【本当に60年前?】超鮮明カラーで見る昭和31年の山形
どうも服部です。昭和の動画を紐解いていくシリーズ、今回は以前も紹介した山形市の公式YouTubeチャンネルから「山形まつり 昭和31年版」というタイトルの映像をピックアップしました。山形市の他の映像と異なり、ナレーションなど一切の音声は入っていません。
※動画はページ下部にあります。
「三十一年版」とは、もちろん昭和31年(1956年)のことで、今からちょうど60年前に撮影されたものです。
まずは高台から山形の街を舐めるように撮影。カメラが止まった先に見える白亜の立派な建物は、第2代山形県庁舎として1916年(大正5年)に落成され、当時は事務室として使用されていた現・文翔館(国の重要文化財)です。
「山形まつり」を告知する街宣車でしょうか。これまで見てきた昭和30年代のカラー映像の中でも最高の鮮明さです。
軒下に吊り下がる「祝 山形まつり」の提灯があったり、
写真屋さんでしょうか、富士写真フィルム(現・フジフィルム)製のカメラ「スーパーフジカ」の三角旗のあるお店の入り口にポスターが貼ってあったりと、お祭りの準備万端といったところでしょうか。
ポスターの右上部分を拡大してみると、期日は10月20日より10月22日までと書いてあるようです。
山形の祭といえば、現在では「東北四大祭り」のひとつに数えられる「山形花笠まつり」が有名ですが、意外と歴史は浅く、山形花笠まつり公式ホームページによると、現在のような形で行われるようになったのは昭和39年(1964年)のこと。
その「花笠まつり」開始以前に開催されていたのが、この「山形まつり」だったそうです。出羽山形藩の初代藩主である最上義光(1544~1614年)を祭った「義光祭」として大正時代に始まり、戦時中の中断を経て再開、昭和37年に廃止になったとのこと(参考記事1、参考記事2)。
その「山形まつり」のメインイベントだったのが、仮装行列だったようです。
山形県民にとっては人気のお祭りだったようで、この賑わいです。
ブラスバンドに続いてやって来る、オープンカーに乗っているのは市長さんでしょうか、英国王室のような帽子をかぶり仮装しているようです。
こちらは山形名産の紅花摘みの「紅花娘」さんたち。あでやかですね。
一方こちらは、「紅花娘」さんに扮した男性たちのようです。こちらは見たくない。
黒豚のようなものを連れた少年。豚らしきも人が仮装しています。
ドラム缶の上を転がしながら歩くトラ(?)と、ムチを持ったサーカス団員でしょうか。なかなかユーモラスな光景です。
こちらは少女たちによる演劇。戊辰戦争における戦闘の模様でしょうか、最後は自刃をして果てます。今の時代なら各方面からNGが出そうな内容です。
こんなところにも観客がいます。屋根の上はちょっと危険すぎでは?
徒歩による仮装行列の他にも、トラックの荷台などに乗っての行列も。
宇宙人でしょうか?
仮装関係なく、単なる広告では?という車列も通ります。
こちらは行列最後尾のようです。「自転車は一列に」と表示が出ていますが、むしろ自転車通行止めにしたほうがいいぐらいの混雑です。
ここからは、「山形まつり」のもう一つの目玉(映像に割かれる時間から)、駅伝競走の模様となります。
お正月の箱根駅伝などを見ていると、自転車でランナーと並走している人たちを見かけますが、ここではランナーを取り囲んで自転車が走っています。どうやらコーチなど、仲間が並走して指示を出したりしているようです。
白熱のたすきリレーは現在とも変わりません。
沿道で応援する子供たち。男の子はみな「丸刈り」、女の子はみな「おかっぱ」と、これを見るとやっぱり60年前なんだなと実感します。
個別のランナーの接写を見ると、先ほども述べたように自転車のチームメイトが囲んでこんな感じですが、
引きで見てみると、まったく駅に向かう朝の通勤時のようでもあります。
再び、たすきリレーのシーン。左端には我関せずな風に幼子をおぶる女性の姿も。背後の茅葺き屋根の建物も加わり、とてもノスタルジックな光景となっています。
ここでもたすきリレー。「山形まつり」の横断幕が見えます。
自転車からランナーを励ましているようです。結構苦しそう。
応援するお母さんたち。割烹着姿が素敵ですね。
こちらでは日の丸を掲げての応援。お母さんたちは、やっぱり割烹着姿。
乗り出して観戦している女子学生たち。乗り出しすぎて走るスペースがだいぶ狭くなっています。
「安全確認」のコーナーを曲がると、
決勝点、ゴールが見えてきました。
そしてフィニッシュ。お疲れ様です。
映像の10:17からは、「山形の歴史」についての紹介が始まります。こちらは山形城の石垣のようです。1986年(昭和61年) に国の史跡に指定され、復元される前の姿です。
映像の14:12からは、「豊烈神社例大祭 山形豊烈打毬」の模様が紹介されています。例年10月6日に行われるようです。
打毬は現在でも行われていますが、毬を映したこの場面があまりにも綺麗なので切り出しました。
こちらは打毬杖と毬の組み合わせです。
山形豊烈打毬にも大勢の観客が集まってきています。
18:15からは「菊花展」の模様が紹介されています。こちらも60年前とは思えない鮮やかさ。
最後は山形の街の様子です。
1956年(昭和31年)11月16日に開業の丸久百貨店です。開店記念の大売り出しをしているので、開店後のことですね。
こちらは、丸久百貨店開業の4日後にオープンした大沼百貨店。現在百貨店を経営する企業としては、松坂屋、三越に次ぐ3番目の古さである1700年の開業なのだそう。
高台から街を捉えて映像は終了します。
引き続き、歴史の1ページを紐解いていければと思います。
(服部淳@編集ライター、脚本家) ‐ 服部淳の記事一覧
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【動画】「山形市広報フィルム『山形まつり 昭和31年版』」