってお話が……」と言いたげな姿勢。
▲どうも、なにかせがんでいる様子。
▲上山さんの作業服をつかんで離しません。
「爪をたてながらしがみついてくるので、おかげで作業服がぼろぼろです(笑)」
そう言って困りながらも、かわいくて仕方がないといった表情。
キャラと上山さんのコンビネーションは福知山市動物園の新たな名物となっています。
▲せつない表情で「ねえ、お姉さん、お願いがあるの」。
▲「ねえねえ、お姉さん。指のにおい嗅がせて」。どうやら上山さんの指についた大好物の餌のリンゴの香りを嗅ぎたがっている様子
キャラが先ほどから上山さんに、なにやらせがんでいる模様。
どうやら上山さんの指についた餌のリンゴの香りを嗅ぎたがっているらしい。
食事の時間ではないので、せめて大好物のリンゴの香りだけでも楽しみたいのでしょう。
あ、あ。
▲指先のリンゴの香りに誘われ、すーっと立ちあがったキャラくん。
立った。
立ってる立ってる。
しかもその態勢をしばらくキープしています。
リンゴの香りに誘われ、鼻をくんくんするうちに、そのまますーっと立ちあがりました。
これが噂の立ちレッサーパンダ。
間近で見ると感動しますね。
そしてキャラは、
▲「ねえねえ、もっと嗅がせて」。
▲「くんくん」。やっと嗅げたリンゴの香りに恍惚の表情。
念願のリンゴの香りを嗅ぐことができました。
続いては、観客からよく見える丸太の上へ移動。
▲丸太の上に移動。「ライターさん、よう見といてや」。
▲キャラくんの目線はやっぱり上山さんの指先。
▲指の香りに誘われて……。
▲あ、立ちあがる前に上山さんの手をつかんでしまいました。
▲「くんくん、くんくん」。指先についたリンゴの香りに夢中です。
▲もう少し、手の高さをハイにしてみると……。
お、お、お、お。
▲お、立ちあがった。
▲いい感じです。
▲腰がピーンと伸びました。
▲手のひらをさらに高く。
▲ああ、上山さんの指先に夢中で、体勢がちょっと……。
▲ぐらっ。
▲がしっ。「つかまえた!」。
▲いい子いい子、よく頑張ったね。
嗚呼~、残念ながらキャラくんは上山さんの腕にしがみついてしまいました。
やはり風太くんのように、飼育員さんがいないときでも立つということは、なかなかないようです。
(ちなみに取材日はお昼寝中のため会えませんでしたが、キャラくんの奥さん『しらたまちゃん』は、もっと立つのがうまいんだとか)
▲「もう、うちの旦那にはお手上げやわ」と言いたげな立ちポーズをする奥さんのしらたまちゃん。うしろでごはんを食べているのがキャラくん。
そう話をしていた矢先、キャラくん、なんと突然なぜか木に登り始めました。
▲「こんだけでは終わらへんよ」といった感じで木に登り始めたキャラくん。
▲飼育員さんも「前例がない」というほど高く登り、一瞬緊迫した空気に。
おーおー、かなりの高さまで登り……。
こちらを向いて「どや!」。
▲「どや! ここまで登るレッサーパンダ、ほかにおらんでしょ」。
「珍しい。キャラが木に登ることなんてめったにないんですよ」
「キャラは役者やなあ。ちゃんとカメラ目線を決めてくれよる。今日は取材やから張り切っとるんでしょう」
木に登って目線をくれるレッサーパンダ、これはおじいさんにもなかった芸風です。
さすが、キャラが立ってます。
▲舞台袖にて「お姉さん、今日の取材、あんな感じでよかった?」「上等上等」
そしてもうひとつ、タイムリーなトピックがあります。
なんと先ごろ、キャラくんとしらたまちゃん夫婦のあいだにオスの双子の赤ちゃんが生まれたのです。
つまり風太くんのひ孫の誕生。
▲6月22日、しらたまちゃんの小屋の中で誕生した双子の赤ちゃん。
▲どちらもオス。キャラくんの息子。風太くんのひ孫。
▲時間が経つごとに毛がレッサーパンダ特有のカラーリングに変化していきました。
福知山動物園にとってレッサーパンダのお産は初めての出来事。
キャラくん、パパにならはったんやねえ。
「6月22日の木曜日、レッサーパンダ舎へ行ったら、しらたまの様子がおかしいんです。静かで、呼んでも姿を見せない。『もしかしたら、死んでしもうたんとちゃうか……』と心配になって寝床の木箱を開けてみたら……双子の赤ちゃんが生まれていました。もう動物園はえらいこっちゃの大騒ぎですよ。その後、赤ちゃんは元気にすくすく育っています。先日、体重を計ってみたら二匹とも1キロを超えていました。夫婦仲はいいし、赤ちゃんも誕生して、いい家族になってほしいですね」
▲生まれて2か月経った頃。もうすっかり大きくなりました。
そう言って目を細める二本松さん。
お話をうかがっているうちにこちらも胸が熱くなってしまい、立つか立たないかなんてことを気にしてこの動物園を訪れたのが恥ずかしくなってきました。
わたくし、立つ瀬がありません。
そしてここで募集告知です。
生まれて間もない赤ちゃんなので、当然、まだ名前がありません。
というわけで
「レッサーパンダの名前を募集します!」
レッサーパンダのキャラくんとしらたまちゃんの間に生まれた双子のオスの赤ちゃん。
この赤ちゃんの名前を皆さんで考えてあげてください。
応募の方法は、動物園や三段池公園総合体育館内にある応募用紙に記入して応募箱に入れるか、または、はがきに住所・氏名・電話番号・赤ちゃんの名前を記入して動物園に郵送してください。
(メールじゃなく「はがき」ってところがいいですよね)。
決定した名前の応募者様のうち抽選で1名様に名付け親賞として記念品を贈呈。
ほか、ご応募いただいたなかから抽選で20名様に参加賞を進呈します。
応募締め切りは2016年9月30日(金)必着。
決定した名前は10月9日(日)に福知山市動物園の園内やウエブサイトなどで発表します。
さらにこの10月9日(日)こそが、レッサーパンダの双子の赤ちゃんの一般公開日となるのです。
ぜひ応募してみてくださいね。
僕も応募しますよ!
そして、ひ孫の名前が決まったら、まず風太くんに教えてあげたいですね。
▲また来るよ!
福知山市動物園
住所●〒620-0017京都府福知山市字猪崎377-1 (応募先も同じく)
電話●0773-23-4497
開園時間●9:00~17:00(ただし入園は16:30まで)
定休日●毎週水曜日(祝日と重なる場合は翌日) 12月28日~1月1日
URL●http://www.sandanike-kouen.or.jp/zoo.php
(吉村智樹)