【ポケモンGO】富士の樹海でポケモンを探してみた
16年7月22日(金)に日本での配信がスタートしたポケモンGO。下馬評からかなりのヒットが見込まれていたが、実際に蓋を開けてみると予想を遥かに上回る人気ぶりだ。
繁華街や公園をひとたび歩けば、そこかしこにスマホをかざしてポケモンを探すポケモントレーナーが溢れている。だが、ちょっと待ってほしい。私たちは大事なことを忘れてはいないだろうか。
私たちの国歌ともいうべき「めざせポケモンマスター」の歌詞を思い出してみたい。
あの歌は、ポケモントレーナーたる者たとえ火の中でも水の中でも草の中でもあのコのスカートの中でも捜索しろと高らかに歌い上げる。
……そう、あこがれのポケモンマスターになるためにはありふれた場所を探索しているだけではダメなのだ。火や水の中のような過酷な場所、まさに「秘境」のようなエリアを探してこそレアなポケモンに巡り会えるのではないか。
というわけで、
青木ヶ原樹海(富士の樹海)でポケモンを探してきます。
青木ヶ原樹海といったら「足を踏み入れたら二度と出られない」なんて噂もある現代日本に残された秘境中の秘境。
(こんな感じの森が約30万平方キロメートルに渡って広がっている)
数字が大きすぎてぜんぜんイメージがわかないが、東京ドームに換算すると640個分らしい。ますますわからなくなった。とにかく広いのだ。
だが、こういう場所だからこそ、都市部ではお目にかかれないレアなポケモンをゲットできるはずだ。
▼▼▼探していきますよ▼▼▼
(ここから樹海に入ります)
「足を踏み入れたら二度と出られない」という噂だが、樹海のなかにはこうした林道が整備されている。今回はこれにそってポケモンを探していく。
……、
いや、わかりますよ。「ポケモンマスターになるためにはありふれた場所を探索しているだけではダメ」なんて偉そうなこと言っておきながら既成のルート使うのかよ、ってことっすよね、
確かにごもっともなんですが、
(鬱蒼)
これは死んでしまいますよ。
というわけで林道で行かせてください(懇願)。
チキン野郎で本当に申し訳ないが、不安は遭難だけではない。そもそもの問題として樹海のなかでポケモンGOに必要なGPS信号を拾えるのかが未知数なのだ。
もし圏外だったらその時点で企画終了なのだが、
(超ぎりぎり)
一応信号は拾えるようだ。
長い前置きになったが、今度こそポケモンを探していくぞ。
(うろうろ)
ちなみにネット上の情報だと、新宿では「ピカチュウ」、上野では「ブーバー」が出やすいなど、やはり地域によって出現するポケモンに違いがあるらしい。樹海ならば植物系や動物系のポケモンが多かったりするのだろうか。
(うろうろ)
実は青木ヶ原樹海は自殺の名所としても有名で、森のなかから人間の遺体が見つかることも珍しくない。ゴース(幽霊っぽいポケモン)ばっかりだったらそれはそれで嫌過ぎるな……。
……、
ていうか、
(ぽつん)
ポ ケ モ ン が 出 ね ぇ!!
樹海に入ってからかれこれ30分以上が経過しているが、遭遇したのは蚊とスズメバチとカナブンだけ。昆虫GOになってるやないですか。
だが、魚釣りでもいらいらし始めた頃にアタリがくるものだ。気を取り直して捜索を進めていくと、
コラッタが飛び出してきた!
おー、樹海最初のポケモンにちょっとテンションが上がる。
(そこにコラッタがいる)
モンスターボール2投目で捕獲した。こいつの出現率は高い方で、いわばザコなのだが、樹海のなかでもポケモンがでることが確認できたので次に期待だ。
そして10分後、新たなポケモンが現れた!
……コラッタだ。
……。
ちなみに実は樹海の前の駐車場でも1匹ポケモンをゲットしているのだが、
それもコラッタなんだ。
……。
オーキド博士、この森ネズミしかいないんですけど!
▼▼▼そんなこんなで▼▼▼
その後、
ポッポと、
マダツボミをゲットすることができた。
とはいえこいつらも希少度は低く、当初期待していたレアなポケモンが出てくる気配はない。
だが、それよりももっと深刻な問題があるのだ。
道に迷った。
説明させて欲しい。
私は林道を歩いていた。
だが、ところどころ分岐していたり、道が細くなっていたり、横から獣道が生えていたりしてわかりづらいところがあり、歩いているうちに「あれ、これ林道じゃないんじゃないか」と思い、周囲を見渡すと「うん、これ林道じゃない」と思い至った。あとは、その、スマホを見ていてちょっと集中力が散漫になっていたというか。
……、
どうしよう。
わりと焦っている。記事の最初の方で「(林道から外れたら)死んでしまいますよ」なんて言っていたが、実際のところなんとかなるだろうとタカをくくっていた。だが、
(周囲をパノラマ撮影した)
マジで方向感覚が喪失してる。
風景が似すぎていて、自分がどっちからきたのかもわからない。
しかもこんな状況になったらなったで、
ビードル
ニドラン♀
ズバット
ぞろぞろ現れ始めるポケモンたち。
そんなことしてる場合じゃないんだよ!(ゲットしたけど)
とはいえ、この際正直に話すがこのまま帰り道を見つけられないまま衰弱死する可能性は極めて低いはずだ。樹海のなかは車道や林道がそこら中にあり、まっすぐ歩き続ければいつかはそこに出る。GPSコンパスもあるのでそれは問題ない。
(スマホを買ってから初めて起動した)
しかし、考えたくもないが、山梨県にはツキノワグマが約400頭生息していて、樹海も生息域に思いっきりかぶっているのだ。普通、ツキノワグマが人間を襲うことは稀だが、森のなかで一人きりで道に迷った状態だと不安と恐怖が急速に膨らんでパニックを起こしそうになる。変な汗が出てきた。
とにかく移動するしかないのでただひたすら南を目指した。
このとき考えていたのは、スマホとカメラのポケモンGO関連のデータを全部消すべきかどうか、だ。樹海でポケモンGOやってて死んだなんて知れたら末代までの笑い者になる(いや、その場合私が末代なわけだが)。
新聞の見出しまで予想がつく。
「自称ライター、ポケモンGOであの世にGO!」だ。
移動中、上の写真の方向から「ガサッ」と何かが動く音がした。心臓が飛び出しそうになった(これ以降写真を撮る余裕もなくなった)。
移動を開始して10分後、車道に出た。全身から力が抜けた。
(写真は落ち着いた後に自撮りしたもの。超間抜けな絵面)
道に迷っていた時間は40分に満たないが、凄まじく長く感じた。ここ数年で一番恐怖を感じた体験だった。
▼▼▼結論になります▼▼▼
樹海は怖い。
林道から外れると本当に一瞬で方向感覚を失ってしまう。物見遊山で遭難しかけたアホンダラがどの口で言うのかと思われるかもしれないが、青木ヶ原樹海を訪れる方は絶対に林道から出ないでほしい。ましてやポケモンGOをやりながら、なんていうのは絶対やめるべきだ。
そして、秘境にレアなポケモンが多いわけではない。
今回ゲットしたのはコラッタ、ポッポ、マダツボミ、ビードル、ニドラン♀、ズバット(あと樹海から脱出した後にロコン)だが、これはどこにでもいるポケモンだ。
ポケモンGOは非常に魅力的なゲームだが、現実と仮想をリンクさせる性質上どうしても危険が伴う。実際、海外ではユーザーが死亡する事故が起きているし、日本でもこのゲームが原因で交通事故などが多発している。
(ポケモンGOのロード画面)
どうかユーザーの皆さん、ポケモンGOは周りをよく見て、常に注意しながら(あと安全な場所で)プレイしてください!
あとちなみにね、樹海から東京に戻り、駅から出たら、大学生っぽいあんちゃんたちが「カラオケ館の前にミニリュー(比較的レアなポケモン)がいるらしいぜ!」といいながら走ってくのを見たんですよ。
秘境はカラ館に負けます。
(ニノマ)